レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年08月19日
- 登録日時
- 2022/12/02 20:56
- 更新日時
- 2023/02/27 21:07
- 管理番号
- 県立長野-22-154
- 質問
-
解決
陸川(りくがわ)氏は『姓氏家系大辞典 第3巻』p.6548に、「信州諏訪の名族」「家紋は丸に花沢瀉」とあるが、いつ頃活躍したのか詳しい情報はあるか。六川という苗字と関係があるのか。
- 回答
-
陸川氏に関する記述は不明。また、六川氏に関する記述はあったが、両者の関連まではわからなかった。
・『信州の苗字』笹部武安著 郷土出版社 1988【N283/12】
電話帳をもとに長野県内の苗字をまとめ、世帯数ごとや市町村ごとに分類した資料で、p.40-44「約二〇世帯以上二五世帯はあると思われる苗字」のp.41に「陸川」の記載があり、分布の多い地域は諏訪地域を含む「南信」とある。
・『家紋でわかるあなたの祖先 諏訪地方』日本家紋研究会 [2000]【N288/189】 2枚目
「陸川」の文字は見られなかった。しかし、利用者調査済みの『姓氏家系大辞典 第3巻』「陸川」の家紋「丸に花沢瀉」を含む「沢瀉紋」が諏訪地地方全体の10.4%を占めていることがわかる。ただ、「当地方は諏訪神家系の氏が多く存在し、家紋もその系統の氏が使用している沢瀉紋、竹笹紋が一位と七位に入る」と書き添えられている。
長野県内の「陸」のつく地名について、地名辞典を引いたところ、長野県内の「陸」のつく地名として次のものがあったので、紹介した。
<陸郷[りくごう](安曇郡[あずみぐん])>
・『角川日本地名大辞典 20 長野県』
「角川日本地名大辞典」編纂委員会編 角川書店 1990【291.03/カド/20】
p.1173「りくごう 陸郷」
地名の「陸郷」は「六郷」を意味し、6か村が合併したことによる。「陸郷村」として明治8年から昭和32年まで存在し、現在の池田町の大字名として「陸郷」が残っている旨の記述がある。
・『日本歴史地名大系 20 長野県の地名』平凡社 1979【291.03/ニホ/20】
p.729-730「池田町」
p.730上段に池田町に合併した地域として「陸郷」の記述がある。
p.731上段「峯方村」の項目に「現 池田町大字陸郷」とある。
<六川[小布施町]>
・『角川日本地名大辞典 20 長野県』
p.1177「ろくがわ 六川<小布施町>」
「古くは「陸川」とも書いた(県町村誌)。 (中略) 地名の由来は、松川が乱流し、特に大きく6筋も
あったこと、この水利によって6か村が開発されたことによるという」とある。
・『長野県町村誌 第1巻 北信編』
長野県編 名著出版 1973(長野県町村誌刊行会 1936年の復刻)【N290/33a/1】
p.827「都住村[つすみむら]」
項目中に「六川村」についての記述があり、「往古原野にして千曲川、松川乱流せり、之を開墾し
一村落をなし、陸郷村と云ふ、後六川村と改称す」とある。
六川氏についての記載があった資料を紹介した。
・『角川日本姓氏歴史人物大辞典 20 長野県』 角川書店 1996【288.1/カド/20】
p.990-991「六川 ろくかわ・ろくがわ」
上田市住吉(大久保)と北佐久郡立科町の2系統の六川氏が紹介されている。立科町の六川氏について
は、六川長三郎を祖としており、長三郎の出自については、武田家臣武川正重の子で、武田滅亡後は
上田の真田昌幸に仕え、昌幸が高野山に配流された際に小県郡長窪古町に移ったとある。「六川姓は
武川を改めたものとおもわれる」とあった。
・『日本名門・名家大辞典』 森岡浩編 東京堂出版 2012【288.2/モヒ】
p.531「六川家」
立科町の六川氏について、「甲斐国六川(山梨県)発祥というが、信濃国六川郷(長野県上高井郡小布
施町)発祥か」としている。また、関ケ原合戦後、小県郡長窪古町[ながくぼふるまち](小県郡長和町
[ながわまち])に住み、寛永一二年(一六三五)小諸藩主松平氏に仕えて佐久郡塩沢原(北佐久郡立科町
[たてしなまち])に土着し、九〇〇石の新田を開発した。」とある。
・『疏水百選 蓼科山麓の塩沢堰』小林幹男著 ほおずき書籍 2008【215.2/コミ】
p.110「六川家略系図」
立科町を流れる塩沢堰に関わる地域の歴史や、開発者六川長三郎勝家の偉業、六川家歴代12代の足
跡について書かれている資料で、千金魚が記した『六川家系図』、長三郎家蔵の『六川家系図』、立
