レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 県立長野図書館 (2110021) | 管理番号 (Control number) | 県立長野-23-026 | |||||||||
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事例作成日 (Creation date) | 2023年5月16日 | 登録日時 (Registration date) | 2023年05月17日 18時10分 | 更新日時 (Last update) | 2023年06月07日 22時07分 | |||||||
質問 (Question) | 御岳山の中腹にある田ノ原湿原を調べている。この湿原の過去の写真や様子を書いたものを見たい。何回かあった御岳の噴火、遥拝所の建設、湿原周辺の木道設置など、湿原に影響があったであろう頃のものがあれば良いのだが…。 | |||||||||||
回答 (Answer) | 『ブックレット 王滝村の植物』王滝村誌編纂室編 王滝村 2013 【472.15/オウ】p.46-47にある古い絵葉書の写真が一番鮮明なものと思われる。ただし、撮影年は不明。 『山とお花畑 1』 田辺和雄著 高陽書院 1961 【N472/13】p.88に「田ノ原湿原」のカラー写真あり。湿原の全体像ではないが、高山植物越しに水辺が見える。この写真の解説がp.51にある。これも撮影年は不明。 『御嶽研究 自然編』御嶽駒ケ岳総合調査会 木曽教育会 1958【N234/28/1】p.489-490に「田ノ原の景観」の記述がり、ここで紹介されている植物「ミヤマオトギリ」の写真がある。 p.573の左ページに「田ノ原湿原遠望」の写真がある。湿原の様子の写真ではなく、稜線と樹木が写っているのみ。 p.646の右ページでは、「田の原湿原陸化地帯より御嶽主峰剣ヶ峰を望む」「田の原湿原におけるウマスギゴケ群落」の写真がある。 また、p.661-663に「木曽御嶽山における蘚苔植物の群落生態とフロラ」の「6.田の原湿原群落」の記述がある。 それぞれの写真の撮影年は不明。 また、これらの記述の参考文献として横内斎著「田の原の高層湿原の植物」(御嶽、駒ケ岳総合調査自然部および遺跡調査中間報告3報)1954 があげられていたが、当館では所蔵していない。県内の公共図書館、国立国会図書館、大学図書館等を調べましたが、所蔵する図書館は確認できなかった。 『御嶽火山と乗鞍火山の植物』 横内斎著 木曽教育会 1949【N472/4】のp.24に、登山道沿いの植物を紹介している中に、田ノ原付近がでてくる。植物分布の章でも、p.38,40に田ノ原付近の植物について書かれているが、田ノ原の写真はない。 古い版の『村誌王滝 上巻』 王滝村編 王滝村 1961 【N234/13/1】の第1章の最初に「田ノ原付近」というキャプションの写真がある。湿原の様子は判別できない。p.55-56に湿地帯であることに触れた記述がある。撮影年は不明。 『長野県の植生図 植物社会学的研究 第3集』長野県植生図作成調査団編 長野県生活環境部環境保全課 1975 【N471/3/3】p.22-24に木曽谷の湿原植生についての記述がある。この中で田ノ原について触れている部分がある。しかし、写真はない。 『神の山 御嶽』生駒勘七著 日本文化社 1993【N748/171】は、御嶽講の信者が参拝する様子をまとめた写真集で、田ノ原の写真がp.28-29に見開きである。p.84-85は鳥居越しの御嶽山の写真で、田ノ原周辺が写っている。田ノ原の遥拝所脇の登山道がそれとなく判別できるものとなっている。続くp.86-89は田ノ原遥拝所付近の写真。これらの写真も撮影年は不明。 松田行雄著「湿原植生の群落学的研究III 北アルプスの湿原植生」『長野県植物研究会誌』第8号 1975 p.89-100 の調査地点の一つに田ノ原がある。湿原ごとに特徴を記述したものではないため、田ノ原の様子がわかるものではない。 『長野県町村誌 第3巻中南信編』名著出版 1972 【N290/33a/3】「御嶽岩戸神社里宮」の中に、田ノ原の記述がある。同じ内容が、NPO長野県図書館等協働機構が運営する「信州地域史料アーカイブ」のコンテンツ「『長野県町村誌』と明治初期の村絵図」からも、見ることができる。[最終確認2023.5.21] 水谷豊文(1779-1833)が文化7年(1810)に信濃、木曽、美濃の産地で採薬した際の記録である「木曽採薬記」(『富士日記・木曽採薬記』 国立国会図書館山書を読む会編・刊 1983(江戸期山書翻刻叢書6)【N499/22】)中に、「田ノ原」の記述がある。 