レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016/4/28
- 登録日時
- 2016/07/30 00:30
- 更新日時
- 2024/03/29 00:32
- 提供館
- 金沢市図書館 (2310230)
- 管理番号
- 玉川-000386
- 質問
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解決
【森田柿園の著書について】 森田柿園の著書、『加賀志徴』・『能登志徴』などの「志徴」とはどういう意味か知りたい。
- 回答
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『広辞苑』等の辞書に「志徴」という熟語なし。
よって、「志」と「徴」に分けて、それぞれの意味を確認した。
『広辞苑 第6版』p.1184「志 ①(「誌」に通用)書き記すこと。記録。(中略)②紀伝体の歴史書中、本紀・列伝とは別に、天文・地理・財政・礼楽・刑法などの事項を記述した部分。」 『加賀志徴』・『能登志徴』の内容から、ここでは地誌の意で用いられていると考えられる。
『大漢和辞典 巻四』(118361515)p.918「徴 ①めす。②もとめる。③とりたてる。④とひただす。⑤しるし。証に通ず。⑥あかしをたてる。⑦あらはれる。⑧あらはす。明かにする。(後略)」
『加賀志徴』・『能登志徴』・『越中志徴』の解説に書名の由来は記されていない。『加賀志徴』の特徴として、「江沼・能美・石川・河北四郡の地誌の大集成」、「其の地に係ることであつて、世に伝への地に垂るべきと思ふ史実は悉く類聚羅致」、「この史実を徴拠するために正史・野史・地誌・紀行・随筆・神祇書・仏典・詩歌・俳諧集・辞書・諸記録・古文書等凡そ二百余種の書が引用され、その引用文には典拠を明にし且つ史実の正確を証する意に於て、一々に原書の巻数または事蹟の年次を挙げてある」ことなどが記されている。
『森田文庫目録』によると、他に「徴」のつく書名として、「続汲古北徴録」・「温故足徴」・「北徴遺文」があるが、書名の意味は記されていない。「北徴遺文」については、『石川県史資料 近世篇7 北徴遺文 3』p.172-176に解説が掲載されている。「北徴」の意味には触れられていないが、現文書をできるだけ忠実に書写したことが記されている。
『加能郷土辞彙』(初版)によると、他に「徴」のつく書名として、「温故足徴」・「賀藩卿大夫考徴」・「汲古北徴録」・「古蹟文徴」・「続汲古北徴録」・「中院通世卿加州御領所等徴考」・「北徴遺文」がある。「徴」の意味には触れられていないが、史料を収集し忠実に書写したものに使われることが多い。
日本古典籍総合目録で「徴」のつく書名を検索すると、「古史徴」、「史徴」、「新編私考歴史徴」、「西周史徴」、「中越史徴」、「北夷史徴」などが見つかった。このうち、「古史徴」については、『国史大辞典 5』(11063657)p.766「古史徴」に「著者がその著『古史成文』の基づくところについて、一々その根拠を示すために著わした書」、『古史徴開題記』(129664333)解題p.7に「古史の成文を如何にして編成したかといふことについて、一々徴証をあげて示したのが、古史徴である」、同p.25「古史徴序」に「継々に文成し給へる古史、また其を徴(あか)せるこれの徴(あかし)ぶみ」とあり、ここで「徴」は史実を明らかにする証拠の意で用いられている。
以上から、「志徴」の「志」は地誌、「徴」はその典拠史料を指すと考えられる。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000195439