レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年02月16日
- 登録日時
- 2023/03/27 16:28
- 更新日時
- 2023/03/27 16:28
- 管理番号
- 千県西-2022-0013
- 質問
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解決
中国の昔話を探している。主人公の少年が老人を助けたお礼に紙の船をもらう。その船は、魔法で自由自在に大きさを変えることができる。その船で猫、蟻、蜂、鶴を助けるという話である。
- 回答
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質問にあったお話は、中国の昔話である「宝船」と思われます。
資料によっては、「まほうの船」「たからのふね」という書名になっています。
【資料1】『まほうの船』(ラオ・ショぶん ほるぷ出版 1981)
・老人を助けた主人公のワン・シァオアルは、お礼に紙の船をもらう。
・紙の船は大きくなったり、小さくなったりする。
・大水の際に猫、蟻、蜂、鶴を助けて船に乗せる。
・助けた動物たちが、あとからシァオアルの窮地を救ってくれる。
また、巻末にある筆者の老舎(ラオ・ショ)の紹介文では、「「まほうの船」(原題:宝船)は、1962年に発表された童話劇で、中国の子どもたちに人気がある」と書かれています。
登場する生き物が少し違いますが、以下の資料もあります。
【資料2】『たからのふね 中国の昔話 世界のメルヘン絵本 19』(君島久子訳 井上洋介絵 小学館 1979)
・老人を助けた主人公の王小(ワンシャオ)は、お礼に紙の船をもらう。
・紙の船は大きくなったり、小さくなったりする。
・大水の際に蛇、蟻、蜂を助けて船に乗せる。
・助けた動物たちが、あとから王小の窮地を救ってくれる。
p65-67には解説が掲載されており、「このお話は、江蘇省の銅山という所で、漢民族の間に伝承していたものを姜慕晨氏が採集し、1957年9月の「民間文学」に「宝船」と題して発表しました。(中略)この「宝船」が、中国の人々にもことのほか喜ばれたということは、当時高名な作家であった老舎の手によって脚色され、劇本として「人民文学」に発表されたことでも想像できると思います。」とあります。
また、「この物語の類話は、中国、東南アジア、朝鮮半島、そして日本と、かなり広範囲に分布しています。」として、漢族の「葦船」や岩手県・熊本県の伝承が紹介されています。
【資料3】「宝の船」『中国の民話101選 3』(人民中国編集部編 平凡社 1974)p122-133
出てくる生き物やストーリーは【資料2】と同じです。
※参考資料末尾の数字は当館の資料番号です。
- 回答プロセス
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1 Googleを「中国 船 昔話」で検索したが、質問にあった内容の話はヒットしなかった。船の字を「舟」に変え「中国 舟 昔話」で検索したところ、【資料2】の情報がヒットした。【資料2】の内容を確認したところ、登場する生き物は少し違うが、ストーリーはほぼ同じであった。
2 【資料2】の奥付から著者名「老舎」というキーワードを得たので、自館の所蔵検索を著者名「老舎」で検索したところ、【資料1】がヒットした。内容を確認すると、登場する生き物もストーリーも質問と同じであった。
3 【資料1】【資料2】から「まほうの船」「たからのふね」「宝船」といった題名が分かったので『民話・昔話集内容総覧』(日外アソシエーツ株式会社編集 日外アソシエーツ 2003)の索引を題名から確認したところ、【資料3】が見つかった。
- 事前調査事項
- NDC
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- 伝説.民話[昔話] (388 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『まほうの船』(ラオ・ショぶん ほるぷ出版 1981)(9600498548)
- 【資料2】『たからのふね 中国の昔話 世界のメルヘン絵本 19』(君島久子訳 井上洋介絵 小学館 1979)(9600714885)
- 【資料3】「宝の船」『中国の民話101選 3』(人民中国編集部編 平凡社 1974)p122-133(9600327424)
- キーワード
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- ストーリーレファレンス
- 絵本
- 中国
- 昔話
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌的事項調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000331068