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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

提供館
(Library)
県立長野図書館 (2110021)管理番号
(Control number)
県立長野-22-081
事例作成日
(Creation date)
2022年6月17日登録日時
(Registration date)
2022年08月16日 13時42分更新日時
(Last update)
2022年09月25日 18時48分
質問
(Question)
長野県上伊那郡辰野町発祥とされる名字「辰野(たつの)」に関する文献・史料はあるか。
回答
(Answer)
1. 長野県の辰野氏について、次の資料を紹介した。
・『よくわかる長野県の名字』森岡浩著 しなのき書房 2008 p.104「辰野【たつの】」
  「伊那郡辰野(辰野町)発祥」とある。また、「辰野与右衛門」の名前を確認した。
・『全国名字大辞典』森岡浩編 東京堂出版 2011 p.444「辰野【たつの】」の項目がある。
・『角川日本姓氏歴史人物大辞典 20 長野県』角川書店 1996 p.838「辰野」の項目がある。この資料で引用している伊藤富雄氏の論文は、以下の雑誌に収録されている。
   「庄園辰野・平出・宮所の研究(一)」『伊那路』第4巻5号 1960 p.1-17
   「庄園辰野・平出・宮所の研究(二)」『伊那路』第4巻6号 1960 p.27-40
 同じく『角川日本姓氏歴史人物大辞典』の引用文献である『春秋之宮造之次第』は『新編信濃史料叢書 第2巻』信濃史料刊行会編・刊 1972 p.137-143 (81-85コマ目)に掲載があり、国立国会図書館デジタルコレクションの図書館・個人送信資料としても公開されている[最終確認 2022.9.22]。
・『長野県歴史人物大事典』 神津良子編 郷土出版社 1989 p.448「辰野氏」の項目がある。
     (-前略-)『吾妻鏡』一一八六年(文治二)の条に信濃国の中に平出、宮所、立野、岡屋の牧が
    載っており、八〇年(治承四)には「下宮分竜市一郷他」とある。また平家党の大田切城主
    菅冠者(すげのかじゃ)を討った甲斐源氏の武田氏や一条氏らによって諏訪下社領に寄進された。
    この地の領主であろう藤原朝臣辰野義景の名がみえる。一四七二年(文明四)辰野家は下社大祝
    の代官を勤めており、『御付礼之古書』八七年に「六人の宮奉行申合せ之勤むべし」とあり、
    辰野伝兵衛は宮奉行の一人で辰野牧の地頭でもあった。(-後略-)。
 ここで引用されている『御付礼之古書(みふれいのこしょ)』は所在が確認できなかった。おそらく『諏訪御符礼之古書』と思われるが、長享元(1487)年の項目を調査したところ「六人の宮奉行申合せ之勤むべし」の文言は確認できない。
なお、時代は「永禄八(1565)年」と離れているが、武田信玄からの書状である「諏訪下社祭祀数年転之分令再興加下知次第」で以下の記載を確認した。
    正月六日、大和・高木・富部・辰野・山田、右五郷より相勤神事之儀者、爲地頭役調之、聊無懈怠
   可執沙汰、山田之郷之義者無里之長候間、六人之宮奉行申合可勤之。(以下略)。
 なお、「諏訪下社祭祀数年転之分令再興加下知次第」は『諏訪史料叢書 復刻 第1巻』諏訪教育会編 中央企画 1985【N241/7a/1】p.298-303に所収されている。この資料の元となっている『諏訪史料叢書 巻二』諏訪教育会編・刊 1926 p.45 (73コマ目)は国立国会図書館デジタルコレクションの図書館・個人送信資料でも閲覧できる[最終確認 2022.9.22]。
 また、辰野の領主であるとされる「藤原朝臣辰野義景」の名前は確認できなかった。
 当館所蔵の資料で裏付けをとることはできなかったが、姓が「安達」の「秋田城介従五位藤原朝臣義景法師」という類似の名前を『国史大系 第33巻 吾妻鏡 後篇』黒板勝美編輯 吉川弘文館 2000 の「建長五年(1253年)六月三日」 p.562に記載があったため、紹介した。
 『国史大系』と底本は異なり伝嵯峨支流渡辺文庫のものとなるが、国文学研究資料館の「古典選集本文データベース」で見ることができる『吾妻鏡』からも同資料の当該記述を確認できる[最終確認 2022.9.22]。
 義景以外に名前が挙げられている「辰野伝兵衛」「辰野周防守」「辰野半兵衛」が登場する資料は、『信濃史料 索引』信濃史料刊行会編・刊 1972 p.142で調べる事が可能。
・『上伊那文化大事典』伊沢和馬編 信濃路出版 1990 p.61「辰野氏(たつのし)」[辰野町]
 「室町時代に現辰野町大字辰野に起こった氏族」とある。「辰野源右衛門」「辰野与右衛門」の名前も確認できる。

