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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

提供館
(Library)
千代田区立千代田図書館 (2310211)管理番号
(Control number)
千-2022-001
事例作成日
(Creation date)
2022年5月9日登録日時
(Registration date)
2022年09月27日 19時27分更新日時
(Last update)
2022年09月30日 13時43分
質問
(Question)
東京都立九段高等学校(現在の千代田区立九段中等教育学校)があった「千代田区九段北」の地歴調査をしている。学校が建つ以前は旧琉球王家の侯爵、尚氏の邸宅があったと聞いた。これは事実か。
回答
(Answer)
事実である。
琉球藩の廃藩置県が行われた1879(明治12)年から1923(大正12)年の関東大震災まで、当時の麹町区富士見町2丁目8番地(現在の千代田区九段北2丁目2番地。九段中等教育学校がある場所)に、尚侯爵邸があったことが下記の資料から確認できる。

〈 典拠資料 〉

 ①木村 礎/編『藩史大事典』第7巻(雄山閣、2015年)
     p590:「琉球国(沖縄県)」より「江戸屋敷の所在地」

 ②竹内 正浩/著『地図と愉しむ東京歴史散歩 お屋敷のすべて篇』
(中央公論新社、2015年)
p180-181:大正5年(1916)の華族住所録より 「尚典」
p210-211:明治20年(1887)の華族住所録より 「尚泰」

 ③地図資料編纂会/編『地籍台帳・地籍地図』第2巻 台帳編(柏書房、1989年)
  p23:麹町区 19:「富士見町2丁目」

  ※国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されている
原著『東京市及接続郡部地籍台帳. 1』(東京市区調査会、1912年) の
237コマ目でも確認可能。
    https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/800933/237

 ④地図資料編纂会/編『地籍台帳・地籍地図』第5巻 地図編(柏書房、1989年)
  P50:麹町区 26:「富士見町1、2丁目」
 
  ※国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されている
原著『東京市及接続郡部地籍地図. 上卷』(東京市区調査会、1912年) の
50コマ目でも確認可能。
    https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/966079/50

 ⑤創立七十周年記念誌編集委員会『創立七十周年記念誌』
(東京都立九段高等学校、1994年)
p15:「沿革」

 ⑥彦根 正三/編『華族名鑑 : 新調更正』(博公書院、1887年)
  ※国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開
   https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/994440/103
   103コマ:p96:「従三位侯爵 尚泰」
   
⑦『華族名簿. 大正5年3月31日調』(華族会館、1916年) 
※国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開
   https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1916318/20
   20コマ:p7:「貴族院議員 正三位勲四等侯爵 尚典」
回答プロセス
(Answering process)
■事実調査

< 東京都立九段高等学校からのアプローチ >

  尚氏の邸宅跡地が東京都立九段高等学校の用地となった事実があるかを確認するため、
  学校誌を確認した。

   ・創立七十周年記念誌編集委員会『創立七十周年記念誌』(東京都立九段高等学校、1994年)
    p15:「沿革」
       ⇒1926(大正15)年8月21日、琉球王家尚侯爵邸跡に
         新校舎の建設が開始されたことがわかる。
         (当時の学校の名称は「第一東京市立中学校」)

< 地図による調査 >

  現代の地図と大正期の地籍台帳・地籍地図を比較して、
  現在の校舎が建っている土地と同一の場所に尚氏の邸宅が存在していたかを確認した。

   ・『ゼンリン住宅地図東京都千代田区』(ゼンリン、2021年)
     p13-14:「九段北①~④」の項
       ⇒九段北2丁目2番地に「千代田区立九段中等教育学校」の記載を確認。

     ※『新編 千代田区史』区政史資料編
       (東京都千代田区(総務部区政史編纂室) 、1998年)
         p72-74:「町名の変遷」より 「九段北二丁目」の項
          ⇒九段北2丁目は、大正期では「富士見町1丁目」・
           「富士見町2丁目」に相当することがわかる。
 
   ・地図資料編纂会/編『地籍台帳・地籍地図』第2巻 台帳編
    (柏書房、1989年)
     p23:麹町区 19:「富士見町2丁目」の項
        ⇒6、7、8番地の所有者氏名に「尚典」と記載されている。
          所有者住所の欄はいずれも「同 八ノ二」とあり、
          「富士見町2丁目8番地」に「尚典」が暮らしていたこともわかる。

   ・地図資料編纂会/編『地籍台帳・地籍地図』第5巻 地図編
    (柏書房、1989年)
     P50:麹町区 26:「富士見町1、2丁目」の項
        ⇒富士見町2丁目8番地に「侯爵尚典邸」と記載がある。


