レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 大阪府立中央図書館 (2120005) | 管理番号 (Control number) | 6001016219 | |||||||
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事例作成日 (Creation date) | 2016/05/20 | 登録日時 (Registration date) | 2016年10月01日 00時30分 | 更新日時 (Last update) | 2016年10月01日 00時30分 | |||||
質問 (Question) | 病院で検査を受けるときの放射線による影響を知りたい。なるべく情報は新しいものの方がよい。 | |||||||||
回答 (Answer) | 「医療被ばく」というキーワードで調査しました。 ○『解らないことだらけの放射線被ばく:医療被ばくの専門家である診療放射線技師が答える』(日本診療放射線技師会/編 医療科学社 2013.3) 目次の第2が「医療による被ばく―低線量放射線の健康影響」(p36-61)となっています。 全てQ&A形式で、妊婦さんの疑問に答えるものや、「なんか怖い!?放射線」という題で、漠然とした不安に対しても、放射線傷害の発生に関係する「しきい線量」と呼ばれる数値をあげて丁寧に答えられています。 また、放射線検査と放射線治療の違い、子どもへの影響、遺伝的影響、発がんについての記述もあります。 ○『低線量被ばくKEY BOOK:正しい知識で深く理解する!』(中川恵一/編著 メディカルアイ 2012.11) 2部構成になっており、第1部が「解説 低線量被ばくを「正しく」知る」、第2部が「知識を深める―専門家による放射線リスクの解説」となっています。 第1部のp67-68では、日本国民が1年間にうける1人あたりの平均実効線量、いわゆる国民線量の19年ぶりの改定の中で、大きく線量が見直された医療被ばくの数値についての根拠を説明しています。 また、第2部のp158-164では、「CT検査による医療被ばくの現在・過去・未来について」という題で、医療被ばくが注目されるようになったきっかけについて書かれています。2004年、2012年に「Lancet」誌でCT検査による被ばくの影響について発表されたことによる、とありますが、その後は主に、それを受けての被ばく低減技術の歴史について紹介されています。 また、件名「放射線医学」で検索すると、次の資料が見つかりました。 ○『イラストでみる「放射線って大丈夫?」:患者さん・妊婦さんの疑問にどう答えるか』(日本放射線公衆安全学会/編 文光堂 2011.1) お医者さんに質問するのをためらう患者さんが、自分で読んで少しでも疑問を解決できるようにという趣旨で書かれた本です。 第1章(p2-20)が「知っておきたい放射線のQ&A」となっており、「放射線ってどのようなもの?」というところから、「行為の正当化と放射線防護の最適化とは?」として、検査を受けるにあたり被ばくの影響をどう考えたらよいのか、という疑問に対して、医師・歯科医師は、被ばくによるリスクよりも検査による便益が上回ると判断した場合に放射線検査を選択している、と説明されています。こちらも、放射線検査と放射線治療の違い、発がんについて答えられており、第2章「よくあるお母さんからの放射線相談」(p22-52)では、子どもへの影響についての記述があります。 また、データベース「医中誌web」で、「医療被ばく 患者」のキーワードで検索した結果、 比較的分かりやすく書かれたものとして、次の2つの論文が見つかりました。 ○星野智祥「CTを中心とする医療放射線被ばくの発がんリスクについて」『日本プライマリ・ケア連合学会誌』38(4) (日本プライマリ・ケア連合学会 2015.05)p369-382 https://www.jstage.jst.go.jp/article/generalist/38/4/38_369/_article/-char/ja/ (2016/8/2現在) 「医療被ばくを考える上での放射線の基礎知識」についての記述があります。医療被ばくの特徴について書かれており、医療被ばくには線量限度が適用されていないが、その理由は医療被ばくは患者の直接の利益につながっており、線量限度を設定することでその利益を損なうという前提に立っているためで、法律でも医療被ばくに対する被ばく線量を規制していないとあります。 したがって、医療被ばくにおいて、個人および社会にとって利益がリスクを上回るという正当性と、その効果を勘案しながら被ばく線量を適正化していく最適化の判断やプロセスが医療者に委ねられているとも言えるとあります。 その上で、「CTを中心とする医療被ばくによる発がんリスク」について書かれており、その発がんリスクについては、原爆調査など従来の低線量被ばくの疫学調査の結果をCTによる被ばく線量に外挿してそのリスクを間接的に推定したもの、2つ目はCTなどの医療被ばく線量と実際の発がん死亡や罹患率との関係を追跡調査し、そのリスクを直接評価したものであると紹介され、それぞれの報告の主要な結果を箇条書きでまとめています。 ○安部一成ほか「放射線の基礎知識」(高松赤十字病院 2015.05)赤十字リポジトリ https://redcross.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=7495&item_no=1&page_id=13&block_id=17 (2016/8/2 現在) 医療被ばくに関心が高まりつつある中、医療従事者が、患者に説明する上で知っておくべき内容について書かれています。 1放射線について2放射線の影響について3医療被ばくについて4放射線の生体への影響 となっています。 患者に説明できるように、との趣旨で書かれているので、患者さんが読んでも分かりやすい資料となっています。 単純X線撮影においては被ばく線量として問題になるような数値には程遠く、妊娠中の女性を除いてあまり神経質になる必要はないが、CT検査はX線検査と比べて被ばく線量に100倍以上の差があり、心臓CTやダイナミックCTなどの特殊な検査では、飛躍的に被ばく線量が増加するとあります。 ただ、医療被ばくを含む医療や医薬品が発がんの原因となると考えられるのはわずか1%であって、最も発がんの原因とされているのは生活習慣に関わる項目であり、放射線による害は他の因子と同じと考えてよいと書かれています。 [事例作成日:2016年5月20日] | |||||||||
回答プロセス (Answering process) | ||||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | ||||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) |
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キーワード (Keywords) | ||||||||||
照会先 (Institution or person inquired for advice) | ||||||||||
寄与者 (Contributor) | ||||||||||
備考 (Notes) | ||||||||||
調査種別 (Type of search) | 書誌事項調査 | 内容種別 (Type of subject) | 質問者区分 (Category of questioner) | 個人 | ||||||
登録番号 (Registration number) | 1000197589 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 未解決 |