レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 所沢市立所沢図書館 (2310110) | 管理番号 (Control number) | 所沢新所-2018-010 | ||||||||||||||
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事例作成日 (Creation date) | 2017/05/06 | 登録日時 (Registration date) | 2019年03月08日 00時30分 | 更新日時 (Last update) | 2019年03月08日 09時13分 | ||||||||||||
質問 (Question) | “聖人於天道”という言葉が含まれている文の意味が書いてある本はあるか。 | ||||||||||||||||
回答 (Answer) | 以下の資料に“聖人於天道”が含まれている文の意味が書いてあります。 〇『孟子』 佐野大介/[著] KADOKAWA 2015年 〇『孟子 下』 金谷治/著 朝日新聞社 1978年 〇『中国の思想 第3巻』 孟子/[著] 今里禎/訳 徳間書店 1980年 〇『孟子 下』 [孟子/著] 小林勝人/訳注 岩波書店 1994年 〇『中国の古典 4』 藤堂明保/監修 大島晃/訳 学研 1983年 〇『筑摩世界文学大系 5』 倉石武四郎/[ほか]訳 筑摩書房 1976年 〇『新釈漢文大系4』 内野熊一郎/著 明治書院 1962年 〇『孟子』 金谷治/著 岩波書店 1966年 〇『中国の思想 3』 松枝茂夫/監修 竹内好/監修 徳間書店 1996年 〇『中国古典文学大系 3』 木村英一/訳 鈴木喜一/訳 平凡社 1970年 〇『世界の大思想 1』 木村英一/訳者代表 河出書房新社 1972年 〇『孟子』 加賀栄治/著 清水書院 2015年 | ||||||||||||||||
回答プロセス (Answering process) | “聖人於天道”をインターネットで検索したところ、千葉商科大学学術リポジトリに『孔子の倫理哲学論(6) : 道徳論を中心として』浅井茂紀 著の論文が検索結果として出てきた。 p.28に、『仁の父子に於けるや,、義の君臣に於けるや、禮の賓主に於けるや、智の賢者に於けるや、聖人の天道に於けるや、命なり。(尽心下)』とある。 注釈に、『仁之於父子也, 義之於君臣也, 禮之於賓主也, 智之於賢者也, 聖人之於天道也, 命也。有性焉, 君子不謂命也。(尽心下)。』とあるので、孟子および、孟子の「尽心」下巻をキーワードに検索した。 1.所蔵資料の内容確認 〇『孟子』 佐野大介/[著] KADOKAWA 2015年 p.244-246 尽心下【本性と天命との関係(第24章)】に上記部分の書き下し文と通釈が記載されている。意味として、「仁義礼智といった徳が実現できるかどうかは、運命によるところがあると認めます。しかし、実現できるかどうかは運命によるとしても、人は生まれつき仁義礼智を本性として持っているので、君子は「運命」という言葉で徳の実現をあきらめたりはしません。」と記載あり。 〇『孟子 下』 金谷治/著 朝日新聞社 1978年 p.269-270 尽心篇 第七下 p.246に上記部分の白文と通釈が記載されている。意味として、「また父子の間での仁愛、君臣の間での義など、種々の人間関係における道徳も、それが道徳も、それが理想どおり行えるかどうかは運命的なことに相違ない。しかし、それらはまた道徳性として本性に根ざしているものでもある。そこで君子は、命として自然にまかせることはしない。すなわち、その実現のために無限の努力をおしまないのである。」と記載あり。 また、「聖人の天道における」という句は上文ともわかりにくい言葉だとし、「知性をのばして賢者となり、聖徳を盛んにして天道に合致する、そこにも運命的なままならぬ要素はあろう。しかし、君子は人間本性すなわち自然なもちまえだとして、それら道徳の実現に努力する、というのである。」とも書かれている。 〇『中国の思想 第3巻』 孟子/[著] 今里禎/訳 徳間書店 1980年 p.316-317 尽心篇【本性と天命】に上記部分の白文と通釈が記載されている。 意味として、「親子の間の仁、君臣の間の義、主客の間の礼、賢者となるための智、天道に合致するための聖徳、これらが会得できるかどうかは天命にはちがいない。しかし仁義礼智は人間の本性に根ざしたものである。だから君子は天命とは考えない。」と記載あり。 〇『孟子 下』 小林勝人/訳注 岩波書店 1979年・1994年 p.412-414 巻第十四 尽心章句下 24に上記部分の白文、通釈、語釈が記載されているが、ここでは“聖之於天道也”となっている。 それは、「人の字は衍字」だという兪樾に従って、聖人の人の字を削っているためである。また上文の“知之於賢者也”の知と聖を対としているためでもあるとも語釈に記載されており、天道は時運のよしあし、つまり吉凶禍福のこととする履軒の語釈も記載している。 意味として、「父子の間の仁、君臣の間の義、賓主の間の礼、賢者にとっての知性、天道にとっての聖徳、これらの道徳は誰しもつねに望みどおりにいくとはかぎらないから、これも天命である。しかし、これらの徳は人間固有の本性に根ざしているものであるから、有徳の君子は天命だといってあきらめずに、あくまでも努力をつづけるのだ。」と記載あり。 〇『中国の古典 4』 藤堂明保/監修 大島晃/訳 学研 1983年 p.399-400 巻十四 尽心章句下に上記部分の書き下し文、傍注、通釈が記載されている。 意味として、「仁が父子の間で、義が君臣の間で、礼が客と主人との間で、智が賢愚の間でいかに具現されるか、聖人が天道に対していかなるかかわり合いをしたかは、各人が天から稟受した命によって左右される。