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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

提供館
(Library)
国立国会図書館(National Diet Library) (1110001)管理番号
(Control number)
7786463
事例作成日
(Creation date)
2020/07/17登録日時
(Registration date)
2020年08月04日 00時30分更新日時
(Last update)
2021年01月21日 16時07分
質問
(Question)
①子と巳の象形文字が似ているのはなぜか。
②巳の漢字の意味に「子ども」が含まれているのはなぜか。
詳しく知りたい。
回答
(Answer)
子と巳という文字について、下記の通り回答します。

〔資料〕
※【 】内は当館請求記号
※象形が図で書かれているものについては、一律■としました。

①に関して、似ている理由が記載された資料は見当りませんでした。「巳の代わりに子の字を使っていた」旨が書かれている資料は複数ありましたのでお知らせします。

<やや詳細(「字形が似ている」ことにも言及している等)な記述のあるもの>

1.落合淳思 著『漢字字形史小字典』東方書店, 2019.3 【KK24-M5】
→pp.62-63に「巳」の項があり、「殷~西周代には、十二支の六番目が子供の象形の「子(■など)」であり、十二支の一番目は別の形(■など)が用いられていた。(略)この両者について、東周代に字形の入れ替わりが起こっており、十二支の一番目は「■」の系統が使われなくなり、「■」の系統が使われるようになった。そして十二支の六番目については、「■」と字形・字音が類似する巳(■)が転用された。(略)」とある。
2.落合淳思 著『甲骨文字辞典』朋友書店, 2016.3 【KK12-L21】
→pp.82-83に「子(巳)」の項があり、p.83に「甲骨文字では「■」が十二支の六番目(「巳」にあたる)として使われているが、後に(略)略体の巳(■)が似ていることから字形が入れ替わった。」とある。

<簡潔な記述があるもの>

3.小林博 編『漢字類編』監修: 白川静 木耳社, 1982.11 【KF45-67】
→「子」の項(p.53)に「干支の字としては、籀文が子丑の子。『説文』の正字の子の形は、辰巳の巳の字で、用法が別である。」とある。p.556にも「子」の項があり、「古くは子は、十二支の巳に用いられていた」とある。pp.557-558の「巳」の項には、「干支としての字は、甲骨文・金文にすべて子を用いる。(略)子がもとは辰巳の巳であった。(略)」等とある。
4.藤堂明保, 松本昭, 竹田晃, 加納喜光 編『漢字源 : 上級漢和辞典』改訂第6版 学研プラス, 2018.12 【KF4-M1】
→p.463に、「Bによって十二支のトップの記号としたが、後にAとBは統合され、子だけが残った。」とある。A、Bとして、甲骨文や金文の字体が挙げられている。
5.諸橋轍次 [ほか]著『広漢和辞典』上巻 大修館書店, 1981.11 【KF4-50】
→p.913に、「甲骨文A・Bと金文Aはもっぱら十二支の子(ね)の意に、甲骨文Cと金文Bとは、こどもの意と、十二支の巳(み)の意とに用いられ、両者ははっきり区別されていた。」とある。
6.小原俊樹 編著『絵でみる漢字のルーツ』木耳社, 2007.1 【KK24-H42】
→p.21に「甲骨文では、「子」字は干支の「巳」として用いている。」とあり、p.121にも同様の内容と、象形の記載がある。


②に関して、貴館で確認された以上に詳細な記述は見当りませんでしたが、「巳」の象形を胎児とし、意味についても子どももしくは胎児と結びつけている資料についてお知らせします。

7.諸橋轍次 著『大漢和辞典』巻4 修訂第2版 鎌田正,米山寅太郎修訂 大修館書店, 1989.7 【KF4-E18】
→p.385に「巳」の意味として「子。胎兒。」とあり、解字として「説文通訓定聲によれば、胎兒の象形で、腹中にある子の形に象るといふ。」とある。
8.諸橋轍次 [ほか]著『広漢和辞典』上巻 大修館書店, 1981.11 【KF4-50】
→p.1125に「巳」の意味として「子。はらみご。胎児。」とあり、解字に「一説に、胎児の象形。」とある。
9.鎌田正, 米山寅太郎 著『新漢語林』大修館書店, 2004.12 【KF4-H12】
→pp.405-406の「巳」の項の字義として「子。はらみご。胎児。」とあり、解字に「胎児の象形とも考えられる。」とある。
10.水上静夫 編著『甲骨金文辞典』上巻 雄山閣出版, 1995.7 【KK24-E41】
→p.432の「巳」の項に、字形として「(略)小さな胎児の形に象る」、字義として「(略)小さな胎児」とある。
11.藤堂明保 著『漢字語源辞典』学灯社, 1990.7 【KK12-E5】
→pp.80-81に、「巳」について「字形A巳は(略)胎児の形である」、「胎児のこと」等と言及されている。また、pp.115-117にも「子」「巳」等の解説があり、p.116に「子と巳とは「小さい子ども」という点で同じである。」、「巳」について「小さな胎児の象形文字である」とある。
12.藤堂明保 編『学研漢和大字典』学習研究社, 1981.4 【KF4-49】
→p.402の「巳」の解字に「原字は(略)胎児を描いた象形文字で(略)十二進法の六番めに当てられてから、原義は忘れられた。もと胎と同系のことば。」とある。
13.上田万年 [ほか]編著『講談社新大字典』講談社, 1993.3 【KF4-E44】
→p.723の「巳」の項に「(二)巳は包の中の巳で、人の子の出来始めという。」とある。

