レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年06月28日
- 登録日時
- 2016/10/24 10:35
- 更新日時
- 2016/11/15 17:33
- 管理番号
- ASH2016-11
- 質問
-
解決
ナヴァ・ラサについての資料を探しています。「インド映画」でネット検索したところインド芸術における9つの感情を表す言葉“ナヴァ・ラサ”というものがあるのを知りました。ナヴァ・ラサについて書かれた資料が見たい。
- 回答
-
2~5世紀に成立されたというバラタ作『ナーティヤ・シャーストラ』というインド古典演劇百科全書の6章にラサについて記載されているのが始まりで、本来のラサは8種類でしたが、後代11世紀頃にアビナヴァグプタが『ナーティヤ・シャーストラ』の注釈書『アビナヴァ・バーラティー』の6章で第9のラサとして“ 寂静śānta”を認めることを記載。これ以降ラサ=ナヴァ・ラサ(9種のラサ)と考えられるようになったようです。
1.恋śṛṅgāra 2.滑稽hāsya 3.悲karuṇa
4.忿怒raudra 5.勇猛vīra 6.恐怖bhayānaka
7.嫌悪bībhatsa 8.驚異adbhuta 9.寂静śānta
インド映画やインド文化などについて書かれた本などで確認することができます。調べ方は「回答プロセス」を参照してください。
- 回答プロセス
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1)基本事項を調べる
1.WEBを調べる
1-1利用者調査済みのサイトを確認
・個人サイト:ココロのブログ>インド舞踊③9つの感情表現-ナヴァ・ラサ
・wikipedia:ラサ(インド文化)
→ラサ(Rasa)はインドの伝統的な美学で使われる学問用語、基本的感情。インド古典音楽では9つのラサ(ナヴァ・ラサ)があること。また、インド舞踊の目的は観客にラサを呼び起こすこととあり
1-2Googleを調べる
<キーワード:ナヴァ・ラサ、インド、舞踊、芸術>
・個人サイト:南インド古典舞踊 基礎用語集
→NAVA RASA(9つのラサ)ナヴァラサあり
・国士舘大学アジア・日本研究センター>2011年度 世田谷市民大学 連続講義「アジアの幸せ」> 第9回 松岡環先生 6月15日:インド映画はいつもハッピーエンド~映画が運ぶ「幸せ」感
http://www.a-jrc.jp/school/2011/matsuoka/2_1.html
→レジュメが公開されておりその中に「"ナヴァ・ラサ(nava rasa)"9つの情感」の記載あり。
2.レファレンス資料を調べる
2-1【★1】契約DB『JapanKnowledge(ジャパンナレッジ)』を調べる
<キーワード:アビナヴァグプタ/ナーティヤ・シャーストラ/バラタ/ナヴァ・ラサ/ラサ など>
→ラサ・ナーティヤ・シャーストラ・アビナヴァグプタにナヴァ・ラサについて記述あり
2-2レファレンスコーナーで関連しそうな分類の棚を直接探す
<分類:031:百科事典/225:インド/302:政治・経済・社会・文化事情/76*:音楽・踊り/77*:演劇・映画>
<キーワード:2-1以外にアビナヴァ・バーラティー/インド/演劇/舞踊 など>
初めに索引や目次でキーワードを探し、さらに関連語なども調べる
【★2】『ブリタニカ国際大百科事典 改訂版』
■ナーチャ・シャーストラ(④-931)
→インドの演劇に関する理論書。6~8世紀頃インド最初の音楽理論家」バラタの著作。ただし内容は2~5世紀に成立したと考えられている。演劇関連の多岐にわたる内容が記されており「後世の劇作術は、ほとんどすべてがこの書によっている、とあり
■舞 踊>インド(⑰-439)
→舞踊に関する最古かつ最重要の文献として2~5世紀に書かれた『ナーチャ・シャーストラ』があげられ現在までその影響が伝わっている、とあり
■アビナヴァグプタ(①-152)
→10~11世紀に活躍した哲学者。『ナーチャ・シャーストラ』の注釈書『アビナヴァ・バーラティー』などを書いた
■演劇史>東洋(①-152)
→1857年以降古典劇が復活できたのは『ナーチャ・シャーストラ』や脚本類が残っていたためで『ナーチャ・シャーストラ』は3世紀当時の劇作法と演出に関する詳細な文献のため、東洋演劇研究の貴重な資料、とあり
【★3】『世界大百科事典 改訂新版』
■インド映画(③-75)
→インド映画は草創期からインドの伝統演劇のスタイルを踏襲しているため、映画の中には<ナヴァ・ラサ(九つの感情)を土台とするあらゆる娯楽的要素が含まれている>、とあり
■インド音楽(③-77)
→芸術的な感動の基本となる情緒は、愛、喜び、怒り、哀しみ、勇ましさ、憎しみ、恐れ,驚き、静けさの9種のラサ
