レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 福井県立図書館 (2110037) | 管理番号 (Control number) | 0000002117 | |||
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事例作成日 (Creation date) | 2021年07月29日 | 登録日時 (Registration date) | 2022年01月26日 16時06分 | 更新日時 (Last update) | 2022年01月26日 17時33分 | |
質問 (Question) | 『木地師制度の研究』等を著した杉本壽(あるいは杉本寿)の経歴を知りたい。福井新聞社関連での文化賞等は授賞はしていない模様。 | |||||
回答 (Answer) | 当館蔵書等により、下記経歴が判明しましたが、まとまった経歴がわかる資料は確認できませんでした。 1909年(明治42年)3月28日生 (年不詳)、立命館大卒業 1937年(昭和12)頃、福井県庁林務課勤務 1938年(昭和13)頃~1939年(昭和14)頃、陸軍所属 1949年(昭和24)頃~1974年(昭和49)頃まで、福井大学勤務(助教授) 1965年、農学博士(京都大学) 1977年(昭和52)6月~(終期不明)、織田町文化研究会会長 1978年頃、文部省文化財保護委員会主任調査員(轆轤師担当)、織田町文化財保護委員会委員長 1991年頃、日本木地師学会会長 1997年歿 人物評や没年(1997年)、役職等がわかる資料は下記の通りです。 『福井県人物・人材情報リスト 1998』日外アソシエーツ 1998年 p138に項あり。(なお、本書2000年版以降には「杉本寿(壽)」なし。) 『現代日本執筆者大事典 第3巻』日外アソシエーツ 1978年 p29に項あり。(なお、他年度版の「現代日本執筆者大事典」には「杉本寿(壽)」なし。) 上記2冊とも、著作以外の記載はほぼ下記の通り。ほか、住所記載もあり。”杉本 寿 すぎもと・ひさし 法経済学 明治42年3月28日生 京都大学大学院農学修了 仏教大学教授” ただし、上記2冊に記載のある”仏教大学教授”ですが、「全国大学職員録」には記載がありませんでした。 『轆轤師と落人伝説』平野治和∥著 新人物往来社 1995年 p11-29 ・・・「序章」に杉本壽の人物評等多数記載あり。p13”林野庁で山の仕事をしていた”、昭和29年当時”45歳、気鋭の民族学者で福井大学教授であった杉本は、文部省文化財保護委員会調査委員としての仕事を兼ねて(中略)この村まで調査に来た”、「あとがき」p387より84歳(生年より1993年頃と推測)当時健在である旨記載あり。 ただし、”林野庁で山の仕事をしていた”ことを裏付ける資料は確認できませんでした。 『木地師支配制度の研究』杉本壽∥著 ミネルヴァ書房 2008年 奥付に”杉本壽(すぎもと・ひさし) 1909年生まれ。農学博士(1965年.京都大学)。元福井大学教育学部助教授。1997年歿。”と記載あり。経歴について、前述以上の記載は無し。 『現代につながる「太平記」の世界』山地悠一郎∥著 清水光文堂 1991年 p7に”日本木地師学会会長 経済学博士”と記載あり。 ●1937年(昭和12)頃、福井県庁林務課勤務を明記した論文あり。本論文は、J-STAGEで公開。 杉本壽,山村經濟に於ける「出作制度」の位置,日本林學會誌 19(9) 1937 p.370-380 ●1938年(昭和13)頃~1939年(昭和14)頃、陸軍の所属部隊名等を明記した論文3点あり。すべてJ-STAGEで公開。 ●1940年(昭和15)~1948年(昭和23)頃、所在地名(国外→国内)と著者名、あるいは著者名のみ記載の論文複数あり。すべてJ-STAGEで公開。 ●1949年(昭和24)頃~1974年(昭和49)頃まで、福井大学勤務(助教授)/根拠資料は以下の通り 論文「越前古窯の研究(国立福井大学学芸学部・農林経済研究室叢書 第20輯)」(1949.11) ・・・「全国大学職員録」昭和37年版~昭和49年版では、福井大学勤務時すべて”助教授”と記載されていました。昭和50年版~平成9年版までの人名索引をみましたが、”杉本壽”の記載はありませんでした。なお、「全国短大・高専職員録」は未調査です。 ●1977年(昭和52)6月~(終期不明)、織田町文化研究会会長/根拠資料は以下の通り 『越前』杉本寿∥著 保育社 1978年 奥付に、”文部省文化財保護委員会主任調査員(轆轤師担当)、織田町文化財保護委員会委員長、織田町文化研究会会長”と記載あり。 『延喜式内社剣神社と織田甕』杉本壽∥編 織田町文化研究会 1980年 序より、昭和52年「古窯の里づくり」指定後、3年にわたり織田焼の調査研究事業を行ってきた旨記載あり。 『織田町50年のあゆみ』織田町企画振興課∥編 織田町2002年 p75,78より、1977年(昭和52)6月に、織田に古窯の里を作ろうと織田町文化研究会(杉本寿会長)が発足した旨記載あり。 | |||||