科六川氏の姻戚関係にある小県郡長和町長久保新町の翠川家系図をもとにまとめたもの。p.110の立
科町の六川氏の系図である「六川家略系図」がある。
- 回答プロセス
-
1 『姓氏家系大辞典 第3巻』で陸川氏を確認する。
2 『角川日本姓氏歴史人物大辞典 20 長野県』『信州の苗字』などの長野県関係の姓氏辞典で「陸川」「六川」を調べる。
3 諏訪にある苗字ということで、『家紋でわかるあなたの祖先 諏訪地方』をみるが、「沢瀉紋」が諏訪に多い家紋に数えられることがわかる。
4 「諏訪の名族」と記述があったことから、『諏訪史料名家系譜』飯田好太郎著 歴史図書社 1977【N288/82】の目次で、「陸川」「六川」を見るが見つからない。念のため、『清和源氏740氏族系図 第1-3巻』『寛政重修諸家譜 索引 1』『断家譜』などの姓氏、家譜に関する一般的な資料を確認する。
4 名字は地名にちなむことが多いので、「陸」がつく地名を探すため、長野県の地名辞典を調べる。明治初期に六ヶ村が合併したことに由来する陸郷があったのみ。同じように、六川についても調べる。
5 当館蔵書を「陸川」「六川」で検索する。『疏水百選 蓼科山麓の塩沢堰』がヒットし、内容を確認する。
<調査済み資料>
・『信州ふるさと変遷史 新版』 松橋 好文原編 一草舎出版 2006【N290.3/46】
・『諏訪史料名家系譜』飯田好太郎著 歴史図書社 1977【N288/82】
目次を確認したが、「陸川」「六川」の文字はありませんでした。
・『清和源氏740氏族系図 第1-3巻』千葉琢穂編著 展望社 1985【288.3/チタ/1-3】
目次、氏族発祥明解、氏族発祥明解 補遺を確認したが、記載はなかった。
・『寛政重修諸家譜 索引 1』続群書類従完成会 1981【288.2/タミ/23】
姓の索引に「陸川」の記載は確認できなかった。
・『断家譜』斎木 一馬校訂 続群書類従完成会 1981【288.2/ダン/1-3】
姓の索引に「陸川」「六川」の記載は確認できなかった。
・『都道府県別姓氏家紋大事典 東日本編』千鹿野茂著 柏書房 2004【288.6/チシ/1】
長野県の部分で、「陸川」の記述は確認できなかった。p.670に「六川」があり、「丸に片喰」(家
紋)とあり、出自の部分は空欄。
・『長野県史通史編 第4巻近世1』長野県編 長野県史刊行会 1987【N209/11-4/4ア】
p.266-268「第3章藩政と農民 高島藩の家臣団」を参照したが、「陸川」「六川」についての記載は
確認できなかった。
・『茅野市史 中巻』茅野市編 茅野市 1987【N241/69/2】
p.20-24「第1章高島藩の成立と藩政 家臣団」を参照したが、「陸川」「六川」についての記載は確認
できなかった。
・『諏訪史 第4巻 諏訪の近世史』諏訪教育会編 諏訪教育会 1966【N241/6/4】
p.71-82 「第2章家臣団の構成と藩庁機構 第1節家臣団の構成」を参照したが、「陸川」「六川」につ
いての記載は確認できなかった。
・「諏訪頼重公一族家臣名面」
『諏訪史料叢書 復刻 第4巻』諏訪教育会編 中央企画 1984 【N241/7/4】
[『諏訪史料叢書』諏訪教育会編 諏訪教育会 第4巻は巻21-26を所収] p.882(巻26-882)
戦国時代に惣領家諏訪氏による諏訪一円の支配が成立したころの、諏訪氏を中心とする武士団に所属し
た武家が記されている。この中に「陸川」「六川」姓を名乗る家は確認できなかった。
・「諏訪五十騎衆行名」
『諏訪史料叢書 復刻 第3巻』諏訪教育会編 中央企画 1983【N241/7/3】
[『諏訪史料叢書』諏訪教育会編 諏訪教育会 第3巻は巻14-20を所収]p.377(巻16-67)
武田麾下で再編成された諏訪の武士団に所属した武家が記されている。この中に「陸川」「六川」姓を
名乗る家は確認できなかった。
《「陸川」のみ調べ、項目として見つからなかったもの》
・『日本史諸家系図人名辞典』 小和田 哲男監修 講談社 2003【288.2/オテ】
・『全国名字大辞典』森岡浩編 東京堂出版 2011【288.1/モヒ】
・『姓氏・地名・家紋総合事典』丹羽基二著 新人物往来社 1988【288.1/ニモ】
・『長野県歴史人物大事典』神津良子編 郷土出版社 1989【N283/13/ウ】
・『戦国人名事典』阿部猛編 新人物往来社 1990【281.03/アタ】
