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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

提供館
(Library)
豊中市立図書館 (2310050)管理番号
(Control number)
6000025842
事例作成日
(Creation date)
2015/12/25登録日時
(Registration date)
2016年02月10日 00時30分更新日時
(Last update)
2016年02月23日 13時55分
質問
(Question)
ギンナンを食べ過ぎると中毒を起こすときいたが、どのくらい食べると中毒になるのか。また、調理によってその毒性を取り除くことができるのか。
回答
(Answer)
下記の資料・論文を提供した。
回答プロセス
(Answering process)
1、498.5の食品図鑑や596の食品事典などを確認してみたところ、ギンナンで中毒が起こることは記載されているが、「4-MPN」に該当するような記載はなし。

2、J-STAGE( https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja/ )で、「ギンナン 中毒」を検索したところ、下記の論文2件にギンナン中毒について詳しい記載と中毒量の記載があった。
■『「生きた化石」イチョウに含まれる特有成分とその生理活性』
(和田啓爾、佐々木啓子/2002)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/40/5/40_5_300/_article/-char/ja/
4-O-メチルピリドキシン(MPN)によって、ギンナン中毒を発症するメカニズムについて詳解あり。また、中毒症の発症について、摂食者の栄養状況、成児や発達段階による影響に関する記載あり。中毒量の例の記載あり。
「中毒患者の約87%が10歳未満であり、中でも3歳以下が全体の約60%に達し、小児に感受性が高く、兄弟で中毒になった場合も年齢が低いほど症状が重いことが特徴として挙げられる。強直性痙攣 (長時間持続する激しい痙攣) と間代性痙攣 (筋の収縮弛緩が交互に反復して起こる痙攣) が症状として表われ、ギンナン摂取後およそ4~5時間後に発症する場合が多い。重症の場合は意識が混濁し、呼吸困難などで死に至る場合もあり、致死率は約25%である。最近5年間では11件の報告があり、確認できている患者の年齢では3歳未満が8名であった。中毒量は20~30個を炒って食べた例が多いが、10個未満という報告もある」(P.301)「食中毒の原因物質がアンチビタミンB6であり、症状がビタミンB6欠乏症であるため、食糧事情が劣悪であった戦後10年間に栄養不良も手伝って中毒が多発し、重症患者が多かったと推測することができる」(P.302)とある。

■『健常成人に発症した銀杏中毒の1例』
宮崎 大、久保田 哲史、林下 浩士、鍜冶 有登、小林 大祐、吉村 昭毅、和田 啓爾 
日本救急医学会雑誌 Vol. 21 (2010) No. 12 P 956-960
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjaam/21/12/21_12_956/_article/-char/ja/

中毒症の発症に関して、摂食者の栄養状況、成児や発達段階による影響について記載あり。中毒量の目安の記載あり。「銀杏中毒は栄養状態の不良な前後に頻発していたが,最近では減少している。原因物質としてMPNが証明されており,中枢神経でVit B6 と拮抗して作用し,痙攣を起こすことが推測されている。古来から銀杏の中毒性は知られており,日本でも“年の数以上は食べてはいけない”との言い伝えがある。銀杏中毒は文献的には工藤による1881年の小児死亡例の報告が最初である。第2 次世界大戦前後の時期に中毒報告例が増加し,死亡例も確認されたが,1960 年代以降減少に転じており,1970 年代以降は死亡例の報告もみられない。銀杏中毒はVitB6 欠乏と関連があり,食糧事情の改善とそれに伴う栄養状態の改善が減少の原因と考えられている。経口摂取不良,偏食,アルコール多飲等慢性的なVit B6 欠乏が推察される状態,Vit B6 の一部は腸内細菌で合成されるため抗菌薬等で腸内細菌叢のバランスが崩れている状態では発症のリスクがあると考えられる。全患者の80%以上が小児で,60%が3歳未満であり,成人の発症例は少ない。小児では7 個以上,成人では40 個以上の摂取で発症するとされている」(P.958)


3、インターネットで「ギンナン MPN 中毒」を検索すると、公益財団法人 日本中毒情報センターの中毒情報データベースの下記の記事がヒット。
■『公益財団法人 日本中毒情報センター 保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報【ギンナン】Ver1.00』 http://www.j-poison-ic.or.jp/ippan/M70067_0100_2.pdf
 4’-MPNによってギンナン中毒を発症する場合の、経口中毒量、調理による毒性の変化がないことについて記載あり。経口中毒量の出典として『中薬大辞典 3』(1985)、調理による毒性の変化の出典として『中毒百科』(1991)が示されている。(ともに市内所蔵あり)

4、『中毒百科 事例・病態・治療』内藤 裕史著/南江堂/1991/493.1
 「ギンナン」の項目に、調理による毒性の消失について記載あり。
 「4’-MPNは熱に安定で、煮ても焼いても消失しない」とある。

5、『中薬大辞典 3』上海科学技術出版社編/小学館/1985/499.8
「イチョウ科の植物、銀杏(ギンヨウ、[和名]イチョウ)の種子(P.2046)」として、 「ハクカ」(白果)が立項されている。この項目の、[臨床報告]の第二例とし、「中毒に関する問題」と題した中毒者の服用量が報告されている。
「白果の中毒について古代から記載されており、近年もしばしば報告されている。秋になって白果が熟する季節に多く発生し、炒ったり煮たりして大量に食すことによる。10歳以下の小児に多く、成人にもたまにみられる。中毒者の服食量は、小児で7~150粒、成人は40~300粒とさまざまである」(P.2047)


6.『毒 青酸カリからギンナンまで』船山 信次著/PHP研究所/2012/491.5
 「ギンナン(銀杏)の毒性」(P.117)の項目で、中毒メカニズムの詳解あり。経口中毒量に関しては言い伝えの記述のみあり。
「昔から『ギンナンは年齢の数以上食べてはいけない』という言い伝えがあった」(P.119)
事前調査事項
(Preliminary research)
中毒物質の名前は「4-MPN」というような名前だと聞いた。
NDC
内科学  (493 9版)
基礎医学  (491 9版)
参考資料
(Reference materials)
『中毒百科』 内藤 裕史/著 南江堂
『毒』 船山 信次/著 PHP研究所
『中薬大辞典 第3巻』 上海科学技術出版社/編 小学館
キーワード
(Keywords)
ギンナン(ギンナン)
毒(ドク)
中毒(チュウドク)
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
文献紹介
内容種別
(Type of subject)
質問者区分
(Category of questioner)
一般
登録番号
(Registration number)
1000187992解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決
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