レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年03月12日
- 登録日時
- 2015/01/17 13:30
- 更新日時
- 2015/03/11 11:52
- 管理番号
- 埼熊-2014-096
- 質問
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解決
日本書紀の「安閑天皇(あんかんてんのう)」の節、「武蔵国造の争いおよび屯倉(みやけ)」の項に、「武蔵国造の笠原(かさはらの)直(あたい)使主(おみ)と同族小杵(おき)とは、国造の地位を争って(後略)」とある。「直」も「使主」も姓だと思うが、姓が重なって使われるということがあるのか知りたい。
- 回答
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「使主(おみ)」は名として使われるとする資料があった。
『国史大辞典 2』(吉川弘文館 1980)
p914〈おみ 使主〉の項
「臣と使主とは同じと考えられ、カバネ(姓)の時は臣と書き、名の下に添えて用いる敬称には使主と書いている。ただ、使主をカバネに用いた例が少数であるが存在し、(中略)いずれにしても使主をカバネとした有力な氏はない。」とあり。
『定本日本書紀 辞典・索引』(丸山林平編 講談社 1966)
p72〈かさはらのあたひおみ〔笠原直使主〕〉の項
「安閑朝の人。武蔵の国造。「使主(おみ)」は名。「をみ」は仮名の誤り。同族の小杵(をき)と国造を争って勝つ。笠原は武蔵国(埼玉県)埼玉郡笠原郷。この地の名を負うて氏としたもの。」とあり。
- 回答プロセス
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1 「日本書紀」中の当該部分を確認する
『神道大系 古典註釈編 2 日本書紀注釈』(神道大系編纂会 1988)
p355-362「日本書紀巻第十八」
「むさしの国の造、笠原(かさはらの)直(あたい)使主(をみ)と、同族(うから)小杵(おき) 使主、小杵みな名なり。 くにのみやつこをあいあらそひ、」とあり。
『日本書紀 3(岩波文庫30-004-3)』(坂本太郎校注 岩波書店 1994)
p212-233「日本書紀巻第十八」
「武蔵野国造笠原直使主と同族小杵と、国造を相争ひて、使主・小杵、皆名なり。年経るに決め難し。」とあり。p395「笠原直」補注あり。
2 姓(かばね)を調べる
『国史大辞典 3』(吉川弘文館 1983)
p500-501「かばね 姓」の項
「古代のカバネは君・臣・連・造・直など三十種近くに及んでいる。」とあり。
3 「使主」「直」を調べる
『国史大辞典 2』
『国史大辞典 1』(吉川弘文館 1979)
p223-224「あたえ 直」の項
「古代のカバネ(姓)の一種。費・費直とも書く。(中略)直のカバネは朝廷に服属した地方豪族に与えたもので(中略)『日本書紀』欽明天皇2年秋7月条に引かれた「百済本記」に費直とみえ「アタヒ」と訓むべきであるから、直のカバネの成立は5、6世紀のころと思われる。」とあり。
4 「日本書紀」に関する参考図書を確認する
『定本日本書紀 辞典・索引』
『日本書紀索引(六国史索引1)』(六国史索引編集部編 吉川弘文館 1992)
p26 人名の部「笠原 直」の項あり。下位に「小杵(おき)」「使主(おみ)」の項あり。
- 事前調査事項
- NDC
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- 系譜.家史.皇室 (288 9版)
- 小説.物語 (913 9版)
- 参考資料
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- 『国史大辞典 2』(吉川弘文館 1980)
- 『定本日本書紀 辞典・索引』(丸山林平編 講談社 1966)
- キーワード
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- 日本書紀
- 姓氏
- 笠原 直使主(カサハラノ アタイオミ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000166285