レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 京都府立京都学・歴彩館 (2110022) | 管理番号 (Control number) | 京歴-651 | ||||||
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事例作成日 (Creation date) | 2021年11月19日 | 登録日時 (Registration date) | 2022年11月16日 13時38分 | 更新日時 (Last update) | 2023年02月03日 09時49分 | ||||
質問 (Question) | 京都にまつわる「愛宕(おたぎ)郡」と「愛宕(あたご)山」「愛宕(あたご)神社」は、なぜ同じ字を使うのに読みが違うのかを知りたい。 | ||||||||
回答 (Answer) | それぞれの由来を調べたが諸説あるため、いくつか資料を紹介した。 『洛北誌 旧京都府愛宕郡村志』(①)…p.1 「愛宕の名は其起因詳かならす 郡の南部に愛宕郷あり 是蓋し基本なるへし 愛宕或は阿多古に作る 天應年間愛宕神社今の鷹峰に在り 僧慶俊之を今の所に移し更に愛宕と称す 其後郡名は遠太藝と称したり 其阿多子と云ふ所以は古事記上巻に火之迦具土神の段の傳に又丹波國桑田郡阿多古神社(即京西の愛宕なり)も此神を祭れるとなり(阿多古とは御祖を焼たまひし故に仇子と云意にや)とあり 於多藝の訓は據るところを考かへす 延喜式に山城國上乙訓葛野愛宕云々 和名抄に山城國管八乙訓葛野愛宕(於多岐) 拾芥抄も之に同し」とある。 『京都滋賀古代地名を歩く』(②) 【愛宕山(あたごやま)】の項…pp.26-28 地名の謂れについて、次の説を「良い」として紹介している。 アタゴ・オタギは同一語源であり、神社名が郷名より古いことが多いことから、アタゴが先で後にオタギに変わった。アタゴ・オタギのタゴ・タギは、山道が狭くて曲折し凸凹している様を言う形容語、タギシ・タギタギシの元になっている「タギ」である。また、ア・オは「逢ふ」から出てアがオに変化したもの。つまり、アフ(逢)+タゴ(曲折路)で「険阻な山(路)に出逢うところ」の意味であるアタゴが変形してオタギになった。 『京都地名語源辞典』(③) 【愛宕町(あたごちょう)】の項…p.12 次の各説を紹介している。 ●愛宕神社は『延喜式』神名帳では「阿多古神社」。「仇子(アダコ)」が「アタゴ」になったという説。 ●登り口が丹波側だったことから、こちらから見えない側を意味する「アテ・ゴ」からきたという説。 ●「アタゴ」はもとは「オタギ」で川をさかのぼる舟こぎ作用「タグ」が語源という説。 ●漢字「愛」の音変化により「オタギ」から「アタゴ」になり、「アタゴ」は山名に固定したという説。 他にも、沖縄の「ウタキ」が転訛した説、アイヌ語の「ATOK」から、インド北東部のレプチャ語「a.tyaka」からなどの説が記載されている。 【愛宕(おたぎ)】の項…p.115 『和名抄』によれば郡名も郷名もそれぞれ「於多岐」「於多木」。オ(接頭語)+タギ(タカ(高)で高所の意)。オ(接頭語)+タギ(タギタギシのタギと同じく険阻な所の意)。京都盆地の中心に葛野(かどの)郡、その東北に「高所」の愛宕郡、南西に「低地」の乙訓郡(オト(劣、低い)+クニ(地域))があった。 『国史大辞典 4』(④) 【京都(きょうと)】の項…p.325 平安京以前の京都盆地は、高野・賀茂・桂の三川の氾濫原で、水のたぎち(滾ち・激しく)流れるところから愛宕(オタギ)とよばれたとある。 | ||||||||
回答プロセス (Answering process) | 当館で過去に受けた類似のレファレンス事例を参考に、歴史・地誌の資料を調べた。 | ||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | |||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) |
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キーワード (Keywords) |
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照会先 (Institution or person inquired for advice) | |||||||||
寄与者 (Contributor) | |||||||||
備考 (Notes) | |||||||||
調査種別 (Type of search) | 事実調査 | 内容種別 (Type of subject) | 地名 | 質問者区分 (Category of questioner) | 社会人 | ||||
登録番号 (Registration number) | 1000324169 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 解決 |