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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

提供館
(Library)
大阪府立中之島図書館 (2120002)管理番号
(Control number)
6001059073
事例作成日
(Creation date)
2023/01/07登録日時
(Registration date)
2023年02月01日 00時30分更新日時
(Last update)
2023年02月01日 00時30分
質問
(Question)
江戸時代の大坂の絞油業について知りたい。
回答
(Answer)
次の資料に、江戸時代の大坂での絞油業に関する記載があった。

■『新修大阪市史 第4巻』(新修大阪市史編纂委員会/編集 大阪市 1990)
・「第二章 停滞と変容 第二節 商工業の展開 3 都市工業 絞油業」(p.236-239)
「大坂で絞油業が隆盛となるのは元禄以降で、船場や島之内・天満で生産され、江戸への販路を開拓した。(中略)延享四年ごろには、菜種絞油屋は長堀・東堀・阿波座堀・上町・天満などに二五〇軒余、綿種絞油屋は東堀・阿波座堀・天満に二七軒余存在していた。(中略)大坂市中の絞油業は、近世後期になると近世前期における優位性を喪失し、在来絞油業に脅かされることになった。」(p.237)

■『大坂の水油:江戸時代の油流通』(大阪市立海洋博物館なにわの海の時空館/編集 大阪市立海洋博物館なにわの海の時空館 2009.7)
・第3章「油の流通 第1節 大坂の油屋 A. 油商人と株仲間の成立」(p.32-35)
「大坂における油の流通組織は、菜種・綿実など油の原料を扱う種物問屋とそれを仕入れ搾油する絞油屋、製品としての油を扱う油問屋・油仲買に分けられる。種物問屋は享保年間(1716-1736)に成立し、菜種問屋と綿実問屋に分かれ、諸国から原料を買い集めて絞油屋に売捌いた。菜種絞油屋は延享4年(1747)の記録によると、長堀・東堀・阿波座堀・上町・天満などに約250軒、綿実絞油屋は東堀・阿波座堀・天満に27軒を数えたという(『改正増補 難波丸綱目』)。いずれも原料の種物や油の輸送に便利な堀川沿いの地域であった。」(p.32)

■『校本難波丸綱目』(多治比郁夫/編輯 中尾松泉堂書店 1977)
「延享版『改正増補 難波丸綱目』」の第四冊 四十五丁オ(p.141)に「種しぼり油屋」「綿種しぼり油屋」がある。

■『近世の商品流通 塙選書』(八木哲浩/著 塙書房 1962)
・「1 一七世紀における商品流通の展開 ―在郷町を中心とする流通機構の形成― 一 大坂周辺における商品生産の展開 ―綿作地帯と江戸下り酒特産地の形成― 4 一七世紀の菜種と絞り油業」(p.35-37)
「菜種・綿実をもってする絞り油業は一七世紀にはまず大坂市中に展開した。元禄三年に著わされた『人倫訓蒙図彙』に『大坂長ほり天満にてしぼり所ゝへ出す』とあるとおり、大坂の絞り油業は長堀川をはさむ船場・島之内と天満を中心に展開した。しかしこれは専ら畿内産菜種をもってする絞り油業ではなく、大坂廻着の他国種物を買い入れて絞るものであった。」(p.36)

■『明治労働運動史研究』(北崎豊二/著 雄山閣 1976)
・「第一章 明治前期における大阪の絞油業と油絞雇人の労働運動 第一節 大阪の絞油業と油絞雇人 一 幕末期の絞油業と油絞雇人」(p.5-9)
p.5に「大阪の絞油業は、近世にはまず都市手工業として長堀川をはさむ船場・島之内と天満を中心に展開したのであって、元禄期すでにこの地域に絞油業者が存在していたという。そして、延享五(一七四八)年の記録には、大阪市中に『種しぼり油屋惣合弐百五拾軒余、年行司八人宛、年替り、長堀・東堀・阿波座堀・上町・天満其他所々有之。綿種しぼり油屋惣合弐拾七軒、年行司壱人宛、年替り、東堀・阿波座堀・天満に有』とある。(中略)しかし、一八世紀にはいった享保期には、大阪の絞油業に対抗するものとして、新たに西摂の灘目に水車絞油業が出現したほか、幕末には摂河泉はじめ畿内の在方にも絞油業が展開した。そのため、大阪の絞油業は衰退を余儀なくされた」(p.5)

なお、延享五(一七四八)年の記録について、注に「『改正増補難波丸綱目』下之二(『東区史』第三巻、六三ページによる)。」とある。
※『東区史 第3巻 経済篇』(大阪市東区法円坂町外百五十七箇町区会/編纂 大阪市東区役所 1941)【328/89/(2)#】p.63に「延享五年板の『改正増補難波丸綱目(下之二)』の「種しぼり油屋」「綿種しぼり油屋」についての記載部分がある。

