レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年2月3日
- 登録日時
- 2017/03/29 00:30
- 更新日時
- 2021/06/23 18:11
- 管理番号
- 県立長野-14-208
- 質問
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1 文語の「遠からじ」(「冬来たりなば春遠からじ」など)は、どういう単語の構成なのか。
2 「一群」は、「ひとむら」と読むようだが、「群」を「むら」と読むのはどういう場合か。
3 「和」は「やわらか」と読むのか。使用するのはどういう場合か。
- 回答
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1 形容詞「遠し」の未然形「遠から」に、打消推量の助動詞「じ」が付いたもの。
2 複合語では「群」を「むら」と読むこともあり、「一群」だけに限られる特殊な事例ではない。
3 読む。『日本国語大辞典 第2版 第13巻』の「やわらか」の項では「柔・和・軟」の字を見出しに挙げている。『新潮日本語漢字辞典』によると「和」には「感触や態度が穏やかである」という意味がある。ただし、この意味では多く「柔らか・軟らか」と書くとある。
- 回答プロセス
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1について
(1)『全訳読解古語辞典』 第3版 でp.572「じ」(打消推量の助動詞)を見る。「話し手・書き手の否定的推量を表 す。…ないだろう。」という意味で「一生の恥、これに過ぐるはあらじ」という用例があり、「活用語(形容詞ではカリ活用の)未然形に付く」とある。
また同p.1338に「形容詞活用表」には、古典語では、助動詞は「く・しく」に補助動詞「あり」が付いて融合した「かり(く+あり)」「しかり(しく+あり)」に付く、とある。
(2)同資料p.856の「とほし【遠し】」には、未然形が「とほから」とある。
2について
(1)『日本国語大辞典 第11巻』 第2版 には「ひとむら【一叢・一群】」(p404)も「ひとむれ【一群】」(p405)もある。「ひとむら」の語義に「ひとむれ」とあるように、明確な使い分けの記載はない。
また、『日本国語大辞典 第12巻』 第2版 p.1034「むら【群】」には「①むらがっていること。むれ。②名詞に付いて、群がっている意を表す」とある。例として「群雲(むらくも)、群雀(むらすずめ)」。
(2)『日本国語大辞典 第12巻』 第2版 p.1786に「群」があり、語義の②に「むれ。(中略)複合語ではむらとも読む」とある。
同p.3には「一群(ひとむれ)」は「一つのまとまりをなした群れ。②ひとむら→一叢」とあり、p.6「一叢(ひとむら)」には「ものが一つに群れて、まとまっていること。特に、植物が群がり生えているひとかたまり。「一群」とも書く。」とある。
(3)漢字2字の単語で「群」が後ろになり「むら」と読むものは、「家群」(いえむら)、「?群」(あじむら)、「鶴群」(たずむら)、「魚群」(なむら)、「群群」(むらむら)、「岩群」(いわむら)がある。
3について
(1)『日本国語大辞典第13巻』 第2版、『新潮日本語漢字辞典』の記載を確認。
<調査済み資料>
『逆引き広辞苑 第5版対応』岩波書店辞書編集部編 岩波書店 1999 【813.1/イワ】
『広辞苑』 第5版 新村出編 岩波書店 1998【813.1/シン】
- 事前調査事項
- NDC
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- 文法.語法 (815)
- 参考資料
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- 『全訳読解古語辞典 第3版』鈴木一雄[ほか]編 三省堂 2007年 (【813.6/スカ】)
- 『日本国語大辞典 第2版 第11巻』小学館国語辞典編集部編 小学館 2001年 (【813.1/シヨ/11】)
- 『日本国語大辞典 第2版 第12巻』小学館国語辞典編集部編 小学館 2001年 (【813.1/シヨ/12】)
- 『日本国語大辞典 第2版 第13巻』小学館国語辞典編集部編 小学館 2001年 (【813.1/シヨ/13】)
- 『新潮日本語漢字辞典』新潮社編・発行 2007年 (【813.2/シン】)
- キーワード
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- 日本語文法
- 漢字
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000213143