レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 蒲郡市立図書館 (2310237) | 管理番号 (Control number) | 蒲郡ー2020-03212-般 | |||||||||||||||||
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事例作成日 (Creation date) | 2020年3月22日 | 登録日時 (Registration date) | 2020年03月21日 12時40分 | 更新日時 (Last update) | 2023年03月29日 13時49分 | |||||||||||||||
質問 (Question) | 沖縄の「アグー豚」は中国から14世紀に渡来したそうだが、「アグー豚」と呼ばれる以前に中国では何と呼ばれていたのか? 『うまい肉の科学』p.118の項目「アグ―豚」の「沖縄固有の在来種で、14世紀ごろに中国から導入されたとされる。名称は「粟国(あぐに)島」からという説がある」を見ての質問。 | |||||||||||||||||||
回答 (Answer) | 台湾語でいう「豚」の発音「ti 又 tu 豬」が近いかも知れないが、14世紀にその発音で呼ばれていたかどうかは分からない。 その後の調査により、「ウヮー」と呼ばれていたのではないかと思われる。 | |||||||||||||||||||
回答プロセス (Answering process) | ①『世界大百科事典』『都道府県別全国方言辞典』『日本方言辞典』『日本方言大辞典 上巻』『沖縄県のことば』を見るが、「アグー」や類似の発音の語について記載なし。 ②OPAC検索「食␣じてん」でヒットした、 『調理科学×肉の事典』p.155の項目「アグー豚」に、「沖縄で島豚と呼ばれる黒豚で、ルーツは600年前に中国から入ってきた豚とされます」と記述あるが、語源等について記述なし。 ③OPAC検索「琉球」「中国␣古代」でヒットした資料を調べる中で、219.9の書架にあった、 『沖縄県の歴史』P.98「明朝冊封体制と東アジア 冊封体制への参入」に、「洪武5(1372)年、明朝の招諭使が琉球にあらわれ~琉球は明朝との冊封体制にはいり、中国との500年余にわたる関係がはじまった」と記述あり。p.101~102「進貢貿易の展開」に1376年~様々な物品の交換が明朝と琉球との間に行われた記述があるが、豚が琉球にもたらされた記述はなし。 ④yahoo!検索「アグ―豚␣歴史」でヒットした、 「沖縄県アグーブランド豚推進協議会(沖縄県庁畜産課内)」ホームページ内「アグーの由来」に、「1385年 琉球王「察度」の使者が明国(中国)より種豚を持ち帰る」「1392年 ビン人が福建省(中国)から琉球に帰化する際に、豚と養豚技術を導入」と記述あるが、語源等について記述なし。 14世紀末頃、中国福建省から沖縄へ豚を持ち込んだというビン人の、当時の豚の呼称を調べる。 ⑤レファ協「福建省 ビン」で検索、ヒットした事例(埼玉県立久喜図書館)「中国の福建省の言語である〈福建語〉または(びん語)の辞書・語彙集・入門書で、相互貸借可能なものを探している。相互貸借不可の場合は所蔵状況のみでもよい」に対して、回答「『旅のアジア語』に「台湾語(福建語)」として12頁ほど記述あり。『言語学大辞典』によると〈台湾語〉は〈(ビン)南語〉にあたるが、『世界のことば小事典』にも台湾は福建省東南部からの移住者により開拓された旨の記述があり、資料によっては〈福建語〉=〈台湾語〉としているものもある。」との記述あり。 ⑥『言語学大辞典』『世界のことば小事典』は所蔵がないが、『旅のアジア語』所蔵あり。 『旅のアジア語』p.69に項目「台湾語(福建語)」あり、「台湾語(福建語)は主に台湾、中国福建省南部と広東省東部で話されている」と記述あり。 ⑦『世界大百科事典』「台湾語」について記載なし。24巻p.650「福建語」について記載あり。「通称閩(びん)語」であり、分布は「閩南部(福建南東部)から広東省デルタ一帯および台湾が中心」「福建北東部」「福建北西部」の三カ所に大別される旨の記述あり。 ⑧OPAC「台湾語」でヒットした、 『東方台湾語辞典』 p.347右欄「ブタ」に発音あり。「ti 又 tu 豬」 利用者と一緒にこの資料で「あぐー」や類似の発音の語を調べてみるが該当なし。14世紀に使用されていた台湾語が分かる資料の所蔵なし。 | |||||||||||||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | ||||||||||||||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) |
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キーワード (Keywords) |
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照会先 (Institution or person inquired for advice) | ||||||||||||||||||||
寄与者 (Contributor) | ||||||||||||||||||||
備考 (Notes) | Twitterから寄せられた情報にて、『復活のアグー』に書かれていることがわかった。 p81-「三、豚の語源」にて、 「ウチナーグチ(沖縄語)でブタのことを「ウヮー」と発音するが、ネイティブでないと発音は難しい。【中略】『南島方言思考』で次のように記している。 ゥワーという音節の語が、もとoa〉ua又は「おあ」であったことは確かである。豚は最初(14世紀初期)山東省から輸入されたという言い伝えがあって、現にSantonwaなどといっている。(中略)仔豚の福建語はwaで、これで琉球方言のwaの語源が説けるような気がする」 とあった。 さらに、 「中国の福建省泉州あたりではウヮーは豚のことで、幼児語に由来する言葉である。【中略】また『南島方言史考』において、福建語の仔(ワー・こぶた)の転化であろうと推定している。」 とも書かれており、アグーと呼ばれる前は「ウヮー」であったと思われる。 参考文献としてあげられていた「南島方言史攷」(『伊波普猷全集 第4巻』収録)を見てみると、p99「海東諸国記附載の古琉球語の研究」にて、「猪肉(wa shishi)豚肉のこと。【中略】仔の福建音はwaで、特に子豚にそういっているとのことだから、waの語源がこれで解けるような気がする」とあり、またp324にも同様に「福建語では仔の発音はワーで、仔豚にもそういうとのことだが、明初仔豚が支那から将来されたという口碑と照合せて考えると、琉球語ウヮーの語源も明らかになってくる。」とあった。 | |||||||||||||||||||
調査種別 (Type of search) | 事実調査 | 内容種別 (Type of subject) | 言葉 | 質問者区分 (Category of questioner) | 社会人 | |||||||||||||||
登録番号 (Registration number) | 1000276202 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 解決 |