■『日本産業史大系 6 近畿地方篇』(地方史研究協議会/編 東京大学出版会 1960)
・八木哲浩「菜種と水油」(p.222-240)の「一 畿内における菜種作・絞り油業の展開 畿内における絞り油業」(p.226-228)に次の記載がある。
「十六、七世紀のころ、油料原料としては荏胡麻・胡麻から菜種へと重心が移り、さらに綿実から絞る白油の登場もあったが、絞り油業は近世にはまず大坂市中を中心に展開した。元禄三年(一六九〇)に著された『人倫訓蒙図彙』に『大坂長ほり天満にてしぼり所ゝへ出す』とあるとおり、大坂の絞り油業は長堀川をはさむ船場・島之内と天満を中心に展開し、大坂廻着の他国種物を多量に買い入れ絞った。(中略)だが十八世紀に入った享保期には、数は多いが規模の小さい大坂や堺・平野郷の人力絞り油屋に対抗するものとして、新たに西摂の灘目に水車による絞り油業が急速に擡頭してくる。そして水車新田なる水車油稼専業の村方さえ新たに建設されるほどであった。この灘目の水車は大坂の人力搾油に比べ搾油能力が大きいだけに、その擡頭は大坂にとって大きな脅威となった」(p.226-227)

■『稀書複製会〔叢書〕 第44冊』(米山堂 1921)
『人倫訓蒙図彙』(蒔絵師源三郎画)元禄3年刊の複製。第44冊が『人倫訓蒙図彙 四』で、十四丁オに油屋の絵と、上段に油屋についての記載がある。

■『日本古典全集 第3期[17] 人倫訓蒙図彙』(正宗敦夫/編纂校訂 日本古典全集刊行会 1929)
『人倫訓蒙図彙』が活字になっている。「人倫訓蒙図彙 四 商人部」に油屋の絵があり、次の記載がある。
「【油屋】大坂長ほり天満にてしぼり所々へ出す。京むき、江戸むきとてあり。むかしは山崎を名物とす。今はなし。」(p.159)

●酒井一「幕末における絞油業の発展」『ヒストリア』<20>(大阪歴史学会 1957.10)p.57-73
(復刻にて確認。)
・「延享五年には、大坂には『種しぼり油屋二五〇軒余、長堀・東堀・阿波座堀・上町・天満其外所々有之。綿種(ママ)しぼり油屋二七軒、東堀・阿波座・天満に有』とある。(『改正増補難波丸綱目』)」(p.64)
・「大阪市中の絞油屋の分布は、大体天満及び長堀川をはさんだ船場・島之内の二つが中心地であつたと思われ、明治二〇年代迄このような状態であつたといわれる。(東区史三の一九頁)先にみた延享五年の史料にも長堀・東堀・天満に絞油業の存在していたことがしられるし、その個々の名前も平野郷町覚帳によつてある程度判明する。天満に関しては、絞油業の職人たちが群居していたといわれる(岡本氏前掲書六頁、一三二頁)。」(p.65)

※『東区史 第3巻 経済篇』(大阪市東区法円坂町外百五十七箇町区会/編纂 大阪市東区役所 1941)
p.19に天満に関しての記載は見当た羅たないが、「江戸時代東区の地に於て最も盛であつた絞油業・酒造業などは急速に衰頽し」といった記載がある。

※「岡本氏前掲書」とあるのは、『大塩平八郎』(岡本良一)とあり、改訂版もあるが、『ヒストリア 第20号』が昭和32年に発行されているため、おそらく1956年([初版])の方を確認しての記述かと思われる。

■『大塩平八郎 [改訂版]』(岡本良一/著 創元社 1975)
それぞれ次の記載があります。
p.6「天満は絞油業や酒造業に雇われた職人たちの群居する所であり、玉造界隈は綿くりや、綿うち道具の唐弓弦の製造に従事する貧しい人たちの居住地区であった。これらの人々がいわゆる借屋人である。」
p.132「天満その他絞油業・酒造業などの小手工業場の多かった町々」

※1956年発行の分は、p.6に「絞油業に雇われた職人たち」となっている。

■『日本科学古典全書 第11巻』(三枝博音/編纂 朝日新聞社 1944)
『製油録』(大蔵永常著)が活字になっている。
『製油録 下巻』には「大阪流油絞り方」(p.338-349(p.26-37))等の記載がある。
※中之島図書館では、和装書『製油録』(大藏永常 岡田群玉堂等 天保7年)を所蔵している。

[事例作成日:2023年1月7日]
回答プロセス
(Answering process)
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
油脂類  (576 10版)
参考資料
(Reference materials)
新修大阪市史 第4巻 新修大阪市史編纂委員会∥編集 大阪市 1990 (237)
大坂の水油 大阪市立海洋博物館なにわの海の時空館∥編集 大阪市立海洋博物館なにわの海の時空館 2009.7 (32)
校本難波丸綱目 多治比/郁夫∥編輯 中尾松泉堂書店 1977 (141)
近世の商品流通 八木/哲浩∥著 塙書房 1978 (36)
明治労働運動史研究 北崎/豊二∥著 雄山閣 1976 (5)
東区史 第3巻 大阪市東区法円坂町外百五十七箇町区会∥編纂 大阪市東区役所 1941 (19、63)
日本産業史大系 6 地方史研究協議会∥編 東京大学出版会 1971 (226-227)
日本古典全集 第3期[17] 正宗/敦夫∥編纂校訂 日本古典全集刊行会 1928 (159)
ヒストリア 複刻版 大阪歴史学会 柏書房  3巻
大塩平八郎 [改訂版] 岡本/良一∥著 創元社 1975 (6、132)
大塩平八郎 岡本/良一∥著 創元社 1956 (6、132)
日本科学古典全書 第11巻 三枝/博音∥編纂 朝日新聞社 1944
キーワード
(Keywords)
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
文献紹介
内容種別
(Type of subject)
大阪
質問者区分
(Category of questioner)
個人
登録番号
(Registration number)
1000328287解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決

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