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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

提供館
(Library)
千葉県立西部図書館 (2120003)管理番号
(Control number)
千県西-2022-0005
事例作成日
(Creation date)
2022年05月06日登録日時
(Registration date)
2023年02月05日 09時56分更新日時
(Last update)
2023年02月05日 09時57分
質問
(Question)
 ミサゴが捕まえた魚を岩陰に隠し、海水がかかって自然に発酵して酢に漬けたような魚になるという「みさごずし」について書かれた資料はあるか。
回答
(Answer)
 【資料1】~【資料4】には質問にあるとおり、ミサゴが石の隙間に魚を隠し、自然に熟した魚を「みさごずし」というとされていますが、【資料5】や【資料6】には、ミサゴにそのような習性はなく、「みさごずし」の真偽を問うような記述もあります。

【資料1】『本朝食鑑 3』(人見必大[著] 島田勇雄訳注 平凡社 1978)
 p173-178 雎鳩 美佐古(みさご)と訓む。
 「数匹の魚を捕らえて、潜かに密集した石の隙間に隠し、一晩おいておく。これを美佐古の鮓という。漁人はこれを識っていて、とって食う。その味は佳ならずといえども稍味わいがある」
 なお、ミサゴの項目は『本朝食鑑』原本では巻之六 禽之四 山禽類十一種に収録されています。

【資料2】『古事類苑 飲食部』 (吉川弘文館 1980)
 p970-971「鶚鮓」の項目には、各文献から引用した解説が載っています。
 [安齋随筆 十二]からの引用「海鳥小魚を促りて石窪の中に貯へ潮汐に漫漬し、自然に熟せる物なり」
 [嬉遊笑覧 十上 飲食]からの引用「水邊に魚を掠食ふ、或は魚を取貯へ、岸の沙石の間に積置を、みさごの鮓と云ふ」
 [皇都午睡 初編中]からの引用「魚を爪にかけ、海岸の巌に生たる藻を掻分て埋め置を、海士の子藻の影より是を取食する也」

【資料3】『和漢三才図会 6』(寺島良安[著] 平凡社 1987)
 p334「鶚」
 「つねに魚を捕えて食べる。食べ飽きるとひそかに石間の密処におき、日をおいて穴に入ってこれを食べる。これを鶚の鮓という。人はその所在を見付けてこれを取って食べる」とあります。

【資料4】『図説江戸料理事典』(松下幸子著 柏書房 1996)
 p41「すし類」の解説の中では「みさごずし」について『料理珍味集』(1764)の原文の一部を掲載しています。
 「海辺にみさごという鳥あり 海に入りて魚をとり 木の枝に置きて己が小便をかけ置き 又海に入りて魚をとる事幾度も是の如し 此魚を鮓に漬けるに味美なり」

【資料5】『角川古語大辞典 第5巻』(中村幸彦編 角川書店 1999)
 p477 みさごずし【鶚鮨・鶚鮓】の項目
 「雎鳩(みさご)が捕らえて岩間などにこっそり置いた魚類が、海水がかかって鮓(すし)のようになったもの。(中略)みさごにそのような習性は全くなく、現在では「みさごずし」は伝説のものと見なされている。」

【資料6】『すしの本』(篠田統著 柴田書店 1993)
 p185-196 ミサゴずしの伝承
 「魚のようなたん白質を塩と一緒に漬けておいたら、よほど油の濃いものでないかぎり、自家消化でアミノ酸が遊離してきてしおからにこそなれ、酸しといわれるほど有機酸が生成するはずはなく、魚油が分解したなら一応酸味はできようが、舌をさすような味で食用にはなりそうにもない。どうもミサゴずしの話は都人の几の上での創作のように思える。」
回答プロセス
(Answering process)
1 自館所蔵の辞典類を確認し、【資料2】【資料3】【資料5】の記述を見つけた。

2 【資料5】の「みさごずし」の項目に参考文献として掲載されていた【資料1】を確認、【資料1】の注釈に書かれていた【資料6】を確認した。

3 Googleブックスをキーワード「みさごずし」で検索し、【資料4】がヒットした。

4 その他、以下の鳥類図鑑を確認したが、みさごずしに関する記述は見つからなかった。
 『ワシタカ・ハヤブサ識別図鑑』(真木広造写真・解説 平凡社 2012)
 『新版 日本の野鳥 写真検索 山溪ハンディ図鑑 7』(叶内拓哉写真・解説 山と溪谷社 2014)
 『原色日本鳥類図鑑 新訂増補版』(小林桂助著 保育社 1983)
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
鳥類  (488 9版)
食品.料理  (596 9版)
参考資料
(Reference materials)
【資料1】『本朝食鑑 3』(人見必大[著] 島田勇雄訳注 平凡社 1978)(1100229050)
【資料2】『古事類苑 飲食部』 (吉川弘文館 1980)(1100017791)
【資料3】『和漢三才図会 6』(寺島良安[著] 平凡社 1987)(1100503757)
【資料4】『図説江戸料理事典』(松下幸子著 柏書房 1996)(1101462499)
【資料5】『角川古語大辞典 第5巻』(中村幸彦編 角川書店 1999)(1101640231)
【資料6】『すしの本』(篠田統著 柴田書店 1993)(1101146926)
キーワード
(Keywords)
みさご
みさごずし
みさご鮓
みさご鮨
鶚鮓
鶚鮨
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
事実調査
内容種別
(Type of subject)
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000328598解決/未解決
(Resolved / Unresolved)

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