2-3さらにOPACで所蔵資料を探す
<キーワード:サンスクリット/梵語 など>
【★4】『漢訳対照梵和大辞典 新訂版』
■ラサ rasa(於)(p.1117)
詩における風味または基調,情趣,情緒,情感[一般に八が区別されるすなわち恋愛・勇武・嫌悪・激怒・観笑・恐怖・憐愍・驚異であって,時として第九寂静,第十柔和が加えられることがある
2)所蔵資料を調べる
1.OPACを調べる
1-1キーワードで探す
<キーワード:インド/映画/演劇/芸能/舞踊/事典/辞典 など>
(例)【★5】『南アジアを知る事典:インド+スリランカ+ネパール+パキスタン+バングラデシュ+ブータン+モルディヴ新版』
■ラサ(p.830/上村勝彦)
→バラタ『ナーティヤ・シャーストラ』の6章でラサは美的な喜びであり、それを喚起する条件に応じて8種のラサを挙げ、それらに呼応する<基本的感情(stchayi-bhava)>を8種あげ、「美的に高められた観客の恋情がラサ(srngara-rasa)と」したが記述が明瞭でなかったためさまざまな解釈を生むことになったが、11世紀頃に注釈書を書いたアビナヴァグプタがラサ理論を完成させた。9のラサ寂静(santa)は5世紀頃から説が現れ8世紀後半から取り上げられるようになった、とあり
【★6】『世界映画大事典』
■インド映画(p.88-89/松岡環)
→「伝統演劇の基礎である「ナヴァ・ラサ」(9つの情感=9つの基本的娯楽要素)」が映画にとってかかせない、とあり
【★7】『神話と芸能のインド:神々を演じる人々』
■インド舞踊と演劇の生成と伝承(p.183/河野亮仙)
→2~3世紀頃のヴァールミ―キ『ラーマーヤナ』にラサの言及があり、その後『ナーティヤ・シャーストラ』で八つに、8世紀に9番目のラサとしてシャーンタ・ラサが追加、とあり
<有力情報なし>
・インドを知る事典
・朝鮮半島、インド、東南アジアの詩と芸能
・東南アジアを知る事典(新版)
・インドネシア語辞典
・日本語-マレーシア語-インドネシア語-英語4ケ国語辞典
・アジア映画小事典
・「伝統」へのアプローチ
・視覚表象と音楽
・「伝統」へのアプローチ
・朝鮮半島・西アジア・中央アジア・インド
・ジャワ舞踊バリ舞踊の花をたずねて : その文学・ものがたり背景をさぐる
・インドネシア芸能への招待 : 音楽・舞踊・演劇の世界
・アジアのハリウッド : グローバリゼーションとインド映画
1-2関連しそうな分類の棚を直接探す
<分類:225 インド/292 アジア/302 政治・経済・社会・文化事情/769 舞踊/770 演劇>
(例)【★8】『インドおもしろ不思議図鑑』
■(2)神々と歌い踊る音楽・舞踊(p.16-25/井上貴子)
→インドの古典舞踊の表現についての記載と6種類の感情表現の写真あり
■(3)映画王国は今日も元気いっぱい(p.26-31/松岡環)
→インド映画には伝統演劇の基本要素案ナヴァ・ラサ(九つの情感)が入っている、とあり
【★9】『もっと知りたいインド 2』
■Ⅲ-三-1大衆文化としての映画(p.223-236/松岡環)
→1931年のトーキー以降、歌と踊り、ナヴァ・ラサ(九つの情感)が必ず入るスタイルが今日まで継続、とあり
<有力情報なし>
・舞踊の民族誌:アジア・ダンスノート
・演劇百科大事典
・インド:図説世界文化地理大百科
・インド:読んで旅する世界の歴史と文化
・インドを知るための50章
1-3論文を調べる
【★10】『CiNii Articles』<http://ci.nii.ac.jp/>から探す
<キーワード:ナヴァ・ラサ/ラサ/インド/舞踊/演劇 など>
(例)[CiNii PDF オープンアクセス]
論題 :インド美学のラサ(情調)論の進展:「十の芝居」Dhanika注の立場
著者 :島田 外志夫
掲載雑誌:研究紀要 23, 15-28, 2004-03-15
→ ”ラサ【rasa 】はインド美学の、とりわけ芸術学の最も重要な概念である”としてナヴァ・ラサについての記述あり。
1-4二次資料を調べる
OPACやCiNiiで見つけた資料の参考文献を確認し、記載されていた資料をOPACやCiNii・J-STAGEなどで検索する
(例))[J-STAGE]
論題 :音調玄味雜記一
著者 :島田 外志夫
掲載雑誌:印度學佛教學研究 23(2), 594-599, 1975
→ ”ラサ【rasa 】はインド美学の、とりわけ芸術学の最も重要な概念である”としてナヴァ・ラサについての記述あり。
以上
<Web最終確認日:2016/7/4>
- 事前調査事項
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Wikipedia/個人のブログ(インド映画にも使われているようでインド舞踊用語ではないか)
