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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

提供館
(Library)
福井県立図書館 (2110037)管理番号
(Control number)
0000002301
事例作成日
(Creation date)
2022年03月04日登録日時
(Registration date)
2023年06月10日 13時41分更新日時
(Last update)
2023年06月10日 13時41分
質問
(Question)
【あべかわ餅について】
(1)福井県(越前国)にはいつごろ伝わった(食されている)のか?
(2)静岡県(駿河国)と違って、なぜ黒蜜ときな粉なのか?

【質問者による事前調査事項等】
(1)の参照:やまだいちHP「安倍川もちについて」に『江戸時代から東海道名物として広く知られた「安倍川もち」を、戦後はじめて復活させたのが【やまだいち】でした。昭和25年3月17日の発売以来、やまだいちの「安倍川もち」は、静岡のお土産の代名詞』とあることから江戸時代から安倍川もちは存在しているが、急速に全国に広まったのは戦後ではないか?
(1)質問者による考え:福井県(越前国)でもあべかわ餅とは言わないにせよ、餅にきな粉をつけて食べることは江戸時代末期頃にはあったのではないか?
(2)の参照:福井のB級甘味研究家の久米田賢治氏の個人の見解で、「福井の餅屋のアレンジ」と述べられている。「月刊fu」2022年3月号p22-23「福井のあべかわ餅が好きです。」
回答
(Answer)
(1)江戸時代に「あべ川餅」を名物とした店が存在していた旨、次の資料に記載があります。

『足羽の昔ものがたり集』(足羽熟年友の会 1986年)
・・・p248「蠟(「蝋」の旧字体)金の”あべ川餅”」項で、数多くの旅人や町人、侍たちがこの店のあべ川餅を食べるのを楽しみにしていた様子を聞き取り書きしています。なお同店は、江戸時代中頃に餅屋に転業したとありますが、「あべ川餅」をいつから販売していたかや、当初から黒蜜かけであったかの記載は無し。同店は現在も福井市左内町にあり、「あべ川餅」のみを取り扱っています。

(1-2)戦前や少なくとも昭和30年頃までに、福井県内で安倍川餅(あべ川餅)を食べる風習があった旨、次の資料に記載があります。

『武生風土記』(武生風土記編さん委員会∥編 武生市文化協議会 1974年)
・・・p96-98「竹皮ひろいと安倍川餅」項で、戦前の夏の安倍川餅の思い出記載あり。黒蜜使用の有無は記載なし。

『ふるさと福井の味』(福井県生活改善実行グループ連絡研究会 1980年)
・・・p23「土用餅」項で、”あべ川餅ともいう。昭和30年頃までは、さつき上げは盛大に行われた。(中略)あべ川餅は当時の祝宴に欠かすことのできない料理である。”とあり。搗き立て餅に黒蜜をかけて砂糖を混ぜたきな粉をまぶす作り方も記載あり。黒蜜使用の由来や理由などは無し。

(2)安倍川餅(あるいはあべ川餅)に黒蜜ときな粉を使用するのは、次の資料によれば福井のほかは山梨県のみですが、なぜ黒蜜ときな粉を使用するのかについての記載が確認できたのは、調査済資料「月刊fu 2022年3月号」のみでした。

『47都道府県・和菓子/郷土菓子百科』(亀井千歩子∥著 丸善出版 2016年)
・・・「安倍川餅」は、静岡県(p170)と山梨県(p151)のみ。山梨県(p151)の「お盆の安倍川餅」項では、「14日には餅を搗き、黒蜜と黄な粉をまぶした安倍川餅を作り供える。これを模してお土産の「信玄餅」が出来たとされる。」とあり。福井での事例記載は無し。

