レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20190809
- 登録日時
- 2019/08/09 12:38
- 更新日時
- 2019/08/28 14:55
- 管理番号
- 県立長野-19-021
- 質問
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解決
島崎藤村(しまざきとうそん)『千曲川のスケッチ』中の「一ぜんめし」という項に、「蕎麦はもとより名物だ。酒盛の後の蕎麦振舞と言えば本式の馳走に成って居る。」と登場する蕎麦振舞(そばふるまい)とはどのようなものか。岩手県のわんこそばのルーツとして「そば振舞」というものがあるが、同じように半ば強制的にお代わりを勧める食べ方なのか。
- 回答
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・『そば事典 味覚選書』 植原路郎著 柴田書店 1975 【596/196】 p.31、108 ※【】内は県立長野図書館の請求記号
蕎麦振舞:秋の収穫が終わってからの骨休めである。最初に酒が少々出ることを「そば前」という。そばを味わう集まりだから、そばが運ばれてきたら、酒盃は遠慮する。「中割」といって、そばの途中で酒が出ることもある。最後に出るお酒を「箸洗い」という。酒盛りではないから、酒はほどほどにすべきもの。酒の肴にも蕎麦の香を損なうようなつまみ物や料理は出さない。ただし鯉だけは使うことがある。
縁者呼び:北陸地方で正月に行う「蕎麦振舞」で、この時は「どうぞ、どうぞ」と止めどなくサービスする。呼んだ方にはこのようにするのがサービスであるいう風習が残っている。
このように「蕎麦振舞」とは、催しの一つとされているようだ。ただし、北陸地方や能登では「縁者呼び」といわれ、岩手県のわんこそばのルーツと同じような意味となる。
・『蕎麦辞典』 植原路郎著 東京堂出版 2002 【596.3/ウロ】 p.43、44、142
蕎麦振舞:この催しは蕎麦処では、どこでも行われるが、信州、上越、能登などでは、特色ある催しとされている。
・『蕎麦の事典』 新島繁著 柴田書店 1999 【383.8/ニシ】 p.132
蕎麦振舞:蕎麦処でみられる風習で一部では「縁者呼び」と言われている。
章の一部で「蕎麦振舞」について記載があった資料
・『そば・風味風習』 植原路郎著 ダヴィッド社 1957 【383/38】 p.126
・『そば物語』 植原路郎著 井上書房 1959 【596/39】 p.73
調査済み資料
・『物語・信州そば事典』 中田敬三著 郷土出版 1998 【N596/74】
・『蕎麦史考』 新島繁著 錦正社 1975 【383.8/ニシ】
・『そば風土記』 植原路郎著 毎日新聞社 1974 【596/182】
・『蕎麦談義』 植原路郎著 東京堂出版 1973 【596/163】
・『長野県史 民俗編 第1巻(1)東信地方 日々の生活』 長野県編 長野県史刊行会 1986 【N209/11-3/1-1ア】
・『長野県史 民俗編 第4巻(1)北信地方 日々の生活』 長野県編 長野県史刊行会 1984 【N209/11-3/4-1ア】
・『小諸市誌 歴史篇1』 小諸市誌編纂委員会編 小諸市教育委員会 1979 【N222/43/2-1】
・『小諸市誌 歴史篇2』 小諸市誌編纂委員会編 小諸市教育委員会 1984 【N222/43/2-2】
・『小諸市誌 歴史篇3 近世史』 小諸市誌編纂委員会編 小諸市教育委員会 1991 【N222/43/2-3】
・『小諸市誌 近現代篇』 小諸市誌編纂委員会編 小諸市教育委員会 2003 【N222/43/4】
- 回答プロセス
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1 当館の検索システムで「蕎麦振舞」、「そば ふるまい」と検索するがヒットしない。
2 郷土資料の5類(596:食品)の資料を見たが、「蕎麦振舞」に関する資料は見つからなかった。
3 『長野県史』、『小諸市誌』を見たが、「蕎麦振舞」に関する記載は見つからなかった。
4 当館の検索システムで「そば 歴史」と検索すると、『そば事典』が見つかり、「蕎麦振舞」に関する記載が確認できた。「蕎麦振舞」は上越や長野では催しの一つとされていることがわかったため、詳しい内容も含めて回答した。
5 4の手順で見つかった『蕎麦の事典』に「蕎麦振舞」は一部の地域で「縁者呼び」ともいわれることがわかった。「蕎麦振舞」と合わせて回答した。
6 前記の『そば事典』、『蕎麦の事典』の著者が植原路郎であるため、当館の検索システムで「植原路郎」で検索して、「蕎麦振舞」に関する記載が見つかったので、合わせて回答した。
- 事前調査事項
- NDC
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- 食品.料理 (596)
- 衣食住の習俗 (383)
- 参考資料
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植原路郎著 , 植原, 路郎. そば事典. 柴田書店, 1975. (味覚選書,) 【596/196】
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I008144923-00 -
植原路郎 著 , 植原, 路郎, 1894-1983. 蕎麦辞典 改訂新版. 東京堂出版, 2002. 【596.3/ウロ】
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003662889-00 , ISBN 4490106041 -
新島繁 編著 , 新島, 繁, 1920-2001. 蕎麦の事典. 柴田書店, 1999. 【383.8/ニシ】
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002839404-00 , ISBN 4388058521 -
植原路郎 著 , 植原, 路郎, 1894-1983. そば : 風味・風習. ダヴィッド社, 1957. 【383/38】
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000973797-00 -
植原路郎 著 , 植原, 路郎, 1894-1983. そば物語. 井上書房, 1959. 【596/39】
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000998953-00
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植原路郎著 , 植原, 路郎. そば事典. 柴田書店, 1975. (味覚選書,) 【596/196】
- キーワード
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- 蕎麦振舞
- 縁者呼び
- 植原路郎
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000259997