レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年01月30日
- 登録日時
- 2021/02/11 11:40
- 更新日時
- 2021/03/18 09:50
- 管理番号
- 横浜市中央2618
- 質問
-
解決
椅子から立ち上がる時にどれくらいのスペースが必要なのかについて、どのような資料があるか。
- 回答
-
椅子から立ち上がるという人間の動作および動作を行う空間に着目し、「人間工学」、
「建築設計」、「動作空間」等のキーワードを用いて調査を行いました。
関連する記述があった資料を次のとおりご紹介します。
1 『インテリアスペース 人体計測によるアプローチ』
Julius Panero,Martin Zelnik/著 オーム社 1984.6
人体寸法と室内空間の関係を図表等を用いて解説した資料です。
椅子から立ち上がるために必要なスペースについて確認出来たのは以下の項目になります。
p.115-132 「2 居住」居間、食堂の場合について
p.153-178 「3 オフィス空間」一般事務室、役員室、受付・応接の場合について
p.179-196 「4 商業空間」小売店舗の場合について
p.197-214 「5 飲食店」カウンター、テーブル、ダイニングの場合について
それぞれ、図にアルファベットの記載があり、対応表でスペースの大きさが確認できます。
「通路幅がない場合」では椅子と机(テーブル)の前に立位姿勢の絵が描かれ、立ち上が
るためには 人一人分のスペースが必要であることがわかります。
また、壁や椅子の配置、家具等の状況の違いで「座席領域」「いすのためのあき」、「通路
領域」、「作業・動作領域」等の言葉でこれらとの関係から最低限開けなければいけない
スペースの幅も確認できます。
2 『建築設計資料集成 人間』 日本建築学会/編 丸善 2003.1
形態・動作などの人間の基本原理と関連する設計原理についてまとめられた資料です。
1の資料は、アメリカのデータを基に作成されていますがこちらは日本の事例も交えな
がら解説されています。
(1) p.32 「姿勢・動作:移行動作と動作領域」
スツール、作業いす、軽休憩いす、休憩いすについて、腰掛ける際の動作域が図で
示されています。
立ち上がる場合とは異なりますが立位姿勢のスペースだけではなく身体の動きの領
域部分が軌道で確認出来ます。
また、以下のような解説がありましたので一部抜粋します。
「動作に必要な生活スペースを策定する場合には、行為者の体格の違いとともに、移
行動作に伴う身体各部の突出状況に留意する」、「立位姿勢から着座する場合と着座
姿勢から立つ場合では後者の方が前頭部の突出寸法がやや大きくなる傾向が見られ、
その動作域の寸法構成は一様ではないことにも留意したい」
(2) p.50 「姿勢・動作:動作のための空間」
教育・事務
ここでは、いすから立ち上がる際の図から必要な幅を確認できます。
また、以下のような解説がありましたので一部抜粋します。
「いすから立ち上がる動作といすに座る動作では、いすを後方に引くためのスペースを
見込む必要がある。その場合、いす後方を人が通る場合や収納などの動作スペースにも
留意することが大切である」
(3) p.56-57
執務スペース、作業スペース、会議テーブルの例が図で確認できます。
3 『建築設計資料集成 教育・図書』 日本建築学会/編 丸善 2003.3
幼稚園から大学、養護学校や研究所等の教育施設と、地方自治体や大学が設置した図書館
を対象とした事例がまとめられています。
p.174 第2章 図書 「構成要素:基本寸法」
図書館の閲覧スペースについて、6人掛、4人掛、1人掛の席のスペースが図で確認で
きます。
4 『建築設計資料集成 総合編』 日本建築学会/編 丸善 2001.06
2と3で紹介した資料の総合編です。2と3の拡張編より基本となる事項が簡潔にまと
められています。
p.100-101 「起居:行為と場面」
様々な場面に対応した行為に伴う動作と必要な幅の寸法が図で確認できます。
p.120 「着座:執務・会議・学習―集団の場面」
通路および離着席の必要寸法が図で確認できます。
5 「立ち座り動作空間における身体前面あき寸法に関する研究」
「人間工学」 38(Supplement) 2002年 日本人間工学会 p.360-361
椅子の高さおよび身体前面の壁の位置を変え、立ち座り動作を行わせた際の身体部位の
移動範囲や動作パターンを計測し、心理的要因も考慮した空間寸法との関係が確認できます。
6 「立ち座り動作における動作・心理特性にもとづいた空間寸法の評価」横井孝志 他/著
「人間工学」2003年8月 Vol.39 No.4 日本人間工学会 p.145-152
こちらは、5の研究と同じですが実験について図表を用いて解説されています。
以下は、回答につながる記述はありませんでしたが、調査の過程で確認した資料です。
1 図書
(1)『椅子 人間工学・製図・意匠登録まで』 井上昇/著 建築資料研究社 2008.8
(2)『椅子 構造とデザイン』 鳥海義之助/著 理工学社 1993.9
(3)『デザイン人間工学の基本 文部科学省認可通信教育』
山岡俊樹/編 武蔵野美術大学出版局 2015.4
(4)『空間デザインの原点 建築人間工学』 岡田光正/著 理工学社 1993.11
(5)『建築設計資料集成 業務・商業』 日本建築学会/編 丸善 2004.4
(6)『建築設計資料集成 居住』 日本建築学会/編 丸善 2001.10
2 事典、便覧、ハンドブック等
(1)『ポケットブック日常動作寸法表』 ユニバーサルメディア 2001.04
インテリアの用途に対応した設計を行う為の日常動作の寸法表です。この資料では
椅子に座った状態は確認出来ますが立ち上がる動作は載っていませんでした。
(2)と(3)では、日本工業規格について人間工学と各種いすの寸法の部分を確認しました。
椅子の各部寸法の記載はありましたが立ち上がる為に必要なスペースの寸法は確認できませんでした。
(2)『JISハンドブック 37-3 人間工学 2013』 日本規格協会/編
日本規格協会 2013.6
(3)日本工業規格(JIS)
ア 規格番号:JIS S 1011:1994
タイトル: 「事務用いすの寸法」
イ 規格番号:JIS S 1021:2011
タイトル: 「学校用家具―教室用机・椅子」
ウ 規格番号:JIS S 1032:2016
タイトル: 「オフィス家具―椅子」
エ 規格番号:JIS S 1062:2004
タイトル:「家庭用学習いす」
(4)『人間計測ハンドブック』 産業技術総合研究所人間福祉医工学研究部門/編
朝倉書店 2003.9
人間計測を行うための手法についてまとめられた資料です。該当する記述はありま
せんでした。
(5)『新安全工学便覧』 安全工学協会/編 コロナ社 1999.07
人間工学という項目がありましたが該当する記述はありませんでした。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 建築計画.施工 (525 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000293725