レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年03月22日
- 登録日時
- 2018/05/02 13:51
- 更新日時
- 2020/12/04 10:14
- 管理番号
- 中野0970
- 質問
-
解決
太平洋戦争時のラグビーについて調べている。
1.昭和17年当時のボールの大きさやルール等は今と同じなのか。
2.昭和20年頃の英語ではなく、日本語のルールはないか。
- 回答
-
1について
【資料1】『運動年鑑. 昭和17年度 附録』[国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1138775)]
61コマ~「ラグビー規則」 ボールやユニフォーム、靴の規定サイズについても載っている。(インチ表記)
【資料2】「日本におけるラグビーフットボール 競技規則改正に関する史的考察」『小樽商科大学人文研究』(84)
簡潔に大正末~昭和初期のラグビー規則の特徴について書かれている。
【資料3】『近代ラグビー百年 香山蕃追悼』(当館所蔵なし)
上記【資料2】の参考文献。
【資料4】『ラグビーフットボール』(783.4/カ)
昭和5年出版のラグビーの教本の復刻版。
【資料5】『公定価格便覧 日用品編』1941年 [国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1682957)]
「運道具」の項目にラグビーボールとあり。当時の価格が分かる。
2について
毎日新聞 昭和18年3月6日(大阪)の記事によると、昭和18年3月5日にラグビーを闘球と改称すると厚生省から発表があり(【資料8】)、【資料9】には昭和18年に定められた「闘球規則」が載っています。但し、この資料では外来語が使われています。
外来語を使わないルールについては資料を見つけることができませんでした。
【資料9】『アサヒスポーツ年鑑 昭和18年版』(国会図書館デジタル化資料: https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2472774/169 )
169コマ「闘球規則」あり。外来語が使われている。
昭和18年の次の出版が昭和23年となっており、その間の資料は確認できなかった。
●その他の確認した資料
『ラグビー大百科』末富鞆音/著,勁文社,1990(783.4/ス)
『ラグビーボールはなぜ楕円形なの?』中村敏雄/編著,大修館書店,1992(783/ナ)
『カラーイラスト ラグビー』日比野弘/著,日東書院,1984(783.4/ヒ)
- 回答プロセス
-
2について
①利用者の求めている「日本語のルール」とは、「敵性語除外」がされたあとの事を指していると思われる。
1で提供した【資料4】『ラグビーフットボール』(783.4/カ)は、昭和5年のルール本なので、まだ外来語が除外されていない。
ラグビーは当時「闘球」と表記されていたことがわかった。
②<敵性(外来)語_闘球>をキーワードに、資料をさがす
【資料6】『戦争と平和の事典 現代史を読むキーワード』(210.7/セ)
p.49[言論統制と「敵性用語」廃止]「英米との対立が深まった1940(昭和15)年に入ると「外来語を一掃し、日本に返れ」として、敵性外来語廃止の気運が高まっていく。」「スポーツの分野でも「アメリカンフットボール」が「鎧球」、「ラグビー」が「闘球」、(略)」
【資料7】『昭和世相流行語辞典 ことば昭和史Word&Words』(814.7/タ)
p.80 「昭和18年3月になると、野球用語のストライク・ワンは「よし、一本」、ボールは「一つ、二つ、三つ、四つ」(略)ラグビーは「闘球」(略)などと、英語排斥はエスカレートするばかりであった。」
※「敵性(外来)語」について、野球はルールまで書いてある本があるが、ラグビーはなし。
※敵性語は法律で禁止されているわけではなく、自主規制によるもの。
【資料8】『昭和ニュース事典』8巻(R210.7/シ/8)
p.39-「外国語排撃」
毎日新聞 昭和18年3月6日(大阪)の記事に闘球のやや詳しい解説があることがわかった。
「昭和18年3月5日に厚生省から競技名の改称が発表。競技規則を3月中には成案」とある。
④1で調査した資料を再度確認
【資料1】『運動年鑑. 昭和17年度 附録』 (国会図書館デジタル化資料: https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1138775 )
61コマ-「ラグビー規則」 ボールやユニフォーム、靴の規定サイズについても載っている。(インチ表記)
この資料を見る限りでは昭和17年時点では、外来語で記載している。
※昭和18年3月以降の『運動年鑑』は見つけることができなかった。
⑤国会図書館デジタルコレクションで検索
<闘球>をキーワードに検索
【資料6】『アサヒスポーツ年鑑 昭和18年版』(国会図書館デジタル化資料: https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2472774/169 )
169コマ「闘球規則」あり。外来語が使われている。
昭和18年の次の出版が昭和23年となっており、その間の資料は確認できなかった。
[最終アクセス:2020年8月1日]
- 事前調査事項
- NDC
-
- 球技 (783)
- 参考資料
-
-
【資料1】朝日新聞社体力部 編 , 朝日新聞社. 運動年鑑 昭和16-18年. 朝日新聞社, 1941.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000696120-00 (http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1138775) -
【資料2】藤江 正. 日本におけるラグビーフットボール 競技規則改正に関する史的考察. 1992-08. 小樽商科大学人文研究 84 p. p.191-221
https://ci.nii.ac.jp/naid/110006610026 -
【資料3】池口康雄 著 , 池口, 康雄, 1918-. 近代ラグビー百年 : 香山蕃追悼. ベースボール・マガジン社, 1981.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001520033-00 , ISBN 4583020295 -
【資料4】香山蕃 著 , 香山, 蕃, 1894-1969. ラグビー・フットボール. ベースボール・マガジン社, 1981.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001526025-00 , ISBN 4583020333 -
【資料10】大軒順三, 田中弥十郎 編 , 大軒, 順三 , 田中, 弥十郎. 公定価格便覧 家庭用品篇 第2輯,工場用品篇,日用品篇,木材・雑品篇. 東洋経済新報社, 1941.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000698155-00 (http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1682957)
-
【資料1】朝日新聞社体力部 編 , 朝日新聞社. 運動年鑑 昭和16-18年. 朝日新聞社, 1941.
- キーワード
-
- ラグビー
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000235338