OPAC(ナヴァ・ラサで検索したが資料なし)
- NDC
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- 日本語 (031 9版)
- インド (225 9版)
- 政治.経済.社会.文化事情 (302 9版)
- 参考資料
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【★1】『JapanKnowledge(ジャパンナレッジ)』百科事典・辞書・ニュース・学術サイトURL集などが検索可能
http://japanknowledge.com (Web最終確認日:2016/7/4) -
【★2】『ブリタニカ国際大百科事典 改訂版』フランク・B.ギブニー 編 ティビーエス・ブリタニカ 1988
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001975120-00 (当館請求記号:031/B92/ア1~) -
【★3】『世界大百科事典 改訂新版』平凡社 編 平凡社 2007
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009140336-00 , ISBN 9784582034004 (当館請求記号:031/SE22/イ~) -
【★4】『漢訳対照梵和大辞典 新訂版』荻原, 雲来,辻, 直四郎,鈴木学術財団 山喜房佛書林 2012
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I046513180-00 , ISBN 9784796308687 (当館請求記号:82988/O25) -
【★5】『南アジアを知る事典:インド+スリランカ+ネパール+パキスタン+バングラデシュ+ブータン+モルディヴ新版』辛島昇, 前田専学, 江島惠教, 応地利明, 小西正捷, 坂田貞二, 重松伸司, 清水学, 成沢光, 山崎元一 監修 平凡社 2012
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I023620805-00 , ISBN 9784582126457 (当館請求記号:225/KA62/イ) -
【★6】『世界映画大事典』岩本憲児, 高村倉太郎 監修,岩本憲児, 奥村賢, 佐崎順昭, 宮澤誠一 編 日本図書センター 2008
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009415996-00 , ISBN 9784284200844 (当館請求記号:778/I94-4) -
【★7】『神話と芸能のインド:神々を演じる人々』鈴木正崇 編 山川出版社 2008 (異文化理解講座 ; 9)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009494329-00 , ISBN 9784634474543 (当館請求記号:386825/SU96) -
【★8】『インドおもしろ不思議図鑑』松本栄一, 宮本久義 編 新潮社 1996 (とんぼの本)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002476447-00 , ISBN 4106020408 (当館請求記号:292/MA81-2) -
【★9】『もっと知りたいインド 2』臼田雅之 [ほか]編 弘文堂 1989
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001982233-00 , ISBN 4335510276 (当館請求記号:30225/S85/2) -
【★10】CiNii Articles:学術論文情報を検索の対象とする論文データベース・サービス
http://ci.nii.ac.jp/ (Web最終確認日:2016/7/4)
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【★1】『JapanKnowledge(ジャパンナレッジ)』百科事典・辞書・ニュース・学術サイトURL集などが検索可能
- キーワード
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- ナヴァ・ラサ/ラサ
- インド
- 演劇
- 舞踊・踊り
- 演劇
- 芸術
- サンスクリット/梵語
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 所蔵調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000198716