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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

提供館
(Library)
国立国会図書館(National Diet Library) (1110001)管理番号
(Control number)
B161120175559
事例作成日
(Creation date)
2016/11/30登録日時
(Registration date)
2016年12月23日 00時30分更新日時
(Last update)
2017年05月09日 13時55分
質問
(Question)
現在の世界の主な鉄道の軌間が「1435mm」(4フィート8インチ半)となった起源について、記載のある資料があれば紹介してください。
回答
(Answer)
当館所蔵資料を調査したところ、世界の主な鉄道の軌間が「1435mm」(4フィート8インチ半)となった起源を解説した資料(1)-(5)が見つかりましたので、ご紹介します。ただし、資料(1)-(5)のいずれの資料においても、「1435mm」という数値の明確な由来は確認できませんでした。
また、古代の轍路の間隔が「1435mm」に近似している旨の記述がある資料(6)及び英文資料(7)(8)が見つかりましたので、併せてご紹介します。(【 】内は当館請求記号です。)

(1)
佐藤建吉 編著 ; 日本技術史教育学会 著. トコトンやさしい鉄道の本. 日刊工業新聞社, 2007.7 【DK51-H20】

pp.16-17に「国際標準ゲージ1435ミリはなぜ決まったか?」の項があり、1435mmの軌間について、「SLを発明した英国のスチーブンソンが、近くのキリングワース炭坑のレールゲージをまねてこの寸法を決めたといいます。」(p.16)とあります。また、この炭坑のレールゲージが決まった理由には轍が関係していると述べており、「欧州・中近東・北アフリカ・西アジア・中央アジアなどローマ文化の及んだ地域を実地調査し、発見された轍間隔をメジャーで測ると、ローマ石畳の道に残されたチャリオット(二輪馬車)の轍は1435ミリに極めて近いことが発見されたのです。」(p.16)とあります。

※以下、資料(2)-(5)の引用文中の「スティーヴンソン」または「スティーブンソン」は、この資料(1)の「SLを発明した英国のスチーブンソン」と同一人物を指します。

(2)
ビル・ローズ 著 ; 山本史郎 訳. 図説世界史を変えた50の鉄道. 原書房, 2014.2 【DK51-L7】

p.37に、「スティーヴンソンがこれ(注:1435mmの軌間)を採用したのは、<チョールドロン> すなわち石炭を運ぶ荷車が昔からそのゲージだったからで、あらたな鉄道が、鉱山の鉄道と相互に乗り入れできることを狙ったのだ。」とあります。また、この石炭を運ぶ荷車のゲージの歴史について、「ギリシアのコリントスの近くにディオルコスと呼ばれる、石でたたまれた軌道がある。そこでは今でも、轍の跡のきざみこまれているのが見える。約1.5メートル幅の線路のような跡である。(一部略)なぜこの幅なのかというと、奴隷を除けば、古来荷を引くのは馬、牛、ラバの仕事ときまっており、レールのあいだは2頭の動物がならべるほどの間隔でなければならないという(一部略)。この説が正しいとするなら、<スティーヴンソン式ゲージ>はラバの尻の横幅によって決まったということになるのである。」(p.37)とあります。

(3)
新鉄道システム研究会 編著. 鉄道なぜなぜおもしろ読本. 山海堂, 2003.10 【DK51-H2】

p.62に、「1825年,世界で初めてイギリスにおいて鉄道が敷設された際,蒸気機関車を考案したジョージ・スティーブンソンが4フィート8 1/2インチ(4 ft8 1/2 in),つまり1435mmの幅をたまたま採用したのが始まりです。この幅は当時,荷物の運搬に使用されることの多かったトロッコの軌間と同じで,その起源をたどれば,古代ローマ時代の2頭だて戦車(チャリオット)の軌間と全く同じともいわれ,歴史的な経験に基づいたものでもあります.」とあります。また、「当初は4フィート8インチでしたが,機関車を製作・走行させたとき,機関車が左右にゆれてレールに当たるので,スムーズに走らせるために若干軌間を広げたほうがよいことがわかったため,1/2(13mm)という半端な数字が加わったという説もあります.」(p.62)とあります。

