レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年07月17日
- 登録日時
- 2017/10/23 14:00
- 更新日時
- 2017/10/25 13:07
- 管理番号
- 0000110689
- 質問
-
解決
萩藩の医師、栗山孝庵(くりやまこうあん)が行った、日本初の女体解剖に参加した者の名前が分かるものはないか。また、その女体解剖についての資料がないか。
- 回答
-
栗山孝庵の行った女体解剖の参加者について、姓名がわかる資料を見つけることができなかった。
下記資料1には、この解剖についての記載がある。解剖の記録として、栗山孝庵がその師である山脇東洋に書き送った書簡があり、その全文が収録されている。書簡には「医生期せずして来会する者百人ばかり」(原文を仮に読み下したもの)とあるが、具体的な姓名は記載されていない。
なお、この書簡は、資料1のほか、三浦梅庵の『造物余譚』にも収録されており、以下の図書で読むことができる。
『日本の名著20 三浦梅庵』中央公論社、1984(自館未所蔵)
国立国会図書館デジタルコレクション:三浦梅園 著『梅園全集 上巻』弘道館、1912 p795-797
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/949194/434
資料1のほか、栗山孝庵及びその女体解剖についての文献として、資料2、3があるが、参加者についての記述は見当たらなかった。
- 回答プロセス
-
自館レファレンスデータベースにて「栗山孝庵」で検索、ヒットした資料を確認。
うち、『山口県百科事典』の「栗山孝庵」の項(p250)で概要を確認、同項には参考文献なし。
また、『防長医学史』に「栗山孝庵」の伝記記述あり(下巻p124-132)。また「解剖史」の項(上巻p109-113)に、女体解剖についての記述あり。栗山の書簡が収録されており、同じものが『造物余譚』にも収録、とのこと。
『造物余譚』の所蔵をNDLサーチで確認、入手しやすいものとして『日本の名著』20があるが、自館所蔵なし。国立国会図書館デジタルコレクションの『梅園全集』に翻刻が収録されており、書簡部分もあることを確認。
自館所蔵『栗山孝庵のこと』は修理中で閲覧できなかったが、同資料が掲載された雑誌「中外医事新報」は国立国会図書館デジタルコレクションに収録、内容を確認。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1740081 (参加館公開)
NDLサーチで「栗山孝庵」で検索、以下の文献がヒットするが、未所蔵のため未見。
木村 專太郎「医者も知りたい【医者のはなし】(第44回)日本最初の女体解剖を行った萩藩医 栗山孝庵献臣(1728-1791) 」(臨床整形外科 、46巻3号、p224-227)
田中 助一 「栗山孝庵と杉田玄白及び小田野直武 第75回日本医史学会総会・第16回蘭学資料研究会大会研究発表合同集会一般講演抄録」(日本医史学雑誌、20巻3号、p213-214)
NDLサーチで「女体解剖」で検索、「山口における女体解剖事始めと獣医解剖学」がヒット、内容確認
なお、自館レファレンスデータベースにて「解剖」で検索、以下の資料がヒットしたため、内容を確認したが、解剖された女性の事情(刑死の理由等)が書かれたもの。
「我が国最初の女体解剖悲話」(「温故知新」30号、2003、美東町文化研究会)
- 事前調査事項
- NDC
-
- 医学 (490)
- 中国地方 (217)
- 参考資料
-
-
資料1.田中助一 著 , 田中, 助一, 1911-1999. 防長医学史. 聚海書林, 1984.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001701409-00 , ISBN 4915521230 (上巻p109-113,下巻289-295) -
資料2.白水 完児 , 牧田 登之 , 白水 完児 , 牧田 登之. 山口における女体解剖事始めと獣医解剖学. 1998-12. 山口獣医学雑誌 (25) p. 59~66
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I4858665-00 -
資料3.安藤 紀一 , 安藤 紀一. 栗山孝庵のこと. 1930. (中外医事新報別刷)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I060654768-00
-
資料1.田中助一 著 , 田中, 助一, 1911-1999. 防長医学史. 聚海書林, 1984.
- キーワード
-
- 栗山考庵
- 解剖
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土 人物
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000223795