[その他の主な調査済み資料・データベース]

・白川静 著『字通』平凡社, 1996.10【KF4-G7】
→p.634に、「ト文の「ね」にあたる字は、別の字で示されている。ト文では子は「み」にあたる字として用いる。」とある。
・落合淳思 著『甲骨文字の読み方 (講談社現代新書)』講談社, 2007.8 【KK24-H58】
→p.211に「子」の意味として「十二支の六番目。この場合には「巳」に相当。」とある。
・鎌田正, 米山寅太郎 著『大修館漢語新辞典』 大修館書店, 2001.4 【KF4-H2】
→p.372に資料9と同様の記述がある。
・鎌田正, 米山寅太郎 著『大漢語林』大修館書店, 1992.6【KF4-E34】
→p.442に資料9と同様の記述がある。
・藤堂明保, 加納喜光 編『学研新漢和大字典』机上版 学習研究社, 2005.5【KF4-H14】
→pp. 527-528に「巳」の項があり、p.528に資料12と同様の記述がある。
・藤堂明保, 松本昭, 竹田晃, 加納喜光 編『漢字源 : 上級漢和辞典』改訂第6版 学研プラス, 2018.12【KF4-M1】
→p.555の「巳」の項の解字に、「[語源]巳は胎と同源で、「物の起こり、始まり」というイメージがある(略)[字源]巳は胎児を描いた図形<象形>。」とある。
・加納喜光 著『似て非なる漢字の辞典』東京堂出版, 2000.7【KK24-G33】
→p.88に「ところで「巳」は胎児の図形と考えられる。」とある。
・加納喜光 著『人名の漢字語源辞典』東京堂出版, 2009.8【KK24-J22】
→p.174に「巳」の項があり、「胎児の姿を描いた図形である「巳」で表記する」とある。
・加納喜光 著『漢字の成立ち辞典』新装版 東京堂出版, 2009.6【KK24-J21】
→p.2の「巳」の項に「[字形]胎児を描いた図形で(略)もとは胎児という意味があったらしいが、用例は未詳」とある。
・沖森卓也, 三省堂編修所 編『三省堂五十音引き漢和辞典』第2版 三省堂, 2014.12【KF4-L8】
→p.431の「巳」の項に「[象形](略)胎児の形にかたどる。」とある。

・小川環樹 [ほか]編『角川新字源』 改訂版角川書店, 1994.11【KF4-E60】
・尾崎雄二郎 [ほか]編『角川大字源』角川書店, 1992.2【KF4-E32】
・佐藤喜代治 著『字義字訓辞典』(角川小辞典 ; 4). 角川書店, 1985.1【KF45-83】
・加藤常賢 [ほか]著『角川字源辞典』第2版角川書店, 1983.12【KF4-59】
・新潮社 編『新潮日本語漢字辞典』 新潮社, 2007.9【KF4-J1】
・戸川芳郎 監修, 佐藤進, 濱口富士雄 編『全訳漢辞海』第4版三省堂, 2017.1【KF4-L14】
・小川環樹, 西田太一郎, 赤塚忠, 阿辻哲次, 釜谷武志, 木津祐子 編『角川新字源』改訂新版 KADOKAWA, 2017.10【KF4-L17】
・山口明穂, 竹田晃 編『岩波新漢語辞典』第3版 岩波書店, 2014.1【KF4-L4】
・竹田晃, 坂梨隆三 編『五十音引き講談社漢和辞典』講談社, 1997.10 【KF4-G11】
・村上久吉 著『字原を探る』 叢文社, 1978.9 【KF45-39】
・辻井京雲 著『図説漢字の成り立ち事典』教育出版, 1993.10 【KK24-E29】
・山田勝美, 進藤英幸 著『漢字字源辞典』角川書店, 1995.7 【KK24-E40】

・国立国語研究所 日本語研究・日本語教育文献データベース( https://bibdb.ninjal.ac.jp/bunken/ja/

(ウェブサイトの最終アクセスは2020年7月14日)
回答プロセス
(Answering process)
事前調査事項
(Preliminary research)
『新訂 字統(普及版)』白川 静/著, 平凡社, 2007.06
→ト文では、巳の代わりに子の字を使っていた。巳を使っていなかった。
『漢字語源語義辞典』加納 喜光/著, 東京堂出版, 2014.09
→巳は「子の未だ形を成さざるに象る」(略)胎児という意味ではなく、物の起こり、始まりというイメージ
NDC 
参考資料
(Reference materials)
キーワード
(Keywords)
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
人文(レファレンス)
調査種別
(Type of search)
文献紹介
内容種別
(Type of subject)
質問者区分
(Category of questioner)
登録番号
(Registration number)
1000285382解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決
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