レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 高崎市立中央図書館 (2310031) | 管理番号 (Control number) | 0131224993 | ||||||||||||||||||||||
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事例作成日 (Creation date) | 2019年04月01日 | 登録日時 (Registration date) | 2019年04月02日 18時41分 | 更新日時 (Last update) | 2019年06月14日 18時49分 | ||||||||||||||||||||
質問 (Question) | 新元号“令和”の出典となった万葉集の部分を見たい。 | ||||||||||||||||||||||||
回答 (Answer) | 新元号“令和”の出典となったのは、『万葉集 巻第五』に収録されている“梅花歌卅二首并序(ばいかのうたさんじゅうにしゅあわせてじょ)”の序文の中の“初春令月 気淑風和”です。 この作品は、天平2(730)年の正月13日(太陽暦2月8日頃)に、大宰府の長官である大伴旅人の邸で開かれた梅花の宴で詠まれた歌をまとめたものです。序文の作者については、大伴旅人、山上憶良、麻田連陽春、など説がわかれているようです。また、32首の歌の後には、員外として2首、後に追加された4首の歌がそえられています。 以下、当館所蔵の資料です。 新編国歌大観 第2巻[1] 私撰集編歌集 p.41中段 梅花歌卅二首并序 原文のみ。 和歌文学大系 2 p.27-29 梅花歌三十二首序を并せたり 読み下し文、原文、脚注あり。 口語訳はないが、脚注の語釈を代替としている。 脚注に以下の記述あり。 “序文の作者については説が分かれているが、旅人か” 萬葉集 2(新潮日本古典集成) p.61-62 梅花の歌三十二首并せて序 訓み下し文、頭注(口語訳含む)あり。 頭注に以下の記述あり。 “この序は、王羲之の「蘭亭集序」や初唐の詩序などの構成・語句に学ぶところが多い” “序をまとめたのは旅人配下の書記か” 新日本古典文学大系 1 p.464-466 梅花の歌三十二首序を并せたり 原文、訓み下し文、脚注(口語訳含む)あり。 新編日本古典文学全集 7 万葉集巻第5~巻第9 p.39-41 梅花の歌三十二首并せて序 読み下し文、原文、頭注、脚注(口語訳含む)あり。 頭注に以下の記述あり。 “表向きは宴の主催者である大伴旅人、そして実作者は山上憶良と考えられる” “この序は、王羲之の「蘭亭序」や王勃・駱賓王などの初唐詩序の構成や語句などに学んだとみられる点が多い” 日本の古典 3 万葉集2 p.202-205 梅花の歌三十二首と序 読み下し文、現代語訳、脚注あり。 脚注に以下の記述あり。 “この序の作者について、宴の主催者である大伴旅人自身とする説のほか、山上憶良または麻田連陽春などの大宰府の官人とする説もある” “この序は王羲之の「蘭亭集序」や王勃・駱賓王などの初唐詩序の構成や語句などに学んだ点が多い” 万葉集全解 2 巻第4 巻第5 巻第6 p.222-224 梅花の歌三十二首〔并せて序〕 訓み下し文、現代語訳、脚注あり。 脚注に以下の記述あり。 “序の作者は旅人” “王羲之「蘭亭序」や王勃、駱賓王などの初唐の詩序の影響が指摘されている” 万葉集 上(旺文社文庫) p.276-277 梅花の歌三十二首序を并せたり 読み下し文、脚注(口訳含む)あり。 万葉集(文芸読本) p.197 梅花の歌三十二首(内二十二首略)序并せたり 読み下し文あり。 万葉集の読み方 p.154- 『万葉集』の宴席を考える-梅花の宴を通して 読み下し文あり(p.155) 文中に以下の記述あり。 “序は王羲之の「蘭亭集序」の影響と見るのが定説であり、初唐詩序の影響も指摘される華麗な四六駢儷体の美文である” 大伴旅人 p.61- 大宰府時代の生涯 林田正男著 遠の朝廷での梅花宴 読み下し文あり(p.64-65) 文中に以下の記述あり。(p.66) “序文の作者については旅人説・憶良説・某官人説などが提出されているが、確定的な結論が出たとはいえない。” “仮に序をまとめたのは旅人配下の書記官などで旅人の推敲をうけたとも考えられる。” また、この序と蘭亭の序を比較した記述もあり。 和歌文学講座 5 大伴旅人 松田好夫著 読み下し文あり(p.185) 文中に以下の記述あり。 “序の作者に就いて諸説があるが、結局旅人とすべきである。” 大伴旅人 山上憶良 p.25- あの梅この梅 読み下し文あり(p.25) 文中に以下の記述あり。(p29-30) “もっともこの漢文の序については諸説があって、旅人、憶良、その他の学識者と未確定” “この序文の内容が、当時中国で流行したいわゆる詩序を模したもの” “王義之の蘭亭集序その他に粉本を求め得ることは明らか” 万葉集(古典を読む) p.241- 梅花の宴の論 読み下し文と大意あり。(p.242-244) 文中に以下の記述あり。 “大伴旅人説、山上憶良説、某官人説などがあるうち、大伴旅人とみるのが最も妥当と思われる。” コレクション日本歌人選 041 梅花の宴の論(抄) 大岡信著 p.108-113 読み下し文あり。(p.109) 文中に以下の記述あり。 “大伴旅人説、山上憶良説、某官人説などがあるうち、大伴旅人とみるのが最も妥当と思われる。” ※『万葉集(古典を読む)』からの抄録 万葉びとの宴 p.53-56 美文の序 読み下し文と現代語訳あり(p.53-55) 文中に以下の記述あり。 “その序文は、晋の王羲之、すなわちかの書聖が書いた「蘭亭集序」や、初唐の王勃、駱賓王などの詩序の構成を真似たものである。”(p.50-51) 旅人と憶良 p.98-114 梅花の宴 原文あり。(p.98) 文中に以下の記述あり。(p.102,105) “王義之の蘭亭序に模して居るといふことが言はれて居るが、それは文章の構成、使用の成句のみならず大体の気持にも共通のものがある様に思はれる。” “やはり憶良を作者とするのが最も自然といふことになるのであらう。” “或いは序文の作者と歌を記載した執筆は別人としても考へられる。” 万葉集歌人研究叢書 2 ※『旅人と憶良』を復刻したもの。 梅花の宴 原文あり。(p.98) 文中に以下の記述あり。(p.102,105) “王羲之の蘭亭序に模して居るといふことが言はれて居るが、それは文章の構成、使用の成句のみならず大体の気持にも共通のものがある様に思はれる。” “やはり憶良を作者とするのが最も自然といふことになるのであらう。” “或いは序文の作者と歌を記載した執筆は別人としても考へられる。” また、巻末の解説では、序文の作者について、旅人説と憶良説について記述されている。(p.3) 英語でよむ万葉集 p.55- 世界第二の都市の、おおらかな「文明」 序文の簡単な解説と英訳あり。(p.70-71) 元号読本 p.351-354 初めての国書の『万葉集』を典拠とした「令和」 読み下し文に訳注を付けたものを抄出。(p.352-353) 文中に以下の記述あり。(p.353) “この序文の冒頭部分は、王羲之の「蘭亭序」の形式に依り、また『文選』所収の張衡作「帰田賦」にみえる「仲春令月、時和気清」という表現を参考にしており” また、次のサイトで、デジタル化された万葉集の該当部分を閲覧することができる。 <国立国会図書館デジタルコレクション> 万葉集. 上巻( http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/874185 最終確認:2019.6.14) 85-86コマ 読み下し文 萬葉集 20巻( http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2605612 最終確認:2019.6.14) [5]15-16コマ 原文 <『日本古典籍データセット』(国文学研究資料館蔵)> 万葉集( http://codh.rois.ac.jp/pmjt/book/200015542/ 最終確認:2019.6.14) 248-249 原文 万葉集( http://codh.rois.ac.jp/pmjt/book/200001729/ 最終確認:2019.6.14) 229-230 原文 <関西大学図書館蔵書検索KOALA> 万葉集( http://www.lib.kansai-u.ac.jp/webopac/DM60834289 最終確認:2019.6.14) 198 原文 万葉集( http://www.lib.kansai-u.ac.jp/webopac/DM60834291 最終確認:2019.6.14) 228-229 原文 | ||||||||||||||||||||||||
回答プロセス (Answering process) | まず万葉集にあたり、さらに大伴旅人からもアプローチする。 以下の資料は、序文そのものはないが、題材となった「梅花の宴」に関する記述あり。 鑑賞 日本古典文学 第3巻 中西進編 角川書店 1976.10 p.149-151 落梅と雪 文中に以下の記述あり。 “旅人は漢文の序をつける” “漢詩に序をつけるという形式はやはり中国のもので、初唐の王勃がこの形式に長じていたとされる” “そして内容も格調高く、旅人は王羲之の「蘭亭序」をまねて冒頭を書き出している” “この漢文序には李白の「春夜桃李園に宴するの序」との類似をいう人もあり、要は正格にかなった序だったということになる” 万葉集 佐佐木幸綱著(NHK「100分de名著」ブックス) NHK出版 2015.5 p.99-104 貧窮問答歌-山上憶良2 文中で梅花の宴が開催されたことに少し触れている。(p.100) 楽しくわかる万葉集 中西進監修(図解雑学) ナツメ社 2011.8 p.62-63 大伴旅人 梅花の宴について少し触れている。 万葉集講座 第6巻 吉永登ほか著 有精堂 1972.12 p.37 梅花の宴 文中に以下の記述あり。 “この漢文序の筆者はためらいなく旅人とすることができる。” “この序が、王義之の「蘭亭集序」にならって作られたものであることは古くから指摘され” 古代伝説と文学 土居光知著 岩波書店 1960.7 p.153- 『万葉集』巻五について 文中に以下の記述あり。 “書き始められた序文も旅人自身の筆ではなく、かれの側近者の文章であろう。”(p.169) 筑紫万葉の世界 林田正男編 雄山閣 1994.2 万葉梅花の宴 中西進著 p.15-23 この序と蘭亭の序を比較した記述もあり。 筑紫万葉の世界 普及版 林田正男編 雄山閣 2019.5 前半と同様の内容。 日本の文様 7 梅 小学館 1987.5 大伴旅人の梅花の宴 大岡信著 p.176-180 序文の大意のみあり。(p.177) 文中に以下の記述あり。(p.177) “おそらく旅人自身によって書かれたと思われる序文” 人生の黄金時間 大岡信著 日本経済新聞社 1988.11 p.147-155 大伴旅人の梅花の宴 序文の大意のみあり。(p.149-150) 文中に以下の記述あり。(p.149) “おそらく旅人自身によって書かれたと思われる序文” ※『日本の文様 7』より収録。 花の名随筆 2 二月の花 作品社 1999.1 大伴旅人の梅花の宴 序文の大意のみあり。(p.89-90) 文中に以下の記述あり。(p.89) “おそらく旅人自身によって書かれたと思われる序文” ※『人生の黄金時間』より収録。 万葉集入門 鈴木日出男著(岩波ジュニア新書) 岩波書店 2002.10 都市化と自然詠 p.81- 梅花の宴と、序文について少し触れている。(p.85-87) 松浦川の幻想 p.108- 梅花の宴について少し触れている。(p.113) 以下の資料には、該当する記述は見当たらなかった。 万葉集 古橋信孝著 筑摩書房 1994.9 万葉集 大庭みな子著 講談社 1989.11 日本の古典 6 小島憲之ほか校注・訳 小学館 1985.10 万葉集 根岸謙之助著 現代書房新社 1989.3 万葉集 上代文学会編 笠間書院 1980.6 万葉集 洋泉社 2017.1 万葉集事典 稲岡耕二編 学灯社 1994.7 万葉集ハンドブック 多田一臣編 三省堂 1999.10 万葉集入門 神野志隆光監修 平凡社 2011.4 図説日本の古典 2 集英社 1978.4 現代語訳 日本の古典 2 学研 1980.7 図説地図とあらすじで読む万葉集 坂本勝監修 青春出版社 2006.7 万葉歌みじかものがたり2 中村博著 JDC出版 2012.9 外来思想と日本人 谷口茂著 玉川大学出版部 1995.5 万葉のふるさと 清原和義著(ポプラ・ブックス 29) ポプラ社 1976 折口信夫全集 7 折口信夫著 中央公論社 1995.8 | ||||||||||||||||||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | |||||||||||||||||||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) |
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キーワード (Keywords) |
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照会先 (Institution or person inquired for advice) | |||||||||||||||||||||||||
寄与者 (Contributor) | |||||||||||||||||||||||||
備考 (Notes) | 2019.4.4:「国立国会図書館デジタルコレクション」を回答に追加。 2019.4.5:「日本古典籍データセット(国文学研究資料館蔵)」を回答に追加。 2019.4.9:「関西大学図書館蔵書検索KOALA」を回答に追加、「楽しくわかる万葉集」を回答プロセスに追加。 2019.4.19:「大伴旅人」、「和歌文学講座 5」、「大伴旅人 山上憶良」を回答に追加、「万葉集講座 第6巻」、「古代伝説と文学」を回答プロセスに追加。 2019.4.24:「万葉集」、「コレクション日本歌人選 041」、「万葉びとの宴」、「旅人と憶良」、「万葉集歌人研究叢書 2」を回答に追加、「筑紫万葉の世界」、「日本の文様 7」、「人生の黄金時間」、「花の名随筆 2」、「万葉集入門」を回答プロセスに追加。 2019.5.23:「英語でよむ万葉集」を回答に追加。 2019.5.31:回答プロセスに「筑紫万葉の世界 普及版」を追加・修正。 2019.6.14:「元号読本」を回答に追加。 | ||||||||||||||||||||||||
調査種別 (Type of search) | 文献紹介 | 内容種別 (Type of subject) | 質問者区分 (Category of questioner) | ||||||||||||||||||||||
登録番号 (Registration number) | 1000254511 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 解決 |