「木曽採藥記」は国立国会図書館デジタルコレクションで、インターネット公開。 「木曽採藥記 1巻 [1]」 「木曽採藥記 2巻 [2]」(63-)[最終確認2023.5.21] 書籍、雑誌記事を検索できるCiNii Research およびNDLサーチを「田ノ原」で検索した際にヒットした文献を紹介した。当館所蔵のものやインターネット公開の文献は、簡単に目を通しているが、未所蔵のものについては、内容確認はしていない。 ・浅野孝一著「カラー・グラフィック・ガイド (5)田ノ原―御岳山―中ノ湯」 『山と渓谷 日本百名山の山旅2』増刊561号 1983 p74-77 登山のスタート地点を田ノ原としていることからわずかに記述がある程度。湿原の様子には触れられて いない。8合目付近から田ノ原方向を見下ろすカラー写真が1枚あるが、湿原の様子はわからない。撮影 年は不明。 ・大森三郞著「春の木曽御嶽行」『山と渓谷』54号 1939 p.81-86 春スキーを兼ねた山行記で、残雪の田ノ原小屋から見た御嶽の白黒写真が一枚あった。撮影年は不明。 この山行で撮影されたものかもしれない。 ・『山岳美観』吉江喬松著,武井真澄画 協和書院 1935 67コマ目に「田の原小屋より」という絵がある。湿原の様子はわからないものの、比較的背の高い樹 木が描かれている。[最終確認2023.5.21] ・『木曽写真帖』坂野青峯撮影 浪越写真製版所出版部 1916 34コマ目に「御嶽山田の原」がある。暗い写真のため、細部は判別できない。[最終確認2023.5.21] ・大畠誠一他著「御岳山田ノ原のシラビソ林の樹形と生産力について」 『京都大学農学部演習林報告』京都大学農学部附属演習林編 46号 1974-12 p.51-57[最終確認2023.5.21] ・藤本潔ほか著 「御岳岩屑流堆積域における発生後10年目の植生発達と立地環境」 『森林立地』 第40巻2号 1998 p.83-90[最終確認2023.5.21] ・木村一洋ほか著 「火山監視を目的とした傾斜計に現れる融雪の影響:-御嶽山田の原の傾斜計の東西成分における融雪の影響を補正する試み-」 『雪氷研究大会講演要旨集』 2015 p.91[最終確認2023.5.21] ・松元 高峰ほか著 「御嶽山南東斜面田の原における融雪・熱収支の特性」 『雪氷研究大会講演要旨集』 2015 p.88[最終確認2023.5.21] 以下は、当館では所蔵していない資料だが、掲載箇所がある程度特定できるので、所蔵する図書館に文献複写として申し込むことができるので、最寄りの図書館に相談するよう案内した。 ・鬼頭六一郎著「王瀧口田ノ原より頂上を望む」『山と渓谷』31号 1935 (ページ不明)[未所蔵] ・「田ノ原の小屋附近より見たる御岳 王瀧口中ノ小屋に於ける御岳講の一團」 『山岳』第22巻3号 1928 p.420[未所蔵] ・渡辺公平著「エッセイ 田ノ原小屋の暁闇」『山岳』第98号 1956 p.19 [未所蔵] | |||||||||||
回答プロセス (Answering process) | 1 所蔵資料を「田ノ原」「田の原」で、検索する。ヒットした資料を確認する。御岳山だけでなく、志賀高原にも「田ノ原湿原」があるため、表題、副題等から注意して確認していく。 2 あまり、御岳山の田ノ原に関する資料はヒットしなかったので、「木曽」「御岳」と「湿原」あるいは「植物」で検索し、ヒットした資料を確認していく。 3 検索からヒットしたもので、利用者が希望するものがヒットしないため、郷土分類N470(長野県の植物)、N452(長野県の陸水)、N234(木曽地方の歴史)の書棚周辺の資料を調べる。 4 郷土雑誌の植物関係の研究誌の目次を確認していく。 ・『長野県植物研究会誌』1-55号の目次を見たが、田ノ原湿原についての調査報告記事は確認できない。 ・『信濃路 信濃生物会会報』1-71号の目次を見たが、田ノ原湿原についての調査報告記事は確認できない。 ・「第35回 信濃生物会総会および生物教育研究会御嶽登山の報告」 『信濃路 信濃生物会会報』No.5 1962.11 p.2-4 8月8日に行われた総会・研究会の報告で、2日目に田ノ原に立ち寄っていることはわかったが、 ガリ版による手書きの会誌で、写真や詳細な報告はない。この時採取された昆虫名が一覧になっ ている。 