中京郵便局は、日本で初めて導入されたファサード（外壁）保存により改築されたが、保存が決定されたいきさつ、関わった人物などの詳細が知りたい。

中京郵便局は、明治35(1902)年にルネサンス風西洋建築として、現在地である三条通りと東洞院通りの交差する角地に建築されました。以降増改築を加えながら保存されてきましたが、築70年を機に老朽化した局舎の外観を残しながら内部のみ改装する方法「ファサード保存」により新築工事を行いました。伝統的な建造物群の景観保存も同時に達成するもので、昭和53(1978)年完成の中京郵便局が日本初のファサード保存の事例となりました。【資料①②③④⑦】


【資料①】【資料②】
中京郵便局のファサード保存の建築記録。ファサード保存の経過・いきさつ・関連人物等の詳細な記述と写真の掲載あり。工事の計画・日程・図面等の建築資料も豊富に掲載。

【資料③】「三条通側の外壁全部、東洞院通側外壁の2/3、東側外壁の一部が保存された」ことの記載あり。

【資料④】「老朽化を理由に取り壊しが決定していたが、市民有志による建物保存運動が広がり、その結果、市民側が提案していたファサード保存が決定した」との記述あり。

【資料⑦】中京郵便局と京都文化博物館の両者が三条通の歴史的建築の中核的存在であり、改築にあたっては、三条通に面した外壁のすべてと東洞院川の３分の２を残した「ファサード保存」を採用されその先駆となったことなどが記述されている。


＜参考＞関連新聞記事

【資料⑤】朝日新聞クロスサーチ (朝日新聞記事検索)
　・昭和49(1974)/8/29朝刊 東京版「都市景観とビルの外壁保存　京都・中京郵便局改築に思う（寄稿）」　
　・平成10(1998)/7/20朝刊 大阪版「古都の近代建築、老朽化進みリストラの波　景観論争に発展も」
　・平成24(2012)/3/21朝刊 京都市内版「外観保存の歩み　京都・中京郵便局で常設展」

【資料⑥】京都新聞縮刷版
　・昭和53(1978)/4/4朝刊 市民版「明治の面影〝保存”、再開へ」⇒「最初は、全面解体の予定だったが、「明治の建築を保存して」との声が高まったため、途中で設計を直し、総工費13億4千4百万円で改築工事をした」との記載あり。

・所蔵資料の検索…キーワード「ファサード（保存）　外壁保存」
⇒これらのキーワードでは、それらしい資料はヒットせず

・再度、所蔵資料の検索…キーワード「中京郵便局」
⇒ヒットなし　

・府下資料の検索…キーワード「中京郵便局」
⇒【資料①②】がヒット

・さらに、所蔵資料の検索…キーワード「名建築　近代建築　京都　明治」
⇒【資料⑦】がヒット

・さらに、「ファサード保存」について調べるために、日本の近代建築関係の棚（NDC:523～）をブラウジング
⇒【資料③④】

・当時の新聞記事から、中京郵便局のファサード保存の経緯が書かれた記事を探す
⇒【資料⑤⑥】

【資料⑤】朝日新聞クロスサーチ
＜明治・大正・昭和 1874-1989 ／ 掲載期間：検索対象区分選択-区分毎-昭和＞
＜キーワード：中京郵便局　（ファサード）保存＞　

【資料⑥】京都新聞縮刷版1978年4月
　【資料⑤】より、竣工日は昭和53(1978)4/10
⇒日付前後の記事を探す
⇒昭和53(1978)4/4掲載あり