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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000270010
提供館
(Library)
奈義町立図書館 (2410013)管理番号
(Control number)
M120922123641
事例作成日
(Creation date)
2019年04月28日登録日時
(Registration date)
2019年12月08日 11時39分更新日時
(Last update)
2019年12月15日 11時46分
質問
(Question)
イソップの「ロバ売りの親子」が見たい。イソップだと記憶しているが見当たらない。英語劇の参考にしたいので、簡単な児童書・絵本のような本はないか。
回答
(Answer)
該当の絵本・児童書の所蔵がないため、相互貸借する。

回答経緯を説明し、下記の資料をお渡しした。

所蔵資料(一般書):
『絵入り伊曽保物語を読む』武藤禎夫/著 東京堂出版 1997
相互貸借資料(児童書):
『きょうのおはなしなあに Good night stories 秋』ひかりのくに 2009(9月3日 ろば売りの親子 イソップ 中村美佐子/文)
『イソップ童話集 世界童話文学全集2』田中秀央・中川正文/訳 講談社 S34
回答プロセス
(Answering process)
所蔵の絵本には見当たらず。『イソップ寓話集』山本光雄∥訳(岩波文庫 1974改版)、『イソップのお話』河野与一∥編訳(岩波少年文庫 1986改版)にも収録されておらず。
『イソップのお話』のあとがきに、「「ウマを売りに行く親子」のお話がありません」「ハムル版にもシャンブリ版にも見当たらない」とあり、戦国時代に宣教師が伝えた和訳本、天草本にはのっている、とある。
所蔵の『絵入り伊曽保物語を読む』武藤禎夫∥著(東京堂出版 1997)P151に、「44 人の心の定まらぬ事」として収録されている話が、依頼者の探している話と内容が一致した。
『イソップ寓話集』はシャンブリ版をもとに、『イソップのお話』はハムル版、シャンブリ版の二冊をもとに翻訳されている。どちらの版もギリシア語。ギリシア語の本にはのっておらず、日本語版にはのっていることになる。
また、岩波少年文庫のいう天草本は「イソポのハブラス」のことで、「伊曽保物語」と似ているが別の資料。

webをあたると、和歌山大学の兵頭俊樹の論文「『伊曽保物語』下巻28「鳩と狐のこと」とスペイン語版イソップと『カリーラとディムナ』」のなかで、16世紀後半に日本に入ってきたイソップ寓話はシュタインヘーヴェル版(ラテン語・ドイツ語版)の流れを汲む1489年刊スペイン語版が底本に近いのではないかと考えられている、とある。根拠のひとつが、シュタインヘーヴェル版に「人の心の定まらぬ事」に対応する話がないが、スペイン語版には収録されているとある。また、ポッジョの「ロバ売り親子」という笑い話が付け加わったことが確実、として参考文献に伊藤博明の論文『ポッジョ・ブラッチョリーニと『伊曽保物語』」を挙げている。

伊藤の論文のなかで、

 ヨーロッパの俗語文学の邦訳として最初の作品はよく知られているように、1593年(文禄2年)天草の学林(コレジオ)で印刷された『イソポのハブラス』である。(略)ほぼ20年後の1610年代、慶長末年から元和初年に、古活字版による国字本『伊曽保物語』が出版され、(略)『イソポのハブラス』と『伊曽保物語』の内容は完全に一致していないばかりか異なる箇所も多く略)実はその『伊曽保物語』には、ポッジョ・ブラッチョリーニの『笑話集』から数話採録されている。(天草版の『イソポのハブラス』には含まれていない)。

また、初めて指摘したのは上田敏であるとしている。
ロバを失った親子の話は、ラ・フォンティーヌの『寓話』第三巻一話「粉ひきとその息子と驢馬」にも同様の話があると上田が述べていて、それはシュタインヘーヴェル版には採録されていない、としている。
シュタインへ―ヴェル版とスペイン版の相違についてはこれに詳しい。

小堀桂一郎∥著『イソップ寓話』のp228-232では、『伊曽保物語』の特色として「馬を売りにゆく親子」の話をあげている。
シャンブリ版にもハムル版にも載っていない話として、元来ポッジォの笑話集に出ていたことがよく知られている有名な話であるとしている。ラ・フォンテーヌが『寓話』第三巻の第一話にいれて、そこにはマレルブがラカンに語った話、としている、とある。ポッジォの笑話集を元祖として広く近世西欧に流布した話だとみていいと結論づけている。

また、p230で巷間に広く流布している形では、馬でなくロバが多く、ロバが川に落ちるところで終わっていて、例として、田中秀央・中川正文∥共訳『イソップ童話集』(講談社 1959)をあげている。