2 辰野氏のルーツではないが、辰野姓を持つ人物について以下の資料に記載あり。
・『上伊那文化大事典』伊沢和馬編 信濃路出版 1990 p.60 「小野七騎(おのしちき)」[辰野町]
    戦国時代に小野郷に土着していた地侍たち。武田信玄は、永禄3年(1560)3月、小野郷に令し
   て罪人等の隠匿厳禁の定を出している。その充書が、新三・与右衛門・辰野源右衛門・内蔵助・
   玄蕃允・雅楽助・平右衛門の7人である。(『小野文書』)。(以下略)。
 ここで、典拠として挙げている「信玄定書」(小野文書)は、『安筑史料叢書 第2輯 安筑古文書集成』安筑史料叢書刊行会編 高美書店 1938 p.21-22 (20-21コマ目)に掲載されており、国立国会図書館デジタルコレクションでもインターネット公開されている[最終確認 2022.9.22]。
・伊藤富雄「庄園辰野・平出・宮所の研究(一)」『伊那路』第4巻5号 1960
 p.15から辰野伝兵衛が諏訪大社下社で祭祀を執り行ったことについて述べている。
・伊藤富雄「庄園辰野・平出・宮所の研究(二)」『伊那路』第4巻6号 1960
 p.35から辰野氏に関する記載あり。辰野伝兵衛と善兵衛について主に述べているが、辰野治郎ほか室町時代末期の文献に現れた辰野姓を持つ者の氏名も記している。
・『上辰野区史』[上辰野区]区史編集委員会 上辰野区 1965 p.40-51
 辰野伝兵衛、辰野善兵衛に関する書状が残っているという記載を確認した。伝兵衛ら以外にもp.49-50で藤原朝臣辰野義景ほか室町時代末期の文献に現れた辰野氏が列挙されている。
・『辰野町誌 歴史編』辰野町誌編纂専門委員会編纂 辰野町誌刊行委員会 1990
 p.334-335で、武田信玄の伊那侵略の際に「辰野」姓の武士が参戦していたことを述べている。典拠の『小平物語』は『新編信濃史料叢書 第8巻』信濃史料刊行会編・刊 1974 p.245-279(136-151コマ目)で確認でき、国立国会図書館デジタルコレクションの図書館・個人送信資料としても公開されている[最終確認 2022.9.22]。
 p.346-347に「辰野源右衛門」、p.466-467に「辰野与右衛門」に関する記載がある。典拠の『保科家分限帳并国替見立之控』は『高遠の古記録 第4巻』p.1-10 (5-10コマ目)から確認可能であり、国立国会図書館デジタルコレクションの図書館・個人送信資料としても公開されている[最終確認 2022.9.22]。
 p.470-473では『保科家分限帳并国替見立之控』をもとに当時の会津若松藩の上伊那郷出生の家士を抜粋しており、辰野村の辰野氏も挙げられている。
回答プロセス
(Answering process)
1 NDC分類288(家史、系譜)の書棚で名字に関する辞典を引き、概要を掴む。
 苗字や家紋についての資料をまとめた特集棚「信州の歴史」にある『全国名字大辞典』や『角川日本姓氏歴史人物大辞典』などを調査し、長野県上伊那郡辰野町発祥の「辰野」という名字が存在することを確認する。

2 関係する市町村の史誌など郷土資料を調べる。
 郷土分類N209(長野県の通史)、N242類(上伊那郡の歴史)、N283(長野県の人名録や辞典)付近の資料を対象として地名の辰野が史料に現れる中世の歴史と、辰野姓の人物について調査する。
 『長野県歴史人物大事典』や『上伊那文化大事典』などで辰野姓に関する項目や辰野姓の人名を確認する。

3 市町村の史誌類や上記事典類の典拠史料を確認する。
 当館の蔵書検索を全項目に設定して、「春秋之宮造之次第」等を検索し引用文献の所蔵と当該記述の有無を調べる。国立国会図書館デジタルコレクションでの公開状況も、あわせて確認する。

4 同時代書である『吾妻鑑』の索引を使い、辰野姓、名前などから出現項目を確認する。

5 一般書や郷土史雑誌で、辰野の支配者で「辰野」姓の人物がいるか調べる。
 諏訪氏の支配について調べた県立長野-14-008を参考に『国史大辞典』などを確認したり、「荘園」などをキーワードに郷土史研究に関する雑誌の記事を調べたりするが、「辰野」姓の国司や荘園の支配者は、当館所蔵の資料では確認できない。

