レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2022/12/25 17:18
- 更新日時
- 2023/02/07 10:57
- 管理番号
- 北九2022八幡23一般
- 質問
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解決
「名無しの権兵衛」という言葉の語源を知りたい。
- 回答
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「名無しの権兵衛」という言葉の語源については、次の資料に記載がありました。
(1)『日本国語大辞典 第10巻 な-はわん』 小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2001
p.200 ななしの権兵衛(ごんべえ) 名のわからない人を呼ぶのに、ふざけたり、あざけったりしていう語。田舎の人に権兵衛という名が多いところから呼んだとも、「名主の権兵衛」をもじったものともいう。
(2)『たのしい雑学読本』 坪内忠太/著 新講社 2007
p.185 238・権兵衛という名があるのになぜ「名なしの権兵衛」か?
『名前の通ってない人のことを「名なしの権兵衛」というが、権兵衛という名があるのにどうして「名なし」なのかと思ったことはないだろうか。国語学者の金田一春彦氏によると、これはただの勘違いからなのだそうだ。「山王のお猿さん」という昔のわらべ歌に「『名主』の権兵衛さん」という歌詞があるが、これを子供が「名なし」といい間違えて歌っているうちに「名なし」になったというのだ。』
(3)『「言葉のルーツ」おもしろ雑学』 エンサイクロネット/著 PHP研究所 2001
p.211『「~兵衛」というのは、古くから男性の名前によくつかわれてきた。(中略)
「名なしの権兵衛」は、もともとは「名主の権兵衛」で、東京・赤坂の日枝神社にまつわる手まり歌の中に、そういうフレーズが登場する。このナヌシの権兵衛が、子どもたちが歌ううち「名なし」に変わった。(以下略)』
(4)『童謡・唱歌の世界』 金田一 春彦/著 主婦の友社 1978
p.128-129 九 子どもの解釈
『子どもは、歌の意味がわからない時は、全体の意味を考えることなく、自分が意味を知っている似た響きの言葉で置き換えるものである。(中略)
東京の古典的な手毬歌に、前に引いた、「山王のお猿さん」というのがあるが、この終わりの方に、
名主の権兵衛さん 魚がないとて腹を立て
という個所がある。この、「名主」が子どもに理解できない。そこで音の似た「名無し」に変えた。今、成句となっている「名無しの権兵衛」はこのようにして生まれたものである。(以下略)』
(5)『わらべうた 日本の伝承童謡』 町田 嘉章/編 岩波書店 1983
p.34-35 「山王のお猿さん」歌詞の説明文に『名主(無)の権兵衛さんが』の記載あり。
- 回答プロセス
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最初に国語辞典で「名無しの権兵衛」の意味を確認後、語源に関する本や童謡に関する本等を調査しました。
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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- 『日本国語大辞典 第10巻 な-はわん』(R813.1/シ/10、0510634132) , ISBN 4095210109
- 『たのしい雑学読本』 坪内忠太/著 新講社 2007(049/ツ、0510688377) , ISBN 9784860811464
- 『「言葉のルーツ」おもしろ雑学』 エンサイクロネット/著 PHP研究所 2001(G812/エ、0311265359) , ISBN 4569575803
- 『童謡・唱歌の世界』 金田一 春彦/著 主婦の友社 1978(767/キ、0210474888)
- 『わらべうた 日本の伝承童謡』 町田 嘉章/編 岩波書店 1983(767/マ、0310470943)
- キーワード
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- 名無しの権兵衛
- 山王のお猿さん
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000326445