(4)
鉄道の百科事典編集委員会 編. 鉄道の百科事典. 丸善出版, 2012.1 【D2-J228】

pp.4-5に「(i) 世界最初の鉄道―ストックトン・ダーリントン鉄道」の項があり、「G.スティーヴンソンが働いていたキリングワースの炭鉱鉄道の4 ft 8 in(1422mm)ゲージ」(p.5)が軌間として採用されたとあります。また、pp.5-6の「(ii) リヴァプール・マンチェスター鉄道」の項には、「軌間はストックトン・ダーリントン鉄道が採用した4 ft 8 inをもとに,車輪フランジの摩耗を少なくするために半インチ拡げた4 ft 8 1/2 in(1435mm)を採用した.このゲージが,後に開業した欧州各国や米国に採用され,世界標準軌になった.」(p.5)とあります。

(5)
升田嘉夫 著. 鉄路のデザイン : ゲージの中の鉄道史. 批評社, 1997.11 【DK53-G120】

p.17に、「一八一四年に、スティーヴンソンの開発した機関車がイングランド北東部のキリングワース炭鉱で実用化されるのだが、この炭鉱のゲージが4フィート8インチであった。(一部略)このゲージがそのまま最初の公共鉄道となったストックトン・ダーリントン鉄道にも用いられたのである。」とあります。また、p.19には、「議会は一八四六年八月に軌間法(The Gauge Act)を可決し、イギリス本土では4フィート8.5インチ(1435mm)、アイルランドでは5フィート3インチ(1600mm)を標準軌間とすることを決定し、その他のゲージの敷設を禁止した。」とありますが、キリングワース炭鉱鉄道の軌間である4フィート8インチに対し、いつ0.5センチが付加されたのかについては、「鉄道史の謎のひとつとされている」(p.19)としています。

(6)
小松芳喬 著. 鉄道の生誕とイギリスの経済. 清明会, 1984.10 【DK61-25】

p.36に、「轍路の痕跡は、今日なおギリシア、マルタ島、イタリア、その他ロオマ帝国の旧版図中に発見できる」および「轍路の典型的なものは、約一三四・六- 一四四・八センチの間隔 ―現代の鉄道の標準ゲイヂ一四三・五センチと近似している― をもった二本の轍から成り」とあります。

(7)
The American railroad network, 1861-1890. Harvard University Press, 1956 【385.0973-T241a】

「GAUGE DIFFERENCES」(pp.12-14)にゲージ幅について書かれています。「NOTES TO CHAPTER Ⅱ」(pp.85-87)のNOTE.Ⅱ(p.86)に、4フィート8 1/2インチのゲージ幅の由来について言及した諸説の出典が記載されています。(たとえば、「Journal of the Franklin Institute of the State of Pennsylvania, Third Series, 13:15-16(January 1847),quoting The London Railway Magazine」など。)

(8)
Reason for the original adoption of the usual Gauge for Railways. Journal of the Franklin Institute of the State of Pennsylvania, Third Series. Vol.13 1847 pp.15-16
https://archive.org/details/journalfranklini43fran

ジョージ・スティーヴンソンのゲージ幅の由来について言及があります。 


[調査済み資料及びデータベース]

末尾に*が付いている資料は、国立国会図書館デジタルコレクション( http://dl.ndl.go.jp/ )国立国会図書館内限定公開資料です。
末尾に**が付いている資料は、国立国会図書館デジタルコレクション( http://dl.ndl.go.jp/ )国立国会図書館/図書館送信参加館内公開資料です。