 <その他の調査資料>
『信濃史料 第3巻』信濃史料刊行会編・刊 1968【N208/28a/3】
『長野県史 通史編 第2巻 中世1』長野県編 長野県史刊行会 1986【N209/11-4/2】
『諏訪史料叢書 復刻 第2巻』諏訪教育会編 中央企画 1983【N241/7a/2】
『諏訪史料叢書 復刻 第4巻』諏訪教育会編 中央企画 1984【N241/7a/4】
『諏訪史料叢書 復刻 第5巻』諏訪教育会編 中央企画 1984【N241/7a/5】
『長野県上伊那誌2 歴史篇』上伊那誌編纂会編 上伊那誌刊行会 1965【N242/32/2】
『長野県上伊那誌4 人物篇』上伊那誌編纂会編 上伊那誌刊行会 1970【N242/32/4】
『諏訪市史 上巻 原始・古代・中世』諏訪市史編纂委員会編 諏訪市 1995【N241/69/1】
『高遠町誌 上巻 歴史1』高遠町誌編纂委員会編 高遠町誌刊行会 1983【N242/79/1-1】
『高遠町誌 上巻 歴史2』高遠町誌編纂委員会編 高遠町誌刊行会 1983【N242/79/1-2】
『高遠町誌 人物篇』高遠町誌人物篇編纂委員会編 高遠町誌刊行会 1986【N242/79/3】
『上伊那郡人名一覧表・下伊那郡人名一覧表』[上伊那教育会]編 上伊那教育部会 1934【N280/65】
『図説・上伊那の歴史 上巻』池上正直[ほか]著 郷土出版社 1987【N242/103/1】
『上伊那よもやま話』一ノ瀬義法著 ほおずき書籍 1993【N242/114】
『上伊那郡旧家鑑 全』本郷鶴八編・刊 1902【N280/21】
『長野県町村誌 3 中・南信篇』長野県編 郷土出版社 1985【N290/291/3】
『伊那名家系譜』佐野重直編 歴史図書社 1977【N288/77】
『国史大辞典 6』国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1985【210.03/コク/6】
『国史大系 第32巻 吾妻鏡 前篇』黒板勝美編輯 吉川弘文館 2000【210.08/クカ/32】 
      p.45 治承四年九月十日,p.207-210 文治二年三月十二日 (吉川子爵家所蔵本)
『吾妻鏡人名索引』御家人制研究会編 吉川弘文館 1980【210.42/ゴケ】
『信州の苗字』笹部武安著 郷土出版社 1988【288/サ】
『寛政重修諸家譜 索引1』続群書類従完成会 1981【288.2/タミ/23】
「信濃の郷村」『長野』長野郷土史研究会 第113号 1984 荘園一覧 p.8-14
「信濃の統治」『長野』長野郷土史研究会 第113号 1984 信濃国司一覧 p.58-62
「信濃の統治」『長野』長野郷土史研究会 第113号 1984 信濃国知行国主一覧 p.62-64
事前調査事項
(Preliminary research)
『全国名字辞典』森岡浩著 東京堂出版 1997 p.180
  辰野与右衛門 保科氏に仕え、上伊那13騎と言われた。高遠藩士となりのちに、保科氏移封とともに会津若松へ移ったらしい。
NDC
系譜.家史.皇室  (288 10版)
中部地方  (215 10版)
参考資料
(Reference materials)
森岡浩 著 , 森岡, 浩, 1961-. よくわかる長野県の名字. しなのき書房, 2008.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009983819-00 , ISBN 9784903002224 (【288.1/モヒ】)
森岡浩 編 , 森岡, 浩, 1961-. 全国名字大辞典. 東京堂出版, 2011.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000011267079-00 , ISBN 9784490108088 (【288.1/モヒ】)
竹内理三 [ほか]編纂. 角川日本姓氏歴史人物大辞典 20. 角川書店, 1996.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002541302-00 , ISBN 4040022009 (【288.1/カド/20】)
信濃史料刊行会. 新編信濃史料叢書 第2巻. 信濃史料刊行会, 1972.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001228618-00  (【N208/43/2】)
赤羽篤 [ほか]編 , 赤羽, 篤, 1920-2012. 長野県歴史人物大事典. 郷土出版社, 1989.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002021352-00 , ISBN 4876631263 (【N283/13】)
諏訪教育会/編 , 諏訪教育会 , 諏訪教育会. 諏訪史料叢書 復刻 第1巻. 中央企画, 1985-00.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059270436-00  (【N241/7/2】)
黒板勝美 編輯 , 黒板/勝美. 国史大系 第33巻 新訂増補. 吉川弘文館, 2000.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I053750300-00 , ISBN 4642003363 (【210.08/クカ/33】)
信濃史料刊行会 編. 信濃史料 索引. 信濃史料刊行会, 1972.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001230754-00  (【N208/28A/31】)
伊沢 和馬/編 , 伊沢 和馬. 上伊那文化大事典. 信濃路出版, 1990-00.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059339727-00  (【N242/109】)
安筑史料叢書刊行会/編 , 安筑史料叢書刊行会 , 安筑史料叢書刊行会. 安筑史料叢書 第2輯. 高美書店, 1938-01.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I081523004-00  (【N208/27/2】)
区史編集委員会 編. 上辰野区史. 上辰野区, 1965.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001077323-00  (【N242/41】)
辰野町誌編纂専門委員会 編纂 , 辰野町 (長野県). 辰野町誌 歴史編. 辰野町誌刊行委員会, 1990.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002079965-00  (【215.2/タツ/3】)
信濃史料刊行会. 新編信濃史料叢書 第8巻. 信濃史料刊行会, 1974.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001228624-00  (【N208/43/8】)
キーワード
(Keywords)
名字 / 苗字
辰野
姓氏-長野県
先祖
上伊那郡辰野町
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
内容種別
(Type of subject)
郷土 人物
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000319961解決/未解決
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