レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年10月14日
- 登録日時
- 2021/10/08 17:57
- 更新日時
- 2021/10/24 19:51
- 管理番号
- 県立長野-21-137
- 質問
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解決
『雪のなまえ』村山由佳著 徳間書店 2020 のなかの長野県の方言の意味を知りたい。
- 回答
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『雪のなまえ』の舞台が長野と山梨の県境となっていたため、諏訪郡もしくは南佐久郡周辺の方言を中心に紹介した。
『長野県方言辞典』 馬瀬良雄編集代表 信濃毎日新聞社 2013 【N880/26a】にそれぞれ解説がある。ここでは引用しないが、語彙のほかに使用例が豊富にある。
「・・・男のくせにズクがねえに」(p.35)
<ずく>
精を出してするする気力/根気/やる気/活力/こまめに動くこと/熱心さ/労をいとわずに働く生活態度、
性分、意欲、気力などを総合した言葉/がんばり/活気/気力等
「ぴっかぴかの外国みたいなんだらず?ああ、しょうしぃわい」(p.40)
<だらず>
だろう/でしょう 推量表現
<しょーしー>
恥ずかしい
「泥だらけのごむせえ格好で」(p.50)
<ごむせー>
汚い/不潔だ
「まっと早起きして」(p.209)
<まっと>
もっと/もう少し/もうちょっと/さらに/もっと多く
「てっくりけぇるだから」(p.210)
<てっくりかえる>
ひっくり返る(上田)
「てぇしたもんだわい」(p.212)
<てーした>
たいした
<もんだ>
ものだ
「だれぇ、なーんで怒るぅ」(p.212)
<だれー>
いいえ/そうじゃない/ 否定するときに使う言葉/相手の言葉を打ち消す言葉
「海へだって出ていくだらず?」(p.380)
<いくだらず>
行くだろうよ
「ほー」(全編にわたり文末によく出てくる)
<ほー>
そら、ほれなどという感動を表す言葉
『信州方言辞典』 足立惣蔵著 遠兵パプリコ 1978 【N880/7】p.44
「起きちゃこねえでおえねえわい」(p.212)
<おえねえ>
手に負えない
なお、『東信濃方言集』 上原邦一著 国書刊行会 1976 【N882/6】および、北信地方の方言集ですが『おめたちほうもつかうかえ 信州長水地区の方言』 JAながの広報委員会編 ながの農業協同組合 2000 【N881/14】でも同様の解説があった。
- 回答プロセス
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1 長野県は県域が広いため、全県で同じように使われていない可能性もあるため、問い合わせの『雪のなまえ』が、県内のどの地域を舞台にしているか確認する。
2 『長野県方言辞典』、『東信濃方言集』などを確認する。
3 <おえねえ>について記載がないため、ほかの資料を探す。『信州方言辞典』に記載があった。
- 事前調査事項
- NDC
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- 方言.訛語 (818 10版)
- 参考資料
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馬瀬良雄 編集代表 , 馬瀬, 良雄, 1927-2014. 長野県方言辞典 特別版. 信濃毎日新聞社, 2013.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024874807-00 , ISBN 9784784072194 (【N880/26a】) -
上原邦一 著 , 上原, 邦一. 東信濃方言集. 国書刊行会, 1976. (全国方言資料集成)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001257118-00 ( 【N882/6】) -
足立 惣蔵/著 , 信濃路/編 , 信濃路 , 足立 惣蔵 , 信濃路. 信州方言辞典. 遠兵パブリコ, 1978-01.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059268979-00 (【N880/7】p.44)
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馬瀬良雄 編集代表 , 馬瀬, 良雄, 1927-2014. 長野県方言辞典 特別版. 信濃毎日新聞社, 2013.
- キーワード
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- 長野県の方言
- 信州学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000305788