レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 県立長野図書館 (2110021) | 管理番号 (Control number) | 県立長野-22-180 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
事例作成日 (Creation date) | 2022年12月15日 | 登録日時 (Registration date) | 2023年03月26日 16時10分 | 更新日時 (Last update) | 2023年05月19日 12時23分 | |||
質問 (Question) | 「㠀」と書く「島」の字が使われていた年代を知りたい。 | |||||||
回答 (Answer) | 下記資料から、漢字の字体に関する資料を参照したところ、「㠀」は本字であることがわったが、「㠀」が使用されていた年代がわかる資料は確認できなかった。 ・『漢字異体字典』日外アソシエーツ編集部編集・刊 1994【811.2/ニチ】p.70 「島」 ・『日本難字異体字大字典 文字編』遊子館 2017【811.2/ニホ/2】p.88 「島」 「本字」とは、「ある漢字のもとになった漢字。(中略)または、その字源から、考えて正字であったとすべき漢字をさして本字という(後略)」と『漢字百科大事典』佐藤喜代治[ほか]編 明治書院 1996【811.2/サキ】p.26「本字」の項目に解説あり。 また、下記資料から、1949年に『当用漢字字体表』で標準的に使用する漢字が「島」に統一されたことがわかる。 ・『漢字源』藤堂明保編 学研 2007【813.2/トア】 巻末の「国語施策における「漢字」について」の中で、p.1892「新字体と旧字体」の項目で「1949(昭和24)年に内閣告示された『当用漢字字体表』において標準として採用された漢字の字体を「新字体」、また、「新字」といい、それに対して、従来正字とされてきた『康煕字典』に収録されている字体を規範とする活字体を「旧字体」、また「旧字」という」とある。 <補記> ・『字通』白川静著 平凡社 1996【813.2/シシ】p.1198「島」 会意 「鳥の省文+山。山は海中の岩島。〔説文[説文解字]〕九下に「海中に徃徃山の依止すべきもの有るを㠀と曰ふ」とあり、鳥(ちよう)声の字とする。海鳥の住む岩島をいい、その小さいものを嶼(しよ)という。字はまた島に作り、嶋に作る。」とあり。 この出典としている「説文解字」は、『日本国語大辞典 第7巻』小学館国語辞典編集部編集 小学館 2001【813.1/シヨ/7】p.1414「せつもんかいじ 【説文解字】」の解説によると、「中国の現存する最古の字書(後略)」とある。 本文は下記のとおり早稲田大学図書館特別資料室「古典籍総合データベース」で見ることができる。 『説文解字. 第1-15』許慎 1807 説文九下 一枚目表(2冊 10コマ目)[最終確認日 2023年5月7日] ・「島」とその異体字「嶋」、「㠀」について 「島」は常用漢字として常用漢字表(平成22年内閣告示第2号)に記載されている[最終確認日 2023年5月7日]。 「嶋」は常用漢字表に記載はないが、人名用漢字として「戸籍法施行規則 別表第二 漢字の表(第六十条関係)[PDF]」に記載があるため、子の名前に使用することができる[最終確認日 2023年5月7日]。 「㠀」については現在上記の常用漢字表、人名用漢字の表にも記載がないため、子の名前に使用することはできない。 子の名に使える漢字は法務省の下記データベースから検索することができる。 法務省「戸籍統一文字情報」[最終確認日 2023年5月7日] 下記のウェブ記事にさらに詳しい記述がある。 安岡 孝一「人名用漢字の新字旧字 第45回 「島」と「㠀」」 「WORD-WISE WEB 三省堂 辞書ウェブ編集部による ことばの壺」2009年10月22日[最終確認日 2023年5月7日] 。 | |||||||
回答プロセス (Answering process) | 1. 漢字に関わる資料を確認する ・『漢字異体字典』(前掲) ・『日本難字異体字大字典 文字編』(前掲) ・『漢字源』(前掲) 2. 漢字に関わる研究論文を探す ・国立情報学研究所『CiNii Research』 研究論文や全国の大学図書館で所蔵している図書を探すためのデータベース。 「㠀」をキーワードに検索したところ、36件のヒットがあったが、著者名などに含まれているのみで、「㠀」が使われていた時期を示す論文等は確認できなかった。 3. 国語に関わる政策の歴史などがわかる資料を参照する ・『国語施策百年の歩み』文化庁編・刊 2003 【810.9/ブン】 ・『常用漢字表の字体・字形に関する指針』文化庁編 三省堂 2016【811.27/ブン】 | |||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | ||||||||
NDC |
| |||||||
参考資料 (Reference materials) |
| |||||||
キーワード (Keywords) |
| |||||||
照会先 (Institution or person inquired for advice) | ||||||||
寄与者 (Contributor) |
| |||||||
備考 (Notes) | 神社にある社名が書かれている額にこの字が使われており、神社の建立時期を知るための手がかりにしたいとのことだったため、この回答と合わせて「長野市若穂にある牛島神社の建立時期がわかる資料はあるか。」(県立長野-22-179)の回答をした[最終確認日 2023年03月26日]。 | |||||||
調査種別 (Type of search) | 事実調査 | 内容種別 (Type of subject) | 言葉 | 質問者区分 (Category of questioner) | 社会人 | |||
登録番号 (Registration number) | 1000331002 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 未解決 |