レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年01月25日
- 登録日時
- 2021/01/28 15:55
- 更新日時
- 2021/05/22 14:46
- 管理番号
- R1004333-40
- 質問
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解決
江戸時代の湯屋の描写で「女湯に刀掛けがある。」と書いてあった、本当か。
- 回答
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「銭湯」や「湯屋」をキーワードにして区内所蔵資料を検索した。
●「江戸時代」や「日本の風俗史」などの書架から江戸時代の生活の様子が書かれている資料を探す。
・『なるほど!大江戸事典』に「江戸の風呂(p.42)」という項目があり、中に「八丁堀の銭湯には、女湯に刀掛けがあり、」と記載されている。
・『大江戸復元図鑑 庶民編』に「風呂屋と髪結床(p.76)」の項目があり、「このため、女湯に刀掛けがすえられていて、」という記載あり。その中に「八丁堀の七不思議とされていた」の文言があった。
↓
「八丁堀」や「同心」で集めた資料を再度チェックすると
・『江戸入門』に「洒落者だった同心(p.45)」という項目があり中に「女湯には刀架けが設けてあり」という記載があった。
・『大江戸復元図鑑 武士編』に「武家屋敷」という項目があり、その中に「八丁堀の組屋敷と七不思議(p.30)」とあり、2番目に「女湯の刀掛け」があった。
※「江戸に就ての話」という岡本綺堂の著作物の中から江戸に関する項目を抽出して事典風に編集した風俗資料の中に「八丁堀の七不思議(p.76)」という項目があるが、これは編者が綺堂から直接教えられた「聞書」で説明文はなかった。
・『江戸町奉行事蹟問答』 佐久間長敬/著,南和男/校注 人物往来社 東京 1967
巻四 与力・同心之部 問 「与力町の湯へ入ること制禁行れしや」の答に「・・・此湯屋は留湯と唱、盆暮に聊の金を遺し、毎朝四ツ時まで女湯へ入るなり。」とある。
●参考
・『八丁堀の湯屋』 平岩弓枝/著 文芸春秋 1991.11 に「世間では八丁堀の七不思議と申すそうじゃな」「女湯の刀掛とか」という台詞と女湯に刀掛がある理由について述べられている。
(結論)
江戸時代の銭湯は夜明けから営業が始まり、男湯は仕事前に入りに来る客や、博打場や遊郭帰りの客で混むが、女たちは家事があるため早朝から入る客はなく女湯は空いている。 与力・同心が町奉行所に出仕する時刻は午前10時頃の為、その時間に女湯を(混浴禁止の為)「止め湯」にして男たちに開放していたらしい。男湯から聞こえてくる世間話が犯罪捜査の糸口になった。という説と、ただの役得でうまいことをやっていた。という説があり、どちらが真実なのかは不明だが、(八丁堀の)女湯に刀掛けはあったと考えられる。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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- なるほど!大江戸事典 山本博文/著 集英社 2010.9 210.5 , ISBN 978-4-08-781465-1
- 大江戸復元図鑑 庶民編 笹間良彦/著画 遊子館 2003.11 382.136 , ISBN 4-946525-54-8
- 江戸入門 山本博文/監修 河出書房新社 2019.6 382.1361 , ISBN 978-4-309-22774-0
- 大江戸復元図鑑 武士編 笹間良彦/著画 遊子館 2004.5 382.136 , ISBN 4-946525-56-4
- 江戸に就ての話 岡本綺堂/[著] 青蛙房 2010.10 210.5 , ISBN 978-4-7905-0514-3
- 八丁堀の湯屋 平岩弓枝/著 文芸春秋 1991.11 913.6 , ISBN 4-16-312860-3
- 江戸町奉行事蹟問答 佐久間長敬/著,南和男/校注 人物往来社 東京 1967
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000293087