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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

提供館
(Library)
県立長野図書館 (2110021)管理番号
(Control number)
県立長野-16-046
事例作成日
(Creation date)
2016年10月4日登録日時
(Registration date)
2017年01月17日 16時38分更新日時
(Last update)
2017年01月31日 10時29分
質問
(Question)
 日本国憲法は立憲主義の立場に立っていると政治家は言っている。
 立憲主義とはなにか、どこの国が最初に採用した理念なのか、また、立憲主義は、国民が国家を縛る理念であり、国家が国民を縛る理念ではない、という主張があるが、事実か?
 日本国憲法制定過程で立憲主義が基本理念として前提されていたのか、も、含めて、研究業績があれば、紹介願いたい。
回答
(Answer)
 憲法についての資料は多く、網羅的な確認をすることは困難ですので御了承いただきたい。
 立憲主義とは何かについて、「国民が国家を縛る理念であり、国家が国民を縛る理念ではない」に近いと思われる記載を以下に転記。

 ア 『三省堂憲法辞典』大須賀明[ほか]/編 三省堂 2001年 【323.03/オア】 
  「立憲主義」の項 
   「権利保障と権力分立によって権力を制限しようとする原理。(後略)」 (p473)

 イ 『憲法とは何か』長谷部恭男/著 岩波書店 2006年 【323.01/ハヤ】
  「立憲主義ということばには、広狭二通りの意味がある。本書で『立憲主義』ということばが使われるときに言及されているのは、このうち狭い意味の立憲主義である。広義の立憲主義とは、政治権力あるいは国家権力を制限する思想あるいは仕組みを一般的に指す。『人の支配』ではなく『法の支配』という考え方は、広義の立憲主義に含まれる。
 古代ギリシャや中世ヨーロッパにも立憲主義があったといわれる際に言及されているのも広義の立憲主義である。
   他方、狭義では、立憲主義は、近代国家の権力を制約する思想あるいは仕組みを指す。この意味の立憲主義は近代立憲主義ともいわれ、私的・社会的領域と公的・政治的領域との区分を前提として、個人の自由と公共的な政治の審議と決定とを両立させようとする考え方と密接に結びつく。二つの領域の区分は古代や中世ヨーロッパでは知られていなかったものである。」(p68から69)
  「近代立憲主義に基づく憲法を立憲的意味の憲法ということがある。こうした憲法は、政府を組織し、その権限を定めると同時に、個人の権利を政府の権限乱用から守るため、個人の権利を宣言するとともに、国家権力をその機能と組織に応じて分割し、配分する(権力分立)。フランス人権宣言十六条が『権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていない社会は、憲法を持つものとはいえない』とするとき、そこで意味されているのは、立憲的意味の憲法である。」(p70)

 ウ 『ガイドブック憲法』辰村吉康/[編著] 嵯峨野書院 2007年  【323.14/タヨ】
  「立憲主義は、法の支配の原理(rule of law)に基づいて公権力の恣意的行使を許さない考え方であり、権力行使に当たっては、権力行使を受ける側が同意を与えた場合にのみ、その権力行使が正当化されると考える。
つまり立憲主義は権力行使の制約についての理論であり、乱暴に言えば『枠づけ主義』である。凶暴な権力を野放しにすると危険なので、一定の枠組み(constitution)に閉じこめようという発想である。ただ、国家権力は絶大な実力を発揮しうるがゆえに、逆説的であるが、国民の基本的な権利や自由を最終的に保障することが可能になる。」(p5)

 「国立国会図書館デジタルコレクション」で「立憲主義」をキーワードとして検索して見つかる戦前の資料でも同様の趣旨の記載が見られる。

 エ 『立憲非立憲』佐々木惣一 著 弘文堂書房 1918年
  「国家の三作用に付て夫々制限機関が設けられてあって、且つ立法の一般と異なる行政とに参与する制限機関が一般の国民に依て作成せられ、換言すれば其の作用に付て国民の意思の参加を認むること、之が立憲主義の根本精神である。」
  (p36)

 オ 『普通より新しき政治へ』池田超爾 著 稲淵堂出版部 1925年
  第5章「立憲主義と多数政治」(「立憲主義とはなにか」という直接の説明はないが、以下の記述がある。)
  「アウスチン、ホルランド、エーリング等が、法律は主権者に依ってなされる一般的の規範であるとしたことに徴すれば、憲法も主権者の制限を受くるものであることは論ずる迄もない。近代に於ける憲法の定義は、主権者の命に依りて、政府の権力を制限し、個人に自由行動の範囲を保證し、又立法作用に参与せしむる所の規範であると云うことに一致して居る。」p93)

 また、どこの国が最初に採用した理念か、については
 カ 『憲法1(法律学全集3)』清宮四郎/著 有斐閣 1979年 【320.8/ホウ/3】
  「イギリスに発した近代立憲主義」「近代立憲主義の祖国といわれるイギリス」(p8)

 キ 『新法律学辞典 第3版』竹内昭夫[ほか]/編 有斐閣 1989年 【320.3/タア】
  「立憲主義」の項
   「17世紀イギリスの名誉革命により、国政の基本原理として確立され、その後19世紀ヨーロッパ各国の憲法典を貫く原理となった。」(p1438)

 ク 『立憲主義の研究(増補版)』中川剛/著 法律文化社 【313.7/ナゴ】
  「立憲主義の母国はイギリスである。その生誕は中世に遡り、一六五三年の政体書(Instrument of Government)は、近代における最初の憲法典である。主観者意思の法による制約(およびその半面としての、法による主権者意思の正統化)は、おなじコモンロ・ロー世界ではアメリカにおいて充分な展開を見る事となり、またイギリス滞在中に政治論争に傾聴し、後年『法の精神』でイギリスの政体を紹介したモンテスキューによって政治原理とされ、直接にはアメリカ合衆国憲法によって刺戟されたフランスの立憲主義が、シビル・ロー世界ではさきがけをする。」
という記載がある。

 日本国憲法が立憲主義体制をとっていることについては、

 ケ 『試練にたつ日本国憲法』杉原泰雄/著 勁草書房 2016年  【323.14/スヤ】
  「第4章 日本国憲法の『立憲主義』とその破壊」
    「日本国憲法下の憲法学においても、この『立憲主義』は『権力担当者を憲法の鎖でしばるもの』として当然のこととされています。」(p76)    「日本国憲法が『憲法による政治』(『権力担当者をしばる憲法』)の意味での立憲主義体制をとっていることは、その前文の第一段と本文第九八条一項・第九九条から見て明らかなことです。」(p91)
 というような記述があるが、日本国憲法制定過程で立憲主義を基本理念として前提としていたか、については、憲法制定史に関する資料でも明確な記載は見つからなかった。

 (なお、『立憲主義と日本国憲法』高橋和之/著 有斐閣 2013年(第3版)はこの事例作成時点で当館未所蔵。)
回答プロセス
(Answering process)
1 憲法、法律に関する当館資料を調査。回答に記載した資料に記述あり。
2 大日本国憲法の時期に発行された資料にどのような記載があるか、「国立国会デジタルコレクション」も参照して確認。
3 「立憲主義が最初に生まれた国」も同様に確認。
4 「日本国憲法制定過程で立憲主義が基本理念として前提されていたのか」は明確に記載した資料は見つからない。
5 当館未所蔵であるが、タイトルから依頼の内容に適すると思われる資料を紹介。
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
憲法  (323)
参考資料
(Reference materials)
キーワード
(Keywords)
立憲主義
日本国憲法
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
文献紹介
内容種別
(Type of subject)
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000206685解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決
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