・クリスチャン・ウォルマー 著 ; 北川玲 訳. 鉄道の歴史 : 鉄道誕生から磁気浮上式鉄道まで. 創元社, 2016.4 【DK51-L26】
・フランコ・タネル 著 ; 黒田眞知, 田中敦, 岩田斎肇 訳. 世界の鉄道 : ヴィジュアル歴史図鑑. 河出書房新社, 2014.2 【DK51-L8】
・持永芳文, 宮本昌幸 編著. 鉄道技術140年のあゆみ. コロナ社, 2012.8 【NC31-J15】
・小池滋 監修 ; 篠崎幸雄 著. 小池滋のヨーロッパ鉄道歴史と文化. 1. ヨーロッパ鉄道協会, 2012.7 【DK61-J7】
・小池滋 監修 ; 篠崎幸雄 著. 小池滋のヨーロッパ鉄道歴史と文化. 2. ヨーロッパ鉄道協会, 2012.7 【DK61-J8】
・ジョン・コイリー 著 ; 英国国立鉄道博物館 監修. 世界の鉄道事典. あすなろ書房, 2008.2 【NC34-J8】
・デイヴィッド・ロス 編著 ; 小池滋, 和久田康雄 訳. 世界鉄道百科図鑑 : 蒸気、ディーゼル、電気の機関車・列車のすべて : 1825年から現代. 悠書館, 2007.8 【NC2-H21】
・小池滋 著. 英国鉄道物語. 新版. 晶文社, 2006.7 【DK61-H40】
・新星出版社編集部 編. 徹底図解鉄道のしくみ : カラー版. 新星出版社, 2006.7 【DK51-H12】
・斉藤博貴 著. 技術のしくみからデザインまですべてわかる鉄道. 誠文堂新光社, 2006.4 【NC31-H4】
・西野保行 著. 鉄道線路のはなし. 新訂. 交通研究協会 ; 成山堂書店 (発売), 2006.2 【NA161-H40】
・高畠潔 著. イギリスの鉄道のはなし. 続. 成山堂書店, 2005.12 【DK61-H36】
・高畠潔 著. イギリスの鉄道のはなし : 美しき蒸気機関車の時代. 成山堂書店, 2004.10 【DK61-H30】
・川又正智 編著. 馬車の歴史 : 古代&近代の馬車. 神奈川新聞社 ; かなしん出版 (発売), 2001.1 【DK35-G20】
・リチャード・ボークウィル, ジョン・マーシャル 共著 ; 和久田康雄 監修 ; 堀口容子 訳. 鉄道ギネスブック : 日本語版. イカロス出版, 1998.3 【DK51-G16】
・西野保行 著. 鉄道線路のはなし. 交通研究協会, 1994.7 【NA161-E43】
・ジョン・コイリー 著 ; リリーフ・システムズ 訳. 列車 : 世界の列車の物語 最初の蒸気機関車から現代のスマートな高速列車まで. 同朋舎出版, 1993.6 【NC34-E36】
・本城靖久 著. 馬車の文化史. 講談社, 1993.3 【DK35-E21】
・C.C.ドーマン 著 ; 前田清志 訳. スティーブンソンと蒸気機関車. 玉川大学出版部, 1992.2 【DK61-E5】
・ラスロー・タール 著 ; 野中邦子 訳. 馬車の歴史. 平凡社, 1991.11 【DK35-E16】
・井上勇一 著. 鉄道ゲージが変えた現代史 : 列車は国家権力を乗せて走る. 中央公論社, 1990.11 【DK55-E18】
・菅建彦 著. 英雄時代の鉄道技師たち : 技術の源流をイギリスにたどる. 山海堂, 1987.4 【NA161-109】
・小池滋 著. 欧米汽車物語. 角川書店, 1982.7 【DK61-19】
・K.-E.メーデル 著 ; 篠原正瑛 訳. 鉄道物語. 平凡社, 1971 【DK61-4】
・The world's first railway system : enterprise, competition, and regulation on the railway network in Victorian Britain / Mark Casson. Oxford University Press, 2009 【DK61-B13】
・Liverpool & Manchester Railway, 1830-1980 / Frank Ferneyhough ; foreword by Peter Parker. R. Hale, 1980 【DK61-31】
・Early railways / J.B. Snell. Octopus Books, 1972, c1964 【DK51-A9】