また、後年編集されたNo.16 1967.8 p.19によると、この研究会で当時の王滝小学校長 奥原弘人氏 が「御岳の植物について」と題して講習を担当したことがわかった。 同様にNo.40 1983.9 p.1によると、この時、「木曽の植物」という演題で講演している。しかし、 内容の記載はない。 ・久保田義弘著「木曽地方産蘚類(I)」『信濃路 信濃生物会会報』No.13 1965.12 p.23-24 国道19号沿いの700m前後の地域が採取対象。 5 国立国会図書館デジタルコレクションで「田ノ原」「田の原」もしくは「田野原」を検索する。 6 山岳雑誌がヒットしていたので、同じように、NDLサーチでも検索する。所蔵雑誌、リポジトリ等で公開しているものについて内容を確認する。 7 郷土分類N748の写真集で、「木曽」「御岳」などがタイトルから類推できる写真集の内容を確認していく。 8 郷土の植物関係の研究誌をチェックしていた際に湿原の植物群落等の変化や、湿原の乾燥にかかわる文献があったので、あわせて紹介することにした。 ・松田行雄著「湿原植生の群落的研究V 天狗原の12年間の動態」 『長野県植物研究会誌』第25号 1992 p.22-25(p.25は折図) ・松田行雄著「湿原の発達と群落の消長 1 霧ケ峰八島ケ湿原36年間の動態」 『長野県植物研究会誌』第32号1999 p.1-18 ・松田行雄/波田善夫著「湿原の発達と群落の消長2 泥炭解析による群落遷移と定置枠内の群落変化」 『長野県植物研究会誌』第33号 2000 p.1-16 <調査資料> ・『木曽谷の植物 -小泉秀雄先生木曽谷植物日記-』横内斎著 木曽教育会 1948【N472/5】 ・『木曽谷植物目録』 (小泉秀雄先生指導)横内斎ほか編 木曽教育会 [19--]【N472/12】 ・『木曽谷の植物』 奥原弘人著 木曽教育会 1971【N472/37】 地域別に主要な植物を紹介しているが、田ノ原湿原についての言及はない。 ・『長野県の植物』横内斎著 信濃教育会出版部 1971【N472/34】 ・『日本北アルプス湖沼の研究』 田中阿歌麿 信濃教育会北安曇部会 1930【452.93/タア】 ・『御嶽山の陸水』 桜井善雄著 長野県 1975【N452/44】 ・『まさか王滝に! 長野県西部地震の記録』 長野県木曽郡王滝村 1986【N453.2/67】 ・『御嶽山の恵み そして語り継ぐこと』 長野県王滝村・長野県木曽町 2016【N369/547】 ・『霊峰御嶽』栄馬智太郎撮影 風景写真出版 2022 【748/エト】 ・『ONTAKE』浅野恭正撮影 岐阜新聞社総合メディア局出版室 2017 【748/アヤ】 ・『新信濃写真風土記 2』沢頭修自写真 信濃教育会出版部 1985 【N748/52/2】 ・『山麓逍遥 信州木曽御嶽』宮原卓司著 遊人工房 2001 【N748/237】 ・『信濃路 信濃生物会会報』No.16 1967.8 p.24-25に同会が所蔵する「関係資料・文献目録」があり、 32 昭和37 御岳(研究会資料) (所蔵 No.162) とある。 | |||||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | 『村誌王滝自然編』 王滝村誌編纂委員会編 王滝村 2017 【N234/13a/1】 新聞記事については、別に確認する予定なので、今回は不要。 | |||||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) |
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キーワード (Keywords) |
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照会先 (Institution or person inquired for advice) | ||||||||||||
寄与者 (Contributor) | ||||||||||||
備考 (Notes) | ||||||||||||
調査種別 (Type of search) | 文献紹介 事実調査 | 内容種別 (Type of subject) | 郷土 | 質問者区分 (Category of questioner) | 社会人 | |||||||
登録番号 (Registration number) | 1000333248 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 解決 |