レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019/12/25
- 登録日時
- 2020/01/07 00:30
- 更新日時
- 2020/02/20 16:44
- 管理番号
- 6835379
- 質問
-
解決
太原雪斎の「御屋形対諸宗礼之事」が記述されている文献や資料を探している。
まず太原雪斎について調べたところ、戦国時代の臨済宗の僧であり、今川義元を補佐した人物であることが分かった。
その情報を元に関連資料を確認したところ、人物像についての情報は得られたものの、「御屋形対諸宗礼之事」についての記述は得られなかった。
「御屋形対諸宗礼之事」は、おそらく太原雪斎の考えや思想に触れた書状のようなものかと思うが定かでない。
国立国会図書館に「御屋形対諸宗礼之事」が記述されている文献や資料があるか。
ある場合には、その文献や資料の書面、記述ページ数等を知りたい。
- 回答
-
資料1に、「御屋形対諸宗礼之事」という古文書について、概要の説明があります。
古文書本文の翻刻については、資料2~4に、古文書冒頭部分の写真図版が資料1、4に掲載されていました。
また、研究文献(資料5、6)に、ご照会の文書についての言及と説明がありましたので参考までにお知らせします。
【 】内は当館請求記号です。
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資料1
・臨濟寺史研究会 編『大龍山臨濟寺の歴史』臨濟寺, 2000.10【HM176-G87】
* 「第一章 戦国時代の臨濟寺」(pp.15-88)の「第二節 創建太原崇孚」(pp.26-46)に「六 今川家諸宗礼式」の項(pp.37-39)の項があり、「天文十九年(一五五〇)十二月、諸宗寺院に対する礼式についての今川義元からの諮問に対し、太原崇孚は一〇か条からなる回答を行っている。(中略)臨濟寺に伝わる「御屋形対諸宗礼之事 太原覚書」と題する古文書(中略)その大要は、次のとおりである。」と、ご照会の古文書について説明があるほか、p.38には巻頭部分の写真図版が掲載されています。
* 「大龍山臨濟寺年表」(pp.277-297)の天文19(1550)年12月11日の項に、「臨濟寺太原崇孚、今川義元の諮問に答え、今川家諸宗礼式を定める(臨濟寺文書)」(p.278)とあります。
資料2
・『静岡県史. 資料編 7 (中世 3)』静岡県, 1994.3【GC126-E10】
* pp.720-724にご照会の文書の翻刻が掲載されています。p.721の「御屋形対諸宗礼之事」には、「(モト端裏書カ)」との注が付されています。
資料3
・静岡市 編『静岡市史. 古代中世史料』静岡市, 1978.4【GC128-6】
* 「〔一六〕社寺文書」に「九一 臨済寺文書」の項があり(pp.885-918)、「五 太原崇孚覺書写」(pp.887-891、467~469コマ)に、「御屋形對諸宗禮之事 太原覺書」で始まる文書の翻刻が掲載されています。
* 国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館内/図書館送信参加館内公開)
資料4
・静岡県 編『静岡県史料. 第3輯』臨川書店, 1994.4【GC126-E39】
* 「49 臨濟寺文書 靜岡市大岩 臨濟寺藏」(pp.564-327)の項に、「五 庚戌(天文十九年)十二月一日 太原崇孚覺書寫」(pp.568-576)としてご照会の文書の翻刻と、p.568と569の間に後奈良天皇女房奉書と太原崇孚覚書写の写真図版(ページ付けなし)が収録されています。
* NDL ONLINEの書誌データの注記に「静岡県昭和9年刊の複製」とあります。
当館では、原本の『静岡県史料. 第3輯』【618-103】【215.4-Si578s】のほか、角川書店から1966年に出版された複製【215.4-Si578s-k】も所蔵しています。
原本と角川書店版の複製は、いずれも国立国会図書館デジタルコレクションに収録されており、国立国会図書館内/図書館送信参加館内公開です。
なお、角川書店版の複製では、写真図版は省略されているようで見当りませんでした。
資料5
・小和田哲男 著『今川氏家臣団の研究』清文堂出版, 2001.2【GB43-G261】
* 「III-1 太原崇孚雪斎研究」の項(pp.97-122)があり、ご照会の文書について「今川家当主が、それぞれ身分ある僧侶に対してどのように待遇すべきかについて意見を述べたもの」との言及があります。
資料6
鈴木 芳道「戦国大名権力と寺社・公家・天皇」(『日本歴史』(通号 559) 1994.12 pp.20-37 【Z8-255】)
* ご照会の文書について、pp.21-22に言及があります。
〔主な調査済み資料・ウェブサイト〕
・東京大学史料編纂所データベース https://wwwap.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/
* 「大日本史料総合データベース」で、キーワードに「太原」、対象に「綱文」を選択、和暦を「天文19年12月」として検索すると、天文19年12月11日、綱文「臨済寺崇孚、(太原)、今川家寺院禮式を撰す」がヒットし、『史料綜覧. 巻10 (室町時代之4 天文6年~永禄11年.安土時代之1 永禄11年~元亀3年)』【GB22-35】p.326にも同様の記載があります。
・奥野高廣「羅針盤 勅願寺と香衣」(『戦国史研究』(22):1991.8 pp.12-13 【Z8-2083】)
* p.13にご照会の文書について、「御屋形義元の諸宗に対する礼式について答えた。その覚書の写しが臨済寺に伝えられている。」等の言及があります。
・黒澤 脩「今川氏親と曹洞禅―石雲院崇芝性岱と五派を中心として―」(東国戦国史研究会 編『戦国史論集 : 関東中心』名著出版, 1980.6 pp.193-206 【GB235-52】)
* ご照会の文書の「増善寺殿の事ハ」と「得願寺は」で始まる条について、pp.203-204に言及があります。
・皓星社 雑誌記事索引集成データベース(ざっさくプラス) ※当館契約データベース
・JapanKnowledge Lib ※当館契約データベース
・Google Books https://books.google.co.jp/
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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【これまでに確認した資料の内“太原雪斎”について記述があったもの】
・国史大辞典第 8(吉川弘文館 1987)
・日本仏教人名辞典(法蔵館 1992)
・静岡市史 原始古代中世(静岡市役所 1981)
・軍師・参謀(中央公論社 1990)
・山本勘助と戦国24人の名軍師 別冊歴史読本第31巻23号(新人物往来社 2006)
・名軍師ありて、名将あり(NHK出版 2012)
・戦国武将を育てた禅僧たち(新潮社 2007)
・敗者烈伝(実業之日本社 2016)
・武将と名僧(清流出版 1996)
・図説静岡県の歴史(河出書房新社 1987)
- NDC
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000272284