回答プロセス (Answering process) | (1)人物事典やOPACをざっとしらべて2資料紹介。2冊とも、著作以外の経歴記載はほぼ同じ。デジタルアーカイブ福井(福井新聞記事)もなし。 『福井県人物・人材情報リスト 1998』日外アソシエーツ∥編 日外アソシエーツ 1998年p138 『現代日本執筆者大事典 第3巻』日外アソシエーツ 1978年 p29 (2)大学職員録や著作、関連資料を再調査 『轆轤師と落人伝説』平野治和∥著 新人物往来社 1995年・・・人物評等の記載あり。 『木地師支配制度の研究』杉本壽∥著 ミネルヴァ書房 2008年 奥付に没年(1997年)と博士学位の取得年(1965年)記載あり。 ↑没年が分かったので、「若越郷土研究」に多数寄稿されていた縁で、1997-1997年編集後記で追悼文がないかと見てみるが、見当たらず。 『越前』杉本寿∥著 保育社 1978年 ・・・奥付に、”文部省文化財保護委員会主任調査員(轆轤師担当)、織田町文化財保護委員会委員長、織田町文化研究会会長”と記載あり。 『越前国織田荘剱大明神誌』杉本寿∥編 安田書店 1988年 p13序文末尾に”昭和63年3月20日 織田町文化財保護委員会委員長 杉本壽”と記載あり。 『延喜式内社剣神社と織田甕』杉本壽∥編 織田町文化研究会 1980年・・・序文より、昭和52年「古窯の里づくり」指定後、3年にわたり織田焼の調査研究事業を行ってきた旨記載あり。 『織田町50年のあゆみ』織田町企画振興課∥編 織田町2002年 p75,78より、1977年(昭和52)6月に”織田に古窯の里を作ろうと織田町文化研究会が発足しました”と記載あり。 『全国大学職員録. 昭和29年度版』(広潤社 1954年)”福井大学学芸学部欄に”杉本寿”は無いが、p145”助教 文 橋本壽 立命大 農業”と記載あり。誤字の可能性大。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9577305 『全国大学職員録. 昭和34年版』(広潤社 1959年)p159”福井大学学芸学部”欄に、”助教授 文学士 杉本寿 立命館大 林学・農業経済学”と記載あり。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9577307 『全国大学職員録. 昭和42年版』(広潤社 1967年)p273”福井大学教育学部”欄に、”助教授 京大農博 杉本寿 明42 立命館大 農業”と記載あり。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9577313 『全国大学職員録』昭和37年版~昭和49年版では、福井大学奉職時すべて”助教授”と記載されていた。昭和50年版~平成9年版までの人名索引をみるが”杉本壽”の記載はなし。 「越前古窯の研究(国立福井大学学芸学部・農林経済研究室叢書 第20輯)」(1949.11)福井大学勤務と明記はされていない。 (3)国会サーチ・J-STAGE論文を調査 杉本壽,山村經濟に於ける「出作制度」の位置,日本林學會誌 19(9) 1937 p.370-380・・・”福井懸廳林務課 杉本壽”と記載あり。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjf ■934/19/9/19_9_370/_pdf/-char/ja ↑上記資料をうけて、福井県職員録を調べるが、昭和12年前後の職員録の所蔵なし(デジタルアーカイブ福井含む)。「福井県職員録 昭和15年8月1日現在」の林務課欄に”杉本壽の記載なし。 杉本 壽,華北林業概論[第一稿],日本林學會誌 20(11) 1938 p.637-644・・・”大阪金岡陸軍病院病棟内 杉本壽”と記載あり。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfs1934/20/11/20_11_637/_pdf/-char/ja 杉本 壽,華北林業概論(第2報),日本林學會誌 21(1) 1939-01-10 p.13-26・・・”鯖江歩兵第三六聯隊第三中隊 杉本壽””昭和13年11月22日(おそらく論文受理日)””11月7日附を以て原隊復歸”と記載あり。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfs1934/21/1/21_1_13/_pdf/-char/ja 杉本 壽,河南地方林業概観と其の建設的林業政策攷,日本林學會誌 21(8) 1939-08-10 p.458-465・・・”北支派遣軍杉山部隊 杉山壽”と記載あり。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfs1934/21/8/21_8_458/_pdf/-char/ja 以降、1940-1948年発表の論文・著作は、著者名と所在地名(国外→国内)、あるいは著者名のみの記載。 | |||||
事前調査事項 (Preliminary research) | ||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) | ||||||
キーワード (Keywords) | ||||||
照会先 (Institution or person inquired for advice) | ||||||
寄与者 (Contributor) | ||||||
備考 (Notes) | ||||||
調査種別 (Type of search) | 文献紹介 事実調査 | 内容種別 (Type of subject) | 郷土 人物 | 質問者区分 (Category of questioner) | 社会人 | |
登録番号 (Registration number) | 1000311199 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 解決 |