レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/01/09
- 登録日時
- 2021/01/22 00:30
- 更新日時
- 2021/01/26 13:38
- 管理番号
- 6000056701
- 質問
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解決
生クリームや卵を泡立てると、どうしてふわっと泡立つのか。
また、それに水が入ってしまうと泡立たないのはなぜか。
- 回答
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卵については、「卵白に含まれる蛋白質が「起泡性」と「空気変性」という2つの特殊な性質を併せ持っているため泡立つ」(資料1)
水の影響については、「粘度が低くなり泡立ちやすくなるが、気泡の安定性は低くなる」との記述(資料1)や、(卵白に砂糖を加えると)「砂糖が泡の水分を吸収することで、卵白自体は乾燥した状態になり、蛋白質が強く変性するので、時間がたっても泡が消えにくくなる」との記述(資料4)があった。
生クリームについては、「生クリームが固く泡立つのは、生クリームの中に含まれている「脂肪球」が、外からの衝撃によってその被膜が崩れ、徐々に網目状の構造を作っていくため」(資料1)
- 回答プロセス
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資料1「お菓子「こつ」の科学」p.92 「卵白の起泡性(1) 泡立ちの原理」に
「卵白に含まれる蛋白質が「起泡性」と「空気変性」という2つの特殊な性質を併せ持っているため泡立つ」との記述あり。
・起泡性:卵白に含まれるオボグロブリンなど複数の蛋白質が、表面張力を弱めて強い起泡性をもつ。このため卵白を攪拌すると空気を抱え込んで泡立つ。
・空気変性:卵白の中に、激しく攪拌されて空気に触れると変性を起こし、空気と水の界面(接触面)で次々と繋がり膜状の構造を作る蛋白質が含まれているため、気泡の膜は消えることなく安定化しきめ細かいメレンゲができる。
また、資料1 p.100 「卵白の起泡性(3) 泡立ちに影響する因子」には、各種副材料の泡立ちへの影響をまとめた表がある。
これによると、サラダ油やバターなどのむき出しの(乳化されてない)油脂は気泡の膜を破壊し、泡立ちを阻害するとの記述がある。
水については、「粘度が低くなり泡立ちやすくなるが、気泡の安定性は低くなる」との記述。
資料1 p.146 「生クリームの起泡性(1) 泡立ちの「原理」」に
「生クリームが固く泡立つのは、生クリームの中に含まれている「脂肪球」が、外からの衝撃によってその被膜が崩れ、徐々に網目状の構造を作っていくため」とある。
p.149に、生クリームの泡立て過程における「脂肪球」の変化が図示されている。
自然な状態の生クリーム中では、乳脂肪の周囲を、乳化作用を持つ「脂肪球膜」で保護された「脂肪球」という形で水分の中に分散している。
これを攪拌すると、脂肪球同士が衝突して被膜が破れ、液状の油がにじみ出て糊のように脂肪球同士をくっつけたり、気泡の表面に広がって膜状になったりする。
さらに攪拌を続けると、凝集した脂肪球が連続的に繋がって気泡を取り囲んだ「網目状の骨格」ができ、その中に気泡と水分が保持されるので、全体が適度な硬さを持つホイップ上になる。
資料2「科学でわかるお菓子の「なぜ?」」にも同様の記述あり。
また、p.221に卵白、卵黄、全卵を泡立てた際の容積の比較の写真がある。
資料3「なるほどなっとく!おいしい料理には科学(ワケ)がある大事典」p.82「卵白はどうして泡だつの?」にも、卵白の泡立ちについて同様の記述あり。
資料4「調理科学のなぜ?」には、卵白の泡立ちを左右するものとして
・卵白の種類(水様卵白と濃厚卵白)
・温度
・卵黄の存在
・砂糖
・pH(レモン汁などを加えて酸性にすると粘度が低くなり泡立ちやすくなる)
とあり、このうち砂糖について、「砂糖が泡の水分を吸収することで、卵白自体は乾燥した状態になり、蛋白質が強く変性するので、時間がたっても泡が消えにくくなる」との記述あり。
- 事前調査事項
- NDC
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- 食品.料理 (596 9版)
- 参考資料
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- 『お菓子「こつ」の科学』 河田 昌子/著 柴田書店 (p.92-110, 146-153)
- 『科学でわかるお菓子の「なぜ?」』 中山 弘典/共著 柴田書店 (p.53, 219-229, 227)
- 『なるほどなっとく!おいしい料理には科学(ワケ)がある大事典』 別冊宝島編集部/編 宝島社 (p.82)
- 『調理科学のなぜ?』 松本 仲子/監修 朝日新聞出版 (p.112-114)
- キーワード
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- 卵(タマゴ)
- 卵白(ランパク)
- メレンゲ(メレンゲ)
- 生クリーム(ナマクリーム)
- 乳化(ニュウカ)
- 蛋白質(タンパクシツ)
- 料理 (リョウリ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000292777