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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

提供館
(Library)
北九州市立中央図書館 (2210015)管理番号
(Control number)
北九2022八幡04一般
事例作成日
(Creation date)
登録日時
(Registration date)
2022年01月14日 16時32分更新日時
(Last update)
2023年02月07日 11時40分
質問
(Question)
京都のお寺にハートの形の猪目窓があると知りました。猪目窓が使われている建物を教えてください。
回答
(Answer)
以下の資料から、松花堂、地蔵院、西翁寺、正寿寺の4つの建物に猪目窓があることがわかりました。
そして、かつて名古屋市舞鶴公園にあった松月斎にも猪目窓があったことがわかりました。

松花堂『和風の窓』『建築大辞典』『京の茶室 東山編』
地蔵院『日本の窓』「竹の寺 地蔵院HP」
西翁寺『京の茶室 東山編』
正寿寺『極彩色の京都』「京都 高野山真言宗 正寿院HP」
松月斎『日本の室内の空間』
回答プロセス
(Answering process)
まず当館にある『建築大辞典』で「猪の目窓」を調べました。主として茶室に見られるハート形の窓。松花堂の席に見られるとありました。

『日本建築辞彙 新増補版』では、いの目の項目はありましたが、猪の目窓の項目はありませんでした。

業務端末の件名検索で「窓」を検索しました。
『和風の窓』では松花堂の猪の目窓が写真とともに紹介されていました。

『日本の窓』ではさまざまな窓の形として、猪の目と記述がでてきますが、詳細は書かれていませんでした。その隣の頁に「奈良 吉野 用心窓」の写真があり、猪の目に見えますが、猪の目との明記はありませんでした。

『まど』では、角屋青貝の間の写真があり、猪の目窓に似ていますが、扇や団扇型の欄干下地窓、松皮菱紋障子、ガラスをはめた火頭窓などからと記述がありますが、猪の目とは書かれていませんでした。

『空間の演出 窓』では、日本の窓についての記述はありますが、猪目窓についてはありませんでした。

次にグーグルで「猪の目窓」を検索しました。
京都府綴喜郡宇治田原町にある正寿院の客殿に、猪目窓があることがわかりました。猪目窓の写真があり、猪目は約1400年前からお寺や神社などの建築装飾としていたるところに使用され、災いを除き、福を招く意が込められていること。茶室などには猪目の文様を窓に装飾し、猪目窓と呼ばれ使用されていることが書かれていました。

また、竹の寺地蔵院のHPに猪目窓の写真がトップ画面にでてきました。参拝情報の見所に猪目窓茶室とありました。

続けてグーグルで「猪の目窓」を検索すると、茶道HOMEのHPの猪目窓がでてきました。
それによると、西翁寺の藤村庸軒好み平三畳本勝手宗貞囲下座床「淀看席」(よどみのせき)の床の上の小壁や、松花堂昭乗好みの二畳上座押板床「松花堂」(しょうかどう)の水屋の袖壁にあることがわかりました。

そして、「松花堂 京都郡八幡町迫田」で検索すると、 名勝松花堂及び書院庭園保存活用計画書 のPDFがでてきました。その40頁に南壁に猪の目形の小窓を穿つとあり、次の頁の松花堂立面図の南側面に見ることができます。

次に業務端末の件名検索で「日本建築」を検索しました。

『日本建築 上』の意匠窓にいろいろな形の窓が図としてありましたが、猪目窓の図はありませんでした。

『日本の室内の空間』では、変形の窓をもつ著名な建物の記述がありました。その中に松月斎の猪の目窓とありました。名古屋市舞鶴公園にあった山荘風の数奇屋住宅。戦災で焼失。天保十一年(1840)名古屋城内に造営された書斎とあり、現存しませんがかつて猪目窓の建物があったことがわかります。

次に業務端末の件名検索で「茶室」を検索しました。

『京の茶室 東山』では、西翁院の淀看の席の写真があり、その写真に床の間の上部に猪の目窓が確認できましたが、猪の目窓とは書かれていませんでした。松花堂も紹介されていて、躙口の左の猪の目窓は松花堂好みとして名があり、内部に掛障子をかけると書かれていました。外から撮影された猪の目窓の写真も一緒に掲載されていて猪目窓が確認出来ました。
同じシリーズの「京の茶室 西山・北山編」「京の茶室 千家・宮廷編」には猪の目窓について書かれていませんでした。

『茶室の案内』では色々な茶室が紹介されていました。猪の目窓があると言われている松花堂と西翁院の淀看の席の来歴や見取り図はありましたが、猪の目窓の記述はありませんでした。
『茶室入門』では50席の茶室が紹介されていましたが、こちらにも猪の目窓については書かれていませんでした。猪の目窓があると言われている西翁院の澱看の席の来歴や構造はありましたが、猪の目窓の記述はありませんでした。
『茶の建築』では茶室の空間構成の中に窓の項目がありましたが、猪の目窓の記述はありませんでした。

次に業務端末で「京都 寺」を調べました。
『京の古寺歴史探訪』『京都古寺を巡る』『京都・奈良の寺社』には猪の目窓の建物はありませんでした。
『京都・禅寺の名庭』と『古寺歩きの愉しみ』『京都・花の寺めぐり』では地蔵院が紹介されていましたが、猪の目窓の記載はありませんでした。

また、当館所蔵の京都の写真集『極彩色の京都』に正寿寺に猪目窓に写真と記述がありました。
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC 
参考資料
(Reference materials)
『建築大辞典 第2版』 彰国社/編 彰国社 1993.6, ISBN 4-395-10015-5 (当館請求記号R520.3/シ 当館資料番号0310205943 P94)
『和風の窓』 彰国社/編 彰国社 1954 (当館請求記号521/ケ 当館資料番号0310749585 P81)
『日本の室内の空間』 加倉井 昭夫/著 主婦と生活社 1968 (請求記号521/カ 資料番号0310647466 P252-253,402)
『京の茶室 東山編』 岡田 孝男/著 学芸出版社 1989.6, ISBN 4-7615-3014-6 (請求記号521.8/オ 資料番号0012103412 P266-267)
『極彩色の京都』稲田 大樹/著 KADOKAWA 2021.10, ISBN 978-4-04-736705-0 (請求記号748/イ 資料番号0313041691 p24)
『日本建築辞彙 新増補版』 中村 達太郎/著 丸善 1953.6, ISBN 4-395-11038-X (当館請求記号521/ナ 当館資料番号0310748991 P30にいのめの記述のみあり)
『日本の窓』 淡交社 1997.1, ISBN 4-473-02019-3 (請求記号521/ニ 資料番号24129635 P30-31に猪の目の記述のみあり)
風鈴のお寺快慶のお不動さん 京都 高野山真言宗 正寿院 http://shoujuin.boo.jp/?page_id=466
名勝松花堂及び書院庭園保存活用計画書 https://www.city.yawata.kyoto.jp/cmsfiles/contents/0000006/6626/hozonkatsuyou02.pdf
キーワード
(Keywords)
猪の目窓
いの目
日本建築
茶室
京都
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
文献紹介 文献紹介
内容種別
(Type of subject)
質問者区分
(Category of questioner)
登録番号
(Registration number)
1000310729解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決

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