レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 宮城県図書館 (2110032) | 管理番号 (Control number) | MYG-REF-200085 | ||||||||||||||
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事例作成日 (Creation date) | 2020/12/18 | 登録日時 (Registration date) | 2021年01月14日 00時30分 | 更新日時 (Last update) | 2021年03月03日 16時54分 | ||||||||||||
質問 (Question) | 伊達泰宗,白石宗靖共著『伊達家の秘話』(PHP研究所, 2010)のp.102に,「また時代は下って戊辰戦争の時に,仙台藩と対峙した熊本藩は空砲を撃ったり,降伏の仲介を行うなど,百二十年前の恩に報いたという。(中略)このように,百二十年も前に受けた恩義を忘れずに,伊達家に返した熊本藩の行為は,真の武士道精神の発露として賞賛されるべきものである。」とあります。仙台藩はそう受け止めたということでしょうが,果たして事実はどうだったのか教えてください。 | ||||||||||||||||
回答 (Answer) | 1 戊辰戦争における仙台藩と肥後藩の戦闘等については,下記資料に記載があります。(【 】内は当館請求記号です) 資料1 藤原相之助『仙台戊辰史』荒井活版製造所, 1911【K206/フ1】 p.655「相馬方面戦況」の項 「肥後因州,相馬一小隊ヲ嚮導トシ川ヲ隔テ大小砲ヲ発シテ攻メ来ル,肥因小隊,川ヲ渉リ終ラントスルヤ我兵逆撃,肥兵支ヘズ退却ス死傷最モ多シ,時ニ諸方西軍一斉ニ救ヒ来リ肥因ノ兵再ビ川ヲ渉リ,今泉塩場入江ニ陣ス/是ニ至リ駒ヶ峯ノ舘ハ遂ニ西軍ノ有ニ帰ス,菅谷ノ仙兵亦山根通リ旗巻ノ麓ナル伊具大内村ニ退キタリ,此日仙兵ノ死傷左ノ如シ」 *以下,仙台藩側の戦死者名,負傷者名が列挙されています。 p.747「降伏ト両党ノ軋轢」の項 「之ヨリ先キ伊達藤五郎ノ家来鷲尾卯源太片平近蔵,桑島孟人等ハ降伏謝罪ノ事ヲ周旋セントシタルモ,陪隷ノ身分トシテ藩ノ有司ニ説得スルノ難キヲ知リ,先ヅ西軍ノ先鋒ニシテ伊達氏ニ対シ好意ヲ有スル肥後細川藩ニ取入リ以テ周旋ノ端ヲ開カントシ(以下略)」 2 奥羽越列藩同盟を主導する仙台藩と肥後藩との連携については,下記資料に記載があります。 資料2 栗原伸一郎『戊辰戦争と「奥羽越」列藩同盟』清文堂出版, 2017【K206/17X】 「第九章 列藩同盟と肥後藩」―「三 止戦をめぐる肥後藩邸の動向」の項 p.339「(略)仙台藩内の一部勢力も水面下で戦争の終結に向けて動き出していた。結果的に仙台藩の交渉相手となったのは,駒ヶ嶺で干戈を交えた肥後藩であった。伊達家一門の伊達藤五郎の家中である鷲尾右源太の意を受けて相馬中村藩士のもとに向かった農民が,肥後藩兵に捕まったのである。八月二三日に鷲尾が肥後藩の陣中に出向いたとき,「弊藩謝罪之儀願入候筈之処,使之者不計細川公御陣営ニ参候とハ実ニ願ふてもなき幸ニ而,只此上ハ偏ニ御周旋之程御依頼申上候」と語ったという。この後,仙台藩内では新政府軍との戦闘継続の是非をめぐって激しい議論が繰り広げられたが,主戦論は退けられ九月一五日に肥後藩を通じて謝罪嘆願書を奥羽追討平潟口総督府に提出し,ここに仙台藩は降伏した。」 「第九章 列藩同盟と肥後藩」―「おわりに」の項 p.340「藩出身者が新政府の一員に加わり,新政府軍に加わった肥後藩は,軍事的には列藩同盟と干戈を交えながらも,水面下では共同歩調をとろうとしていた。」 p.341「(略)藩内に異論を抱えつつも,仙台藩と肥後藩は,討会や討薩に関する問題をめぐって,政局への認識や対応については同じような方向性を有していたことが指摘できる。個別の局面については詳しく検討せねばならないが,大枠としては,両藩がそれぞれ新政府に反発していく際には,お互いを,或いは更に多くの諸藩を意識し,連携相手になると判断しながら,政治的・軍事的な活動を展開していたといえよう。」 (なお,この章は「戊辰戦争記の仙台藩と肥後藩」(『市史せんだい』20,2010年)及び「戊辰戦争期における諸藩対立構図の再検討-奥羽列藩同盟をめぐる政治状況を中心に-」(『講座東北の歴史』1,2012年)を再構成したとありました) 3 その他,下記資料を確認しましたが,仙台藩と肥後藩の関わりについては確認できませんでした。 資料3 下飯坂秀治『仙台藩戊辰史 巻之1』蝸牛堂, 1902【K206/シ1/1】 資料4 下飯坂秀治『仙台藩戊辰史 巻之2』蝸牛堂,1902【K206/シ1/2】 資料5 下飯坂秀治『仙台藩戊辰史 巻之3』蝸牛堂, 1902【K206/シ1/3】 資料6 下飯坂秀治『仙台藩戊辰史 巻之4』蝸牛堂, 1902【K206/シ1/4】 資料7 下飯坂秀治『仙台藩戊辰史 拾遺5』蝸牛堂, 1902【K206/シ1/5】 資料8 仙台藩戊辰殉難者五十年弔祭会編『仙台藩戊辰殉難小史』杉沼修一, 1917【K206/セ1】 資料9 鈴木省三編『仙台叢書 第12巻』仙台叢書刊行会, 1926【K081/セ1/12】 資料10 佐藤信著, 志賀潔編『戊辰紀事』志賀潔, 1935【K206/サ1】 資料11 菊地勝之助編『仙台戊辰物語』宮城県神社庁, 1968【K206/キ1】 資料12 丸森町郷土研究会編『知られざる戊辰123史』丸森町教育委員会, 1992【K206/マ3】 4 上記資料1については,下記のウェブサイトでも閲覧が可能です。 「国立国会図書館デジタルコレクション」 URL http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/773429 (最終アクセス日:2020/12/9) | ||||||||||||||||
回答プロセス (Answering process) | 1 戊辰戦争における仙台藩と肥後藩の戦闘に関する資料を確認した。 2 仙台藩と肥後藩の連携に関する資料を確認した。 3 その他,仙台藩の戊辰戦争に関する資料を確認した。 4 調査資料のうち,一部関連する記述がみられた資料を参考までに提供した。 | ||||||||||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | |||||||||||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) |
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キーワード (Keywords) | |||||||||||||||||
照会先 (Institution or person inquired for advice) | |||||||||||||||||
寄与者 (Contributor) | |||||||||||||||||
備考 (Notes) | |||||||||||||||||
調査種別 (Type of search) | 文献紹介 | 内容種別 (Type of subject) | 郷土 | 質問者区分 (Category of questioner) | 社会人 | ||||||||||||
登録番号 (Registration number) | 1000292321 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 未解決 |