『聞き書*ふるさとの家庭料理 5 もち雑煮』(農山漁村文化協会 2002年)
・・・p41山梨県甲府市「あべかわ」では、「古くから盂蘭盆のお供えものとしてつくっている」として、搗きたての切り餅に黒蜜をつけ、きな粉をまぶしたものを紹介。p42-43山梨県高根町の「あべ川もち」は、「六月の田植えやその後の農休み、お盆さんのお供えには、あべ川もちをこしらえる。」として、搗いた白餅に黒蜜、きな粉の順につけて食べるものを紹介。福井の安倍川餅は記載なし。

久米田賢治ほか「福井のあべかわ餅が好きです。」(月刊fu 2022年3月号,p22-23)
・・・p23に”あんこは夏傷みやすく保存が難しかったから。保存しやすい黒蜜を使い、さらに竹皮で包んだときに黒蜜が外へ流れないようきな粉をまぶすようになり”とあり。

(3)福井の安倍川餅について、上記以外で記載ある資料

久米田賢治「福井のあべ川餅」(いきいきセミナー,33巻5号通巻370号,2021.8,p2-3)
・・・ラジオ放送講座の概要記載のみで、由来等の詳細は無し。

『福井のお餅』(福井県交流文化部ブランド課 [2021])
・・・p7に「土用餅」項あり。”福井で土用餅といえば、あべかわ餅が一般的だ。たっぷりの黒蜜ときなこをかける全国的にも珍しいスタイル”とあるが、黒蜜かけの由来記載はなし。p2に”福井に餅屋が見られるようになったのは和菓子が発達した江戸時代中期ごろ。”とあり。

『日本の食生活全集 18 聞き書福井の食事』(農山漁村文化協会 1987年)
・・・p109に「あべ川もち」項あり。搗き立て餅に黒蜜をつけ、きな粉をまぶしたものを紹介。「土用もちにすることが多い」とあるが、いつから食しているかや黒蜜をつける由来などは無し。

『越前若狭の民俗事典』(斎藤槻堂∥著 越前若狭の民俗事典刊行会 1981年)
・・・p282に「どようもち(土用餅)」項あり。夏の土用から五日目を「土用五郎といい餅を搗いて祝って業を休む。これを土用餅という」とあるが、安倍川餅についての記載はなし。

『再発見!福井の食』(福井県農林水産部農業技術経営課∥編 福井県ふるさと活性化協議会 1999年)
・・・p16「祭」のページに、”土用餅ともいわれるあべ川は、祝い事には欠かせない料理。また田植え途中の休憩時にも食べた。”とあり、黒蜜かけて黄な粉をまぶした餅の写真掲載もあるが、いつから食しているかや黒蜜をつける由来などは無し。

『福井の郷土食』(福井県栄養改善推進員連絡協議会 1972年)
・・・「年中行事と食習慣」p3-5,17に、福井市・美山町・朝日町の事例で、7月半夏生、8月お盆と里帰りの食習慣として「あべ川餅」の記載あり。黒蜜使用の有無は不明。他地域では、「あんもち」「あんころもち」「土用もち(白もちにきな粉をつける)」などとあり。

(4)一般的な安倍川餅の由来等について記載ある資料(ただし、福井での事例や黒蜜の記載は無し)

『たべもの起源事典』(岡田哲∥編 東京堂出版 2003年)
・・・p33-34「あべかわもち(阿倍川餅)」項あり。

『たべもの語源辞典 新訂版』(清水桂一∥編 東京堂出版 2012年)
・・・p7「あべかわもち(安倍川餅)」項あり。

『事典和菓子の世界 増補改訂版』(中山圭子∥著 岩波書店 2018年)
・・・p4-5「安倍川餅」項あり。

『郷土菓子のうた』(岡部史∥著 ブイツーソリューション2017年)
・・・p131-133「安倍川餅(静岡)」項あり。
回答プロセス
(Answering process)
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
衣食住の習俗  (383 8版)
食品.料理  (596 8版)
参考資料
(Reference materials)
キーワード
(Keywords)
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
文献紹介
内容種別
(Type of subject)
郷土
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000334369解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決

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