レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
[転記用URL] https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000260965提供館 (Library) | 所沢市立所沢図書館 (2310110) | 管理番号 (Control number) | 所沢富岡-2019-005 | |||||||||
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事例作成日 (Creation date) | 2016/06/15 | 登録日時 (Registration date) | 2019年09月05日 00時30分 | 更新日時 (Last update) | 2019年11月12日 10時29分 | |||||||
質問 (Question) | 中国の歴史などで出てくる、「字」(あざな)とは何か。 | |||||||||||
回答 (Answer) | 「字」とは、中国で成人したとき、実名とは別につけられる名前です。(参考:『新編 東洋史辞典』) 以下の資料に記載があります。 〇『新編 東洋史辞典』 京大東洋史辞典編纂会/編 東京創元社 1980年 〇『世界の姓名』 島村修治/[著] 講談社 1977年 〇『新釈漢文大系 28』 明治書院 1977年 〇『新釈漢文大系 29』 明治書院 1979年 〇『名前のおもしろ事典』 野口卓/著 文藝春秋 2005年 〇『名前と社会』 上野和男/編 比較家族史学会/監修 早稲田大学出版部 1999年 〇『学研漢和大字典』 藤堂明保/編 学研 1980年 | |||||||||||
回答プロセス (Answering process) | 1.所蔵資料の内容を確認 〇『新編 東洋史辞典』 京大東洋史辞典編纂会/編 東京創元社 1980年 p.6 「あざな 字」の項目の中に、以下のような記載あり 「中国で成人したとき、実名とは別につけられる名。中国では実名を諱(いみな)というように、これを直接呼ぶことをさけた。それで父とか君は諱を呼ぶが、その他のものはすべて、字で呼びあう。(中略) 男子は20歳で元服したとき、女子は15歳で結婚し笄(こうがい)をすると字をつけるとしている。字のもっとも古い例は殷周にさかのぼるとされ、以後、極めて最近までつづいた。(以下省略)」 2.後日調査による追加資料 〇『世界の姓名』 島村修治/[著] 講談社 1977年 p.267-269 「字(あざな)」の項目があり、以下のような記載あり 「中国人が実名のほかに字と称する別名を用いる風習は実に古い。(中略) 字は原則として実名と関連性をもったものを選ぶものである。(中略) 古代にあっては、生後3月めに父が命名し、字は成人式(時代によって15歳から20歳と異なる)に名づけられ、(中略) 父が命名した実名は、本人が他人に謙遜して自称するとき、又は君主・尊属・学問の師など重要な関係に限られた少数の目上の人が呼ぶとき以外はみだりに用いない秘密的性格を帯びたものであった。字と称する第二の名は、一般の人々が実名を避けてその代わりとして呼ぶ公開的な他称の名である。(中略) 現代の中華人民共和国の人々は字を用いないが、台湾や東南アジアに住む中国系の人々の名刺に、時おり姓名の左横下の位置に小さな活字で字を印刷しているのを見受ける。(以下省略)」 〇『新釈漢文大系 28』 明治書院 1977年 ※『礼記』第十一~二十五を収録 p.455-484 「玉藻 第十三」の項目あり p.472 「通釈」の中に「士は君前に物を言うとき、亡くなった大夫の名をさすには諡(おくりな)または字(あざな)を言い、士については名(本名)を言う。また、士が大夫と話すとき、士については名を言い、大夫については字を言う。」との記載あり 〇『新釈漢文大系 29』 明治書院 1979年 ※『礼記』第二十六~四十九を収録 p.910-912 「冠義 第四十三」の項目あり p.912 「通釈」の中に「さて冠礼では、(中略)冠を着けると賓客から字を与えられ、(これから人びとは本人を字で呼ぶのであって、)これも成人の習わしである。(以下省略)」との記載あり 〇『名前のおもしろ事典』 野口卓/著 文藝春秋 2005年 p.218-233 「名前を巡る言葉一覧」の項目の中に p.218 「字(あざな)」の項目あり 「中国で本名・実名以外に付けられる名で、日本でも武士・文士・学者などが付けた。」との記載あり 〇『名前と社会』 上野和男/編 比較家族史学会/監修 早稲田大学出版部 1999年 p.176-196 「中国の命名法と輩行制」の項目あり p.178-179 「中華人民共和国の建国以降、戸口制度が整備されたので、現在では名前が固定化している。しかし、伝統的には、一生涯でいくつもの名前を持っていた。(中略)成人して仕事を持つようになると、「号(ハオ)」または「字(ツー)」を選んでもらう。(以下省略)」 p.192-193 [注]の(3)に「戦前の台湾の習慣をまとめた鈴木清一郎は、台湾人の名前に次の七種類があると指摘している。(中略) (二)字名(ツウミア)=男子が一六歳の成人になったとき、先生がさらに付ける名前で、尊属以外は字名を呼ぶことが礼儀。」との記載あり 〇『学研漢和大字典』 藤堂明保/編 学研 1980年 p.340 「字」の項目あり 「②《名》あざな 男子が二十歳で元服してから、本名のほかにつける名。格式ばったときのほかは、日常は字(あざな)を呼んだ。字は、本名に関連した名をつけることが多い。女子は婚約してから笄(こうがい)をつけ、字をつける。」との記載あり p.957 「笄」の項目あり 「②《動・名》こうがいする 昔、女は十五歳になると婚約者をきめ、紙に笄をさし、字(あざな)をつけた。婚約しないときは二十歳になってからこの成年式を行う。」との記載あり △『日本と中国楽しい民俗学』 賈蕙萱/共著 社会評論社 1996年 p.105-109 「成人式」の項目の文中に p.108 「かつての中国では、成年礼、成丁礼、冠礼などと呼び、重々しい儀式が行われました。(中略)儀式が済むと酒が振舞われ、母親への挨拶がされます。続いて主賓から“字(あざ)”が贈られます。」との記載あり ×『世界の名前』 岩波書店辞典編集部/編 岩波書店 2016年 p.111-113 「犬も食わない名前―現代中国」の項目の文中に p.112 「子供が成長すれば、幼名(小名)は本名(大名)に変わる。伝統中国では、官職についたり、出世したりすれば、地位や状況に応じた改名を行うことも少なくなかった。文人であれば、さらに字や号、室名などが加わる。」との記載あるが、「字」についての説明は見当たらない。 ×『苗字と名前の歴史』 坂田聡/著 吉川弘文館 2006年 p.70-132 「男性の名前」の項目に、日本の「字」についての詳しい記載あり ×『名づけの民俗学』 田中宣一/著 吉川弘文館 2014年 ×『名前のはなし』 高梨公之/著 東京書籍 1981年 ×『苗字と名前を知る事典』 奥富敬之/著 東京堂出版 2007年 | |||||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | ||||||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) |
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キーワード (Keywords) |
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照会先 (Institution or person inquired for advice) | ||||||||||||
寄与者 (Contributor) | 備考 (Notes) | |||||||||||
調査種別 (Type of search) | 事実調査 | 内容種別 (Type of subject) | 言葉 | 質問者区分 (Category of questioner) | 一般 | |||||||
登録番号 (Registration number) | 1000260965 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 解決 |