レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 埼玉県立久喜図書館 (2110009) | 管理番号 (Control number) | 埼久-2015-004 | ||||||
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事例作成日 (Creation date) | 2014/11/9 | 登録日時 (Registration date) | 2015年04月08日 14時40分 | 更新日時 (Last update) | 2015年06月30日 14時26分 | ||||
質問 (Question) | 栃木県小山市の神鳥谷(シトトノヤまたはヒトトノヤ)の地名の由来が知りたい。 | ||||||||
回答 (Answer) | 神鳥谷の由来について、いくつかの説が見られた。由来について記述のある以下の資料を紹介した。 武井佐久三著「地名の由来「神鳥谷(しととのや)」考」(「小山市史研究4」p78 小山市教育委員会市史編さん室 1982 県内公共図蔵) 「しとど(古くはシトト)巫鳥・鵐と書いて、小鳥の名。ホオジロ・アオジの類で、みこどりともいう。(略)巫鳥の巫女は、神に奉仕する人だから、神を当てて神鳥と表記し、神鳥谷をシトトノヤと読むようになったのだろう。ミヤマシトド・キガシラシトドは、ともに北アメリカの鳥できわめてまれな迷鳥で、わが国で捕らえられた記録は前者が二回後者が一回だけ。したがって、神鳥谷地区にシトドがたくさんいたのが地名の語源とは考えられない。また、仮にホオジロ・アオジの類をシトドと称したとしても、これらの繁殖地は北海道で、本州では旅鳥・漂鳥なのだから、やはり可能性が少ない」とあり。 『大日本地名辞書 6 坂東』(吉田東伍著 富山房 1990) p942「神鳥谷」の項に「神鳥にシトトの訓あるいは、和名抄、巫鳥を之止止と註し、天武紀、并びに漢語抄に出づ。而も古語拾遺に、巫占者の名に、之止々鳥てふがあるを思ふに、シトトを神鳥と為すは、神占の故事に因れる者とす」とあり。 『とちぎの地名を探る』(塙静夫著 随想舎 1996) p106-107「小山市域に「神鳥谷」という大字名がある。これはシトトノヤ(ヒトトノヤともいう)と呼ぶ難読地名の一つである。この地名が文書に見える最初は、天文5年(1536)11月で、「しととのや」と記録されいる。だから後世になってヒトトノヤとも呼んで混用しているのは誤りである。神鳥谷は「シトト・ノ(助詞)・ヤ」という地名である。シトトは副詞シトドと同じで、甚だしく濡れる様をいい、一般に「びっしょり」とか「ぐっしょり」などという。また、シトトはシトシト・ジトジトの略とも解される。この場合もひどく湿っているとか、濡れている様子を表わす語であるから、湿地を意味するシト・シド系地名の範疇に含まれよう。ヤはヤチ・ヤツ(谷)の下略であるので、シトトとヤは同意語を重複させたものである。なお、神鳥谷地内には湿地・窪地などに関わる一の久保・亀久保・谷(や)中・新宿・溜下(ためした)・横谷などの小字が散在している。」 『谷川健一全集 16(地名3) 列島縦断地名逍遥』(谷川健一著 冨山房インターナショナル 2012) p430「一青と黒氏 巫鳥(しとと)の呼称」の項の中に「広島県比婆郡(現庄原市)西城町小鳥原(ひととばら)は、江戸時代には小鳥原(しととばら)村であった。『芸藩通誌』には「あるひは神鳥の字を用ふ。鵐(しとと)とよむなり」とある。栃木県小山市に神鳥谷(ひととのや)がある。これも以前は神鳥谷(しととのや)といっていた。」という記述あり。 《国会図デジタルコレクション》「小山郷土之由来 : 附・吾家のしるべ」(神藤昌三編 神藤本家 1927) ( http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1120773 国会図 2014/10/31最終確認 図書館送信限定) p23「鷲明神及神鳥谷の起源」の項あり。神鳥谷のフリガナなし。 「天慶二年平将門の乱を起こすや藤原秀郷之れを征討するに先ち諸神に戦捷を祈願せしに武蔵鷲明神感應ありたれば戦勝の後其分霊を太田庄に鎮座し奉りけるを後世小山政光の弟下河邊行蓮の子僧の光仏太田の庄より之れを此地に勧請し給ひしが一族及衆生の崇仰厚く鷲を神鳥と称し遂に此地を神鳥谷と呼ぶに至れり」とあり。 | ||||||||
回答プロセス (Answering process) | 1 自館所蔵資料を調査 「神鳥谷」について記載があるが由来について書かれていない資料 『栃木県大百科事典』(栃木県大百科事典刊行会 1980) 『日本歴史地名大系 9 栃木県の地名』(平凡社 1988) 『角川日本地名大辞典 9 栃木県』(角川書店 1984) 「神鳥谷」について記載の無い資料 『日本地名語源事典』(吉田茂樹著 新人物往来社 1981) 『地名用語語源辞典』(楠原佑介、溝手理太郎編 東京堂出版 1983) 『日本地名ルーツ辞典 歴史と文化を探る』(創拓社 1992) 『日本歴史地名事典』(吉田茂樹著 新人物往来社 1993) 2 《国会図サーチ》を〈神鳥谷〉で検索 「小山郷土之由来 : 附・吾家のしるべ」を確認した。 3 《Google》を〈小山市史 & 神鳥谷〉で検索 《神鳥谷曲輪、曲輪(栃木の城+α)「小山氏の館」》(個人サイト 2014/11/01最終確認) 神鳥谷の地名について「小山市史研究 第4号」に記述があるとあり。 | ||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | |||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) |
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キーワード (Keywords) |
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照会先 (Institution or person inquired for advice) | |||||||||
寄与者 (Contributor) | |||||||||
備考 (Notes) | |||||||||
調査種別 (Type of search) | 事実調査 | 内容種別 (Type of subject) | 地名 | 質問者区分 (Category of questioner) | 個人 | ||||
登録番号 (Registration number) | 1000170539 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 解決 |