・江崎 昭. 世界の鉄道常識百科 その1 世界の鉄道の軌間. 運転協会誌 / 日本鉄道運転協会 [編]. 41(4) (通号 478) 1999.4 pp.186-189 【Z5-333】**
・青木 栄一. 鉄道ゲージの歴史地理学. 地理. 41(11) 1996.11 pp.30-40 【Z8-372】*
・世界の鉄道軌間. 外国交通調査資料 / 日本国有鉄道 [編]. 15(7) 1961.7 pp.277-284 【Z5-106】**

・NDL-OPAC ( https://ndlopac.ndl.go.jp/
・国立国会図書館サーチ ( http://iss.ndl.go.jp/
・国立国会図書館デジタルコレクション ( http://dl.ndl.go.jp/
・JDreamⅢ [当館契約データベース]
・ジャパンナレッジ Lib [当館契約データベース]
・CiNii Books ( http://ci.nii.ac.jp/books/
・CiNii Articles ( http://ci.nii.ac.jp/
・J-GLOBAL ( http://jglobal.jst.go.jp/

インターネット及びデータベースの最終アクセス日は2016年11月24日です。
回答プロセス
(Answering process)
事前調査事項
(Preliminary research)
以下の旨の記述がありました。

『鉄道の地理学 鉄道の成り立ちがわかる事典』(青木栄一/著 WAVE出版 2008.10) p.44
・「馬車の轍の幅が起源」という項目があり。
・1825年世界で初めて動力に蒸気機関車を導入した公共鉄道のゲージが1422mm
・この起源はローマ時代の馬車にまでさかのぼる
・直接的にはジョージ・スティーブンソンのキリングウォース炭鉱の鉄道が採用していたゲージ幅で、後に摩耗を少なくするために半インチ広げて1435mmとなった

『鉄道と近代化』(原田勝正/著 吉川弘文館 1998) p.16-17
・ローマの道路に車を走らせる際に、浅い溝をつけていた。その内側が4フィート8インチ半
・炭鉱の炭車の軌間が4フィート8インチ半
・その幅がどのように決められたのかはイギリスやヨーロッパの資料をもっと調べなければ結論は出せない

『社会風土と鉄道技術』(斎藤雅男/著 中央書院 1994.2) p.17
・もともとイギリスでは様々な軌間が採用されていた
・イギリス政府が王立委員会を設けて1846年に1435mmに統一することにした

『鉄道ゲージ戦争』(小池滋/著 岩波書店 1995.1) p.64
・(スティーブンが)理路的に考えて4フィート8インチ半を採用したのではない。炭鉱のトロッコの幅がたまたまそうであっただけである。

『鉄道の世界史』(小池滋/編,青木栄一/編,和久田康雄/編 悠書館 2010.5) p.5
・今日の世界の鉄道の標準軌間が4フィート8インチ半になったのも、蒸気機関車が出現するはるか以前馬が車両を鉄路でけん引する時代に遡る。
・たまたま馬がけん引する車両の幅が後の鉄道の軌間になった

『線路まわりの雑学宝箱 鉄道ジャンクワード44』(杉崎行恭/著 交通新聞社 2014.8) p.20
・線路は古代ギリシャ・ローマ時代に道路の石畳にできた馬車の轍が遠い起源とされている
・実際のレールと車輪の起源は15世紀頃の中央ヨーロッパの鉱山の木製トロッコで、それがイギリスに伝わって軌道になった。

『世界鉄道史 血と鉄と金の世界変革』(クリスティアン・ウォルマー/著,安原和見/訳,須川綾子/訳 河出書房新社 2012.2)

「鉄道ゲージの起原はローマ時代のチャリオットの轍」(1~7)(下間頼一,緒方正則ほか著 『年次大会講演論文集 : JSME annual meeting』、『講演論文集』(ともに日本機械学会発行)に掲載の論文)
※遺跡等の調査の結果、ローマ時代の戦車の轍が現在の「軌間」の幅に近いという説が挙げられているが、それがどうして1435mmになったかというはっきりした根拠は示されていない。
NDC
鉄道運輸  (686 9版)
参考資料
(Reference materials)
キーワード
(Keywords)
鉄道
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
内容種別
(Type of subject)
質問者区分
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