その『イソップ童話集(世界児童文学全集2)』(p53-60)には、「こなひきとむすことろば」の題で挿入されている。
この本は、フリッツ・クレーデル版をもとにし、不十分なときにはトーマス・ジェームスの英訳を参照したとしている。フリッツ・クレーデル版が何をもとに訳されたかは不明。

明治時代の『伊蘇普物語二百話:新訳』(1911)の中では、第四七話「親と子と驢馬」(p108)として「ロバ売りの親子」の話が入っている。原書は不明だが、この本では馬ではなくロバとなっており、最後は川に驢馬がおちるところで終わる。

 その他、伊藤博明「スペイン版「イソップ寓話集」と国字本『伊曽保物語』」では、「最近の兵頭俊樹氏の論考によって、邦語版「イソップ物語」の訳者が参照したのはシュタインヘーヴェル版の原本であるよりもスペイン語版であることが判明した」とする。

これらのことから、イソップ寓話は、ヨーロッパで翻訳や版を重ねるうちに、その他の話が付け加えられたものができ、そのスペイン版が日本に伝わったといえる。日本でイソップ物語に入っていると言われる「ロバ売りの親子」の話は、もとはポッジョ『笑話集』に収録されていたものであり、正確にはイソップ寓話とはいえない。

当館に児童書、絵本はないため、他館より児童書を相互貸借。
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
ギリシア文学  (991)
参考資料
(Reference materials)
河野与一 編訳 , 河野, 与一, 1896-1984. イソップのお話 改版. 岩波書店, 1986. (岩波少年文庫)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002660067-00 , ISBN 4001110091
山本光雄 訳 , Aisōpos , 山本, 光雄, 1905-1981. イソップ寓話集. 岩波書店, 1974. (岩波文庫)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001270886-00
武藤禎夫 著 , 武藤, 禎夫, 1926-. 絵入り伊曽保物語を読む. 東京堂出版, 1997.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002634908-00 , ISBN 4490203292
国民図書株式会社. 假名草子集 : 全. 國民圖書, 1928. (近代日本文學大系 / 國民圖書株式会社編, 第1卷)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I008511215-00
西垣尭則 訳 , Aisōpos , 西垣, 尭則. 伊蘇普物語二百話 : 新訳. 立川文明堂, 1911.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000518233-00
小堀桂一郎 著 , 小堀, 桂一郎, 1933-. イソップ寓話 : その伝承と変容. 中央公論社, 1978. (中公新書)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001396336-00
槙本 ナナ子,那須田 稔,槙本 楠郎,花岡 大学,加藤 輝男,まど みちお,後藤 楢根,柴野 民三,酒井 朝彦,佐藤 義美,今西 祐行,香山 美子,宮脇 紀雄,久保 喬,関 英雄,松岡 節,新美 南吉,神沢 利子,西沢 正太郎,村山 籌子,中村 美佐子,天神 しずえ,二反長 半,浜田 けい子,平塚 武二,与田 準一,大石 真,中川 正文,立原 えりか,平井 芳夫,浜田 広介,飯島 敏子,奈街 三郎,長崎 源之助,大蔵 宏之,川崎 大治,生源寺 美子,神戸 淳吉,新川 和江,上崎 美恵子,小川 未明,小春 久一郎. きょうのおはなしなあに 秋の巻. ひかりのくに昭和出版.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000004-I000698172-00
田中秀央, 中川正文訳 , Aesop , 田中, 秀央 , 中川, 正文. イソップ童話集. 講談社, 1959. (世界童話文学全集, 2)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I005449050-00
兵頭 俊樹 , 兵頭 俊樹. 『伊曽保物語』下巻28「鳩と狐の事」とスペイン語版イソップと『カリーラとディムナ』. 2015-02. 和歌山大学教育学部紀要. 人文科学 / 和歌山大学教育学部紀要委員会 編 65 p. 99-110
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I026235091-00
伊藤 博明 , 伊藤 博明. ポッジョ・ブラッチョリーニと『伊曽保物語』--シュタインヘーヴェル編「イソップ寓話集」のスペイン語版について. 2009. 埼玉大学紀要. 教養学部 / 埼玉大学教養学部 編 45(2) p. 1~15
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I10716885-00
伊藤 博明 , 伊藤 博明. スペイン語版「イソップ寓話集」と国字本『伊曽保物語』. 2018. 埼玉大学紀要. 教養学部 / 埼玉大学教養学部 編 53(2) p. 1-13
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I029033458-00
キーワード
(Keywords)
イソップ
ロバ売りの親子
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
文献紹介 事実調査
内容種別
(Type of subject)
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000270010解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
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