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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

提供館
(Library)
尼崎市立歴史博物館 地域研究史料室 “あまがさきアーカイブズ” (5000006)管理番号
(Control number)
185
事例作成日
(Creation date)
2021年2月27日登録日時
(Registration date)
2021年02月23日 18時35分更新日時
(Last update)
2021年02月28日 08時28分
質問
(Question)
古代の河辺郡衙(かわのべぐんが、川辺郡衙)と武庫郡衙(むこぐんが)の場所を知りたい。
回答
(Answer)
河辺郡(かわのべぐん)と武庫郡(むこぐん)は、律令制のもと、古代の摂津国(せっつのくに)に置かれた郡です。河辺郡は、現在の尼崎市域の中部から東部、伊丹市域、川西市域、猪名川町域、宝塚市域及び三田市域の一部などを郡域としていました。また武庫郡は、現在の尼崎市域西部、西宮市域及び宝塚市域の南部などを郡域としていました。
郡衙(ぐんが)というのは、国司のもとで郡を治める郡司(ぐんじ、こおりのつかさ)が政務をとる郡の役所で、郡家(ぐうけ・ぐんげ・こおげ・こおりのみやけ)ともいわれました。
郡衙(郡家)があった場所について検討する際、手掛かりとなる史料が「和名類聚抄」(わみょうるいじゅうしょう)です。同書は9世紀末から10世紀頃の全国の郡・郷を記録しており、河辺郡の諸郷のなかに「郡家(ぐうけ)郷」、武庫郡の諸郷のなかに「武庫郷」があったと記されています。

河辺郡の郡家郷の位置について、『伊丹市史』第1巻第3章第2節2「地方行政支配の確立と摂津国」(亀田隆之執筆)は「ここに郡衙(郡の役所)のあったところと考えられ、交通にも比較的便利なところであると考えられる」とし、所在に関する諸説を紹介したうえで「(伊丹市域北西部の)鴻池以北よりもむしろいまの伊丹市中心部とみるのが妥当のようである」としています。
また、『たどる調べる尼崎の歴史』第3部第2章第3節2コラム「古代の郡・郷(里)の範囲を調べる」(高橋明裕執筆)は、まず河辺郡諸郷のうち「為奈(いな)郷」を現尼崎市域の猪名寺周辺と推定し、当時の開発状況から為奈郷・郡家郷がともに河辺郡の中心地であり、両郷は隣接していたと考えるべきであると指摘しています。

武庫郡の郡衙(郡家)の位置について、『西宮市史』第1巻第6章1「郡・郷・里制の成立」は武庫郷を現尼崎市域西部に比定し、「郡家の所在地で、郡領がおり、また多くの正倉などもあったことであろう」としています。
これに対して、阪急西宮スタジアム跡地開発工事にともなう西宮市の高畑町遺跡第5次発掘調査(平成18年、2016)により「□□国□□郡 方□郷日下部□□」と記す奈良時代の木簡が出土したことから、大手前大学史学研究所・西宮市教育委員会合同シンポジウムの報告書『新発見・西宮の地下に眠る古代遺跡-浮かびあがる武庫郡の中心』において、合田茂伸「発掘調査から構成する西宮地域史」は「続日本紀」天平神護2年-766-9月壬申条が記す「武庫郡大領従六位上日下部宿禰浄方」との関連性を想定して「両遺跡(高畑町遺跡と津門大塚町遺跡)を武庫郡衙の可能性が高い、と考えている」とし、森岡秀人「阪神中部地域曙期の地域像と歴史像-最新考古資料の分析・検討を踏まえて-」もまた「武庫郷は郡名を冠し、郡中枢の公的施設の所在を想像してきたが」再考を要すると指摘しています。

このように、河辺郡衙・武庫郡衙がどの場所にあったかについては、いくつかの説があり、考察が試みられている状況です。今後これらの地域での発掘調査等の進展により、位置比定の研究がさらに進むことが期待されます。
回答プロセス
(Answering process)
1 古代の河辺郡(川辺郡)・武庫郡の諸郷について記す文献

◆「和名類聚抄」平安中期の辞書、源順(みなもとのしたごう)編さん
 『尼崎市史』第4巻が摂津国の郡郷の部分を翻刻掲載している(一般編年史料32、p22~23)

2 古代の河辺郡の郡家郷及び郡衙の位置について考察する文献

◆『伊丹市史』第1巻第3章第2節2「地方行政支配の確立と摂津国」p260(亀田隆之執筆)

◆高橋明裕「古代の郡・郷(里)の範囲を調べる」
『たどる調べる尼崎の歴史』上巻/Web版 第3部第2章第3節2コラム p250~251
http://www.archives.city.amagasaki.hyogo.jp/chronicles/trace/pdf/00300203.pdf

◆平凡社『日本歴史地名大系』第29巻1「兵庫県の地名」1
「川辺郡」p320下段

3 古代の武庫郡の郡衙の位置について考察する文献

◆『西宮市史』第1巻第6章1「郡・郷・里制の成立」p404

◆合田茂伸「発掘調査から構成する西宮地域史」p74
◆森岡秀人「阪神中部地域曙期の地域像と歴史像-最新考古資料の分析・検討を踏まえて-」p86
いずれも大手前大学史学研究所・西宮市教育委員会合同シンポジウム報告書『新発見・西宮の地下に眠る古代遺跡-浮かびあがる武庫郡の中心』収録
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
日本  (291 10版)
参考資料
(Reference materials)
尼崎市 編 , 尼崎市. 尼崎市史 第4巻 史料編 古代・中世. 尼崎市, 1973.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I077758084-00  (当館請求記号 219/A/ア-4)
伊丹市史編纂専門委員会 編 , 伊丹市. 伊丹市史 第1巻 (本文編 1). 伊丹市, 1971.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001211682-00  (当館請求記号 219/S/イ-1)
尼崎市立地域研究史料館/編集. たどる調べる尼崎の歴史 : 尼崎市制100周年記念 1. 尼崎市, 2016-10.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I071983427-00  (当館請求記号 219/A/ア)
日本歴史地名大系 第29巻 1 (兵庫県の地名 1). 平凡社, 1999.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002922529-00 , ISBN 4582490603 (当館請求記号 290/H/ニ-29-1)
魚澄 惣五郎/編. 西宮市史 1. 西宮市役所, 1959-03.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I053594001-00  (当館請求記号 219/S/ニ-1)
大手前大学史学研究所 , 西宮市教育委員会 , 大手前大学史学研究所 , 西宮市教育委員会. 新発見・西宮の地下に眠る古代遺跡 : 浮かびあがる武庫郡の中心 : 大手前大学史学研究所・西宮市教育委員会合同シンポジウム. 大手前大学史学研究所/西宮市教育委員会, 2018.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I083029954-00  (当館請求記号 202.1/S/ニ)
キーワード
(Keywords)
摂津国
河辺郡
川辺郡
郡衙
郡家
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
文献紹介
内容種別
(Type of subject)
郷土
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000294082解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決
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