レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013年09月16日
- 登録日時
- 2013/09/16 13:30
- 更新日時
- 2013/09/16 15:07
- 管理番号
- 20130916-5
- 質問
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解決
「瓢箪から駒」のことわざの成り立ちを知りたい。また伊達政宗が瓢箪から馬を取り出したという逸話を聞いたことあるが、それはどのような内容でどこに書かれているものか?
- 回答
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【ひょうたんから駒(こま)が出(で)る】 === 資料1.日本国語大辞典 巻11,p.543.
1.意外な所から意外の物が出ることのたとえ。冗談半分のことが事実となってしまう場合などにいう。
*俳諧・毛吹草(1638)五 「へうたんの駒も出べき春野哉〈良伝〉」
*ブラリひょうたん(1950)〈高田保〉火の用心 「ところがひょうたんから駒が出て、どえらい迷惑になってしまった」
2.(否定の打ち消しを伴って)道理上、絶対に起こり得ないことのたとえ。
*仮名草子・尤双紙(1632)下・一四 「くすみたる物のしなじな〈略〉ひょうたんから駒(コマ)はいでねども、身をまんじてくすむ人もあり」
*評判記・吉原人たばね(1680)舟はし 「ひゃうたんから、こまのとびでぬ世の中に」
*譬喩尽(1786)一 「瓢箪から駒も出まひし」
・資料2にも意味の解説と用例はあっても成立の過程や出典の記述はなし。資料3にも意味と用例のみ。
・資料4には上記2冊の解説に付け足して、【補説】として以下の項目が記されていた。p.1179.
「ことわざの成立には、中国の仙人張果老の伝説が影響している。張果老は白い驢馬に乗って各地を廻り歩き、休むときは驢馬を瓢箪の中に収めていたという。日本でも室町時代からこの仙人を画題とする絵が描かれるうちに、瓢箪から駒が出る構図がよく知られるようになった。さらにその背景には、東アジアに古くからみられる瓢箪の中に別世界があるとする考え方があり、孫悟空や「宇治拾遺物語」の雀の恩返し(瓢箪から米が出てくる)の説話とも連なっている。なお、ひょんなことから思いがけない結果になることはそう起きないから、「瓢箪から駒も出でず」と否定形のことわざもある。」
・資料5にも意味と解説、それと葛飾北斎の『略画早指南』前編〈1812〉の用例をあげているが、由来はなし。
・資料6には項目も見当たらない。
・資料7に伊達政宗の言行録として【香合わせの景物】という項目が見つかり、大阪冬の陣の際の次のエピソードが紹介されていた。p.314-315.
「この役で和睦が成立し、諸大名はみな閑暇(ひま)になった。それで陣中では、急にもちあがった話として、どこでも景品をだしての香合(こうあ)わせが行われた。ちょうど政宗がそこに行き会わせたのを幸いに、「香を嗅(か)いでご覧なされ」といわれて勝負した。誰もが鞍の泥障(あおり)とか弓矢などを景品にだしたが、政宗は腰につけていた瓢箪(ひょうたん)をだした。みなおかしな景品だとして、それを取る者はなかった。亭主の家来が、これを取ったので、事なく終わった。ところが、政宗が帰るときに、乗ってきた馬を飾りをつけたまま「ほら、諺(ことわざ)通り瓢箪から駒がでたぞよ」といって瓢箪を取った者に与えられた。はじめは、奥州の大将の景品ともあろう品がといって笑っていた者も、このときになってうらやましがったという。」
- 回答プロセス
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◆ 自館OPACによる検索と、参考図書の言語の棚から成語辞典を使って探索する。
◆ Googeなどの検索エンジンを使って、“瓢箪から駒”と“伊達政宗”で検索すると、該当のエピソードを紹介したウェブサイトが幾つか見つかる。
・戦国浪漫・面白エピソード/名言集 Website : 【伊達政宗編】として、名将言行録からの逸話を紹介している。
(http://www.m-network.com/sengoku/sen-epmd.html last_access:2013-09-16)
- 事前調査事項
- NDC
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- 語源.意味[語義] (812 9版)
- 日本 (281 9版)
- 参考資料
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【資料1】.日本国語大辞典第二版編集委員会, 小学館国語辞典編集部 編. 日本国語大辞典 第11巻 第2版. 小学館, 2001.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003048207-00 , ISBN 4095210117 -
【資料2】.尚学図書 編. 故事ことわざの辞典. 小学館, 1986.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001777136-00 , ISBN 4095011211 -
【資料3】.尚学図書/編. 故事・俗信・ことわざ大辞典. 小学館, 1983.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I008062978-00 , ISBN 4095011017 -
【資料4】.佐竹秀雄, 武田勝昭, 伊藤高雄 編 , 北村孝一 監修. 故事俗信ことわざ大辞典 第2版. 小学館, 2012.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I023386278-00 , ISBN 9784095011028 -
【資料5】.主婦と生活社 編. 成語大辞苑 : 故事ことわざ名言名句. 主婦と生活社, 1995.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002447724-00 , ISBN 4391117568 -
【資料6】.遠藤哲夫 著. 出典のわかる故事成語・成句辞典. 明治書院, 2005.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007840279-00 , ISBN 4625603048 -
【資料7】.岡谷繁実 原著 , 北小路健, 中澤惠子 訳. 名将言行録 : 現代語訳. 講談社, 2013. (講談社学術文庫 ; 2177)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024474599-00 , ISBN 9784062921770
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【資料1】.日本国語大辞典第二版編集委員会, 小学館国語辞典編集部 編. 日本国語大辞典 第11巻 第2版. 小学館, 2001.
- キーワード
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- ことわざ
- 故事成語
- 慣用句
- 張果老
- 名将言行録
- 伊達政宗
- 大阪冬の陣
- 岡谷繁実
- エピソード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 教員
- 登録番号
- 1000137207