・『朝日 日本歴史人物事典』朝日新聞社編 朝日新聞社 1994【281.03/アサ】
・『江戸幕府旗本人名事典 第1-5巻』小川恭一編著 原書房1989-1990【281.03/オキ/1-5】
・『日本人名大事典 第1-6巻』平凡社 1979【281.03/ニホ/1-6,補】
・『日本古代中世人名辞典』平野邦雄編 吉川弘文館 2006【281.03/ヒク】
・『人物レファレンス事典 郷土人物編[第1期]そ-ん』日外アソシエーツ編・刊 2008【281.03/ニチ/2】
・「長野県市町村史誌目次データベース」[最終確認2022.12.6]
キーワードから、長野県内の市町村史誌の目次を検索できるデータベース。「陸川」と検索したが、該当する項目はなかった。
- 事前調査事項
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『姓氏家系大辞典 第3巻』太田亮編 角川書店 1976 【288.1/オア/3】
- NDC
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- 系譜.家史.皇室 (288 10版)
- 参考資料
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笹部武安 著 , 笹部, 武安, 1925-. 信州の苗字 : まるごと大百科. 郷土出版社, 1988.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001957475-00 , ISBN 4876631123 (【N283/12】p.41) -
家紋でわかるあなたの祖先・諏訪地方 : 茅野地方を含む. 日本家紋研究会, 2000-00.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059097187-00 (【N288/189】 2枚目) -
日本歴史地名大系 20. 平凡社, 1979.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I005629726-00 , ISBN 4582490204 (【291.03/ニホ/20】) -
「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編纂. 角川日本地名大辞典 20 (長野県). 角川書店, 1990.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002055045-00 , ISBN 4040012003 (【291.03/カド/20】) -
竹内理三 [ほか]編纂. 角川日本姓氏歴史人物大辞典 20. 角川書店, 1996.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002541302-00 , ISBN 4040022009 (【288.1/カド/20】) -
森岡浩 編 , 森岡, 浩, 1961-. 日本名門・名家大辞典. 東京堂出版, 2012.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I023917023-00 , ISBN 9784490108217 (【288.2/モヒ】) -
小林 幹男/著 , 小林 幹男 , 小林 幹男. 疏水百選蓼科山麓の塩沢堰 : ふる里の歴史. ほおずき書籍, 2008-04.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059101520-00 , ISBN 4434118234 (【215.2/コミ】)
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笹部武安 著 , 笹部, 武安, 1925-. 信州の苗字 : まるごと大百科. 郷土出版社, 1988.
- キーワード
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- 陸川氏
- 六川史
- 先祖探し
- 信州学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土 人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000325057