レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/10/17
- 登録日時
- 2015/12/17 00:30
- 更新日時
- 2015/12/17 00:30
- 管理番号
- K151006190839
- 質問
-
未解決
明治13年設立の横須賀海軍病院に脳神経病科が設置された年月日を調べています。
下記の資料より、脳神経病科が設置されていたことは確認できましたが、設置年月日の記述はありませんでした。
『新横須賀市史別編 軍事』p224
『海軍医務・衛生史第3巻』p111
また、以下の資料にも記述がありませんでした。
『日本陸海軍事典』
『海軍第12巻』(誠文図書)
『日本海軍史第5巻』(海軍歴史保存会)
『日本海軍史第11巻』(海軍歴史保存会)
参考までに、『海軍制度沿革第3巻』を見ると、明治30年制定の「海軍病院規則」に脳神経病科の記述があるのは昭和3年9月1日(達127)からでした。
- 回答
-
当館の調査では、横須賀海軍病院に脳神経病科が設置された年月日を確認することはできませんでした。以下、調査の内容と、調査中に得られた参考情報についてお伝えします。
【 】内は当館請求記号です。インターネット情報の最終アクセス日は2015年10月14日です。
資料1(104-106コマ)に掲載されている海軍病院令(大正10年6月6日、勅令第264号)では「第四條 海軍病院ニ第一部、第二部、薬剤部及消毒部ヲ置ク~」とされ、附則の海軍病院規則(大正10年6月7日、達113号)には、「第十六條 第二部ニ於テハ左ノ事項ヲ掌ル 一、内科(傳染病、精神病ヲ含ム)患者の診療及之ニ關スル事務」と記載されています。
資料1(107-123コマ)には、横須賀海軍病院内規(大正十一年改定)および横須賀海軍病院内規附録が掲載されていますが、脳神経病科に関係する記載はありませんでした。
資料2(236-238コマ)の海軍病院規則(昭和3年9月1日、達127)には「第五條 第二部ニ内科、傳染病科、呼吸器病科、脳神経病科及病的検査科ヲ置キ~」と記載されています。
資料3の第2巻(p.152)の年表には「昭和六年 四月一日、海軍病院、診療各科を初めて区分独立。各科科長を置き、指揮権と診療上の責任を課する」と記載されています。
以上より、海軍病院における脳神経病科は、大正10年6月時点では設置されておらず、昭和3年9月時点では設置されており、さらに昭和6年4月には科長が置かれて指揮権が独立したようです。
また、職員録の所属部署や役職名から設置年月日を絞ることができるのではないかと、大正10年~昭和10年の期間における『現役海軍士官名簿』(資料4)の軍医薬剤科士官の頁を確認しました。しかし、役職が部長より下の場合は、「横須賀病院部員」や「横須賀病院附」と表記されており、所属科についての記載はありませんでした。
資料5には、昭和30年10月~昭和35年12月にわたって『東京医事新誌』に連載された「海軍奉仕五十年回顧録」(高杉新一郎)1~33回、および「海軍奉仕五十年回顧録続編」(有馬玄)1~27回、が収録されています。見出しに「横須賀海軍病院」が含まれる箇所を確認しましたが、脳神経病科にかかわる記述をみつけることはできませんでした。
資料6では、大正14年~昭和3年頃について書かれた「四、激動の昭和初期」の章の「20、混乱と不安の時代」および「21、恐怖と騒乱の中で」を通覧しましたが、脳神経病科についての記述はありませんでした。
なお、全資料の全文を精読することは調査研究の代行となり、当館のレファレンスの範囲を越えますので、必要と思われる場合には利用者自身でのご確認をお願いいたします。
<調査資料>
・資料1
海軍衛生制度史 第1巻. 海軍軍医会編. 海軍軍医会, 1926.【61-357】(国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開))http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/935741
・資料2
海軍制度沿革 巻3. 海軍大臣官房, 1939.【AZ-664-H23】(国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開))http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1886719
・資料3
海軍医務・衛生史 1-4巻. 小池猪一 編著. 柳原書店, 1985.12-1986.2. 【AZ-664-131】
・資料4
・現役海軍士官名簿. 大正10年2月1日調. 海軍省, 1921.【Y994-J16328】
・現役海軍士官名簿. 大正11年調. 海軍省, 1922.【Y994-J16273】
・現役海軍士官名簿. 大正12年1月1日調. 海軍省, 1923.【Y994-J16379】
・現役海軍士官名簿. 大正13年2月1日調. 海軍省, 1924.【Y994-J16326】
・現役海軍士官名簿. 大正14年2月1日調. 海軍省, 1925.【Y994-J16378】
・現役海軍士官名簿. 大正15年2月1日調. 海軍省, 1926.【AZ-664-45】国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開))http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1905450
・現役海軍士官名簿. 昭和2年2月1日調. 海軍省, 1927.【AZ-664-45】国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開))http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1905451
・現役海軍士官名簿. 昭和3年2月1日調. 海軍省, 1928.【AZ-664-45】国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開))http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1905449
・現役海軍士官名簿. 昭和4年2月1日調. 海軍省, 1929.【AZ-664-45】国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開))http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1905452
・現役海軍士官名簿. 昭和5年2月1日調. 海軍省, 1930.【AZ-664-45】国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開))http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1905453
・現役海軍士官名簿. 昭和6年2月1日調. 海軍省, 1931.【AZ-664-45】国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開))http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1905462
・現役海軍士官名簿. 昭和7年2月1日調. 海軍省, 1932.【AZ-664-45】国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開))http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1905456
・現役海軍士官名簿. 昭和8年2月1日調. 海軍省, 1933.【AZ-664-45】国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開))http://dl.ndl,.go.jp/info:ndljp/pid/1905459
・現役海軍士官名簿. 昭和9年2月1日調. 海軍省1934.【AZ-664-45】国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開))http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1905468
・現役海軍士官名簿. 昭和10年2月1日調. 海軍省, 1935.【AZ-664-45】国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開))http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1905470
・資料5
海軍奉仕五十年回顧録. 高杉新一郎, 有馬玄編著. 有馬玄, 1976. 【AZ-664-57】
・資料6
海軍軍医官、海軍薬剤官、海軍歯科医官、海軍衛生科の記録. 1. 渡辺博史著. 渡辺博史, 1994.【AZ-664-E80】
<その他の調査済資料>
・海軍諸例則. 巻3-3. 海軍大臣官房. 原書房, 1987. 【CZ-664-2】
・海軍軍医学校追想録. 桜医会編. 桜医会出版部, 1989.【AZ-655-E19】
・呉海軍病院史. 呉海軍病院史編集委員会編. 呉海軍病院史編集委員会, 2006.【EG231-H589】
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000185751