  以上から、尚氏の邸宅跡地が東京都立九段高等学校の用地となったこと、
  1912(大正元)年の時点では「尚典」の邸宅であったことが確認できた。


■旧琉球王家侯爵 尚氏からのアプローチ

  前項で確認した情報の裏取りをするため、尚氏の邸宅の所在地について調査を行った。

< 住所録 >

  1916(大正5)年と1887(明治20)年の華族の住所録を収録している
  下記資料を確認した。

   ・竹内 正浩/著『地図と愉しむ東京歴史散歩 お屋敷のすべて篇』
    (中央公論新社、2015年)
     ① p210-211:明治20年(1887)の華族住所録より 「尚泰」の項
     ② p180-181:大正5年(1916)の華族住所録より 「尚典」の項
        ⇒①、②ともに家職に「琉球王家」とあり、
          当時の住所も「麴町区富士見町2丁目8番地」となっていることから、
          ①は「尚典」の類縁者であること、
          ②は前項で確認できた人物であることがわかる。
          なお、現在の主な土地の用途はどちらも「九段中等教育学校」となっている。
  

< 名簿 >

  侯爵という点から、「国立国会図書館デジタルコレクション」にて
  インターネット公開されている華族の名簿を確認した。
  なお、今回確認したものは前項の住所録の典拠資料にあたる。

   ・彦根 正三/編『華族名鑑 : 新調更正』(博公書院、1887年)
      https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/994440/103
     103コマ:p96:「従三位侯爵 尚泰」の項
      ⇒住所として「東京府麴町区富士見町2丁目8番地」と記載があるほか、
       「旧琉球藩王」であったこと、「尚典」が「尚泰」の嫡男であることが示されている。

   ・『華族名簿. 大正5年3月31日調』(華族会館、1916年) 
       https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1916318/20
      20コマ:p7:「貴族院議員 正三位勲四等侯爵 尚典」の項
       ⇒住所として「麴町区富士見町2-8」と記載がある。


< 藩史 >

  前項で確認できた「琉球藩」というキーワードから下記資料を確認した。

   ・木村 礎/編『藩史大事典』第7巻(雄山閣、2015年)
    p590:「琉球国(沖縄県)」より「江戸屋敷の所在地」の項
     ⇒以下の情報が確認できる。

〇1872(明治5)年9月
⇒琉球藩が立藩され、太政官から東京府下飯田町もちのき坂に邸宅を
     下賜される。

〇1879(明治12)年4月
⇒琉球藩の廃藩置県が断行される。
     藩王尚泰は東京移住を命じられ、東京府麹町富士見町に約2000坪を
     新たに下賜される。

〇1923(大正12)年9月
⇒関東大震災の直後に邸宅を東京府へ売却。
     この跡地が後に東京都立九段高校の敷地となる。
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
日本  (291 9版)
系譜.家史.皇室  (288)
参考資料
(Reference materials)
木村礎, 藤野保, 村上直 編 , 木村, 礎, 1924-2004 , 藤野, 保, 1927-2018 , 村上, 直, 1925-2014. 藩史大事典 第7巻 (九州編) 新装版. 雄山閣, 2015.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026999855-00 , ISBN 9784639023913
竹内正浩 著 , 竹内, 正浩, 1963-. 地図と愉しむ東京歴史散歩 : カラー版 お屋敷のすべて篇. 中央公論新社, 2015. (中公新書 ; 2346)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026793569-00 , ISBN 9784121023469
千代田区 202108. ゼンリン, 2021. (ゼンリン住宅地図. 東京都)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I031595018-00 , ISBN 9784432514434
地図資料編纂会 編 , 地図資料編纂会. 地籍台帳・地籍地図「東京」 第2巻 (台帳編 2). 柏書房, 1989.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001974088-00 , ISBN 4760104712
東京市区調査会. 東京市及接続郡部地籍台帳 1. 東京市区調査会, 1912.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001969723-00
地図資料編纂会 編 , 地図資料編纂会. 地籍台帳・地籍地図「東京」 第5巻 (地図編 1). 柏書房, 1989.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001974091-00 , ISBN 4760104747
東京市及接続郡部地籍地図 上卷. 東京市区調査会, 1912.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001699950-00
創立七十周年記念誌編集委員会. 創立七十周年記念誌. 東京都立九段高等学校, 1994年.
彦根正三 編 , 彦根, 正三. 華族名鑑 : 新調更正. 博公書院, 1887.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001848426-00
華族会館. 華族名簿 大正5年3月31日調. 華族会館, 1916.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001672141-00
東京都千代田区. 新編千代田区史 区政史資料編. 東京都千代田区, 1998.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002726734-00
キーワード
(Keywords)
琉球王国
尚氏
尚泰(1843~1901)
尚典(1864~1920)
東京都立九段高等学校
千代田区立九段中等教育学校
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
文献紹介 事実調査
内容種別
(Type of subject)
郷土 人物
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000321789解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決
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