しかし、これらの徳は善なる性として固有のもので、学ぶことによって実現できるのである。だから君子はこれらを命とは言わず、努力を続けるのだ」と記載あり。 〇『筑摩世界文学大系 5』 倉石武四郎/[ほか]訳 筑摩書房 1976年 p.284 孟子 尽心 246に上記部分の現代語訳が記載されている。 意味として、「仁は父子の間において、義は君臣の間において、礼は主客の間において、知慧は賢者に対して、聖人は天道に対して、よく実現できるか否かは運命である。ただこれらは天性として必然的なものであるから、君子はそれらのことを、運命的なものとは認めない。〔努力して天性に従い実現しようとする〕」と記載あり。 〇『新釈漢文大系4』 内野熊一郎/著 明治書院 1962年 p.498-499 孟子 尽心章句下に上記部分の書き下し文、通釈、語釈、余説が記載されている。 意味として、「父子の間における仁、君子の間における義、賓主の間における礼、賢者の間における智、天道に対する聖人のあり方、それらが必ずしもだれもが完全に行うことが出来ないのは、それは天命であるからである。しかし、本性として人間は仁・義・礼・智の心を持ってはいるのであるから、君子は直ちにこれを天命なりといってあきらめなどせず、どこまでも、この本性を拡充することに努力するのである。」と記載あり。 〇『孟子』 金谷治/著 岩波書店 1966年 p.120-121 人間性を善だと断定するための証明として上記部分の言葉が引用されている。意味として、「親子の間に仁愛が行なわれ、君臣の間に義理が行なわれ、主客の間に礼儀が行なわれ、賢者の身に知性がつまれ、天(自然)の道(道理)のうえに聖徳が輝くというのは、ままならぬ運命である。しかしそこに人間性がある。そこで君子はそれらを運命としない。」と記載あり。 〇『中国の思想 3』 松枝茂夫/監修 竹内好/監修 徳間書店 1996年 p.285-286 尽心 に上記部分に白文、通釈、現代語訳が記載されている。 意味として、「親子の間の仁、君臣の間の義、主客の間の礼、賢者となるための智、天道と合致するための聖徳、これらが会得できるかどうかは天命にはちがいない。しかし仁義礼智は人間の本性に根ざしたものである。だから君子は、それらを天命と決めつけず努力をつづける。」と記載あり。 〇『中国古典文学大系 3』 木村英一/訳 鈴木喜一/訳 平凡社 1970年 p.227 尽心章句下 246に上記部分の現代語訳の記載あり。 意味として、「仁は父と子の間で、義は君と臣の間で、礼は客と主人との間で、欠けてはならない。また智は賢者にとって、聖人は天のなりゆきにとって、欠けてはならないものである。それをどの程度実現できるかは、それぞれの場合の運命に左右されるが、しかしその底には、人間本来の『性』というものがある。だから、この場合には、君子は運命などをもち出してあきらめることをしないのである」と記載あり。 〇『世界の大思想 1』 木村英一/訳者代表 河出書房新社 1972年 p.237 上記部分の現代語訳の記載あり。 意味として、「親子の間に欠かせない仁愛、君臣の間に欠かせない忠義、賓客と主人との間に欠かせない礼儀、そして更に賢者にとって欠かせない知恵、聖人にとって欠かせない最高の道徳、これらのことを充分に行なうには人並みすぐれた才能がなくてはならない。だが才能のあるなしは天命によることであって人間にはどうしようもない。しかし、君子はこれらを生まれながらに備わった本性だと考えて、仁愛や忠義やを修得するように努力を重ねるものなので、決して天命だなどと言ってあきらめてしまったりはしないのだよ」と記載あり。 〇『孟子』 加賀栄治/著 清水書院 2015年 p.182-183 Ⅲ孟子の主要思想 に上記部分について漢字かな交じり文、現代語訳、通釈の記載あり。 意味として、「また仁義礼智の実現や聖人が天道を成就することは、運命の要素が多分にはたらくから、これらは命に属するものといってもよい。しかし、仁義礼智の徳は人間に内在するもの、性であるから、たとえ、その実現が命に左右されるとしても、君子はこれを命なりとはいわない。」と記載あり。 2.確認をしたが記載のなかった資料 ×『鑑賞中国の古典 3』 小川環樹/監修 本田済/監修 角川書店 1989年 ×『孟子』 貝塚茂樹/[著] 講談社 2004年 ×『孟子』 貝塚茂樹/訳 中央公論新社 2006年 ×『孟子評解』 内野熊一郎/著 有精堂出版 1978年 ×『世界の名著 3』 貝塚茂樹/責任編集 中央公論社 1978年 | ||||||||||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | |||||||||||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) |
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キーワード (Keywords) |
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照会先 (Institution or person inquired for advice) | |||||||||||||||||
寄与者 (Contributor) | |||||||||||||||||
備考 (Notes) | |||||||||||||||||
調査種別 (Type of search) | 文献紹介 | 内容種別 (Type of subject) | 言葉 | 質問者区分 (Category of questioner) | 一般 | ||||||||||||
登録番号 (Registration number) | 1000252730 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 解決 |