『角川日本陶磁大辞典』 矢部良明/編集代表 角川書店 2002.8
p.968「陶質土器」の項目には「土器と陶器の中間的特徴をもつ無釉のやきもの。窯を用いて還元焼成されるが、焼成温度は1100℃前後で、胎土中の長石が溶けるまでの火度で焼成されないため、陶器の範疇に含めないのが一般的である。朝鮮半島の新羅焼や日本の須恵器などがこれに該当し、器表に自然釉が鮮やかに掛るものも多く存在する。今日では炻器(せっき)に分類される須恵器も、かつて明治時代などでは陶質土器と呼ばれたことがあったが、今日の考古学では、朝鮮半島の新羅などで制作され、日本に舶載された炻器質の土器のみを陶質土器と呼ぶのが一般的である。」とあります。
『大和の古墳 2 新近畿日本叢書』 奈良県立橿原考古学研究所/監修 近畿日本鉄道 2006.1
「陶質土器」竹谷俊夫著の「1.はじめに-陶質土器とは-」(p.94)で
「焼物は素地や焼成方法などによって、土器・陶器・炻器・磁器の四つに分類できるが、「陶質土器」という語は甚だ曖昧である。その字義は陶器質の焼物と解され、陶器と炻器の両方を含むと考えてよいであろう。具体的には、須恵器をはじめ、信楽・常滑・備前などの焼物である。(中略)昭和に入って、後藤守一氏は古史に見える陶器が「スエノウツワモノ」と訓まれていることから、「ウツワモノ」を「器」と略し、「須恵器」と命名することを提唱した。過渡期には陶質土器と呼ぶ研究者もいたが、後藤氏の命名以後、須恵器の名称は次第に定着した。須恵器は言わば固有名詞であり、陶質土器は須恵器を含む陶器全体を示す一般名詞と理解できる。」とあります。
竹谷俊夫著「陶質土器」(p.94-102)の構成は、
「1.はじめに-陶質土器とは-、2.古墳出土の陶質土器の事例、3.陶質土器の類例、4.陶質土器を入手できた人物」となっています。
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http://www.library.pref.osaka.jp/cpy_usage.html『日本の美術 407号 陶質土器と須恵器』2000.04 至文堂
では陶質土器の写真が多数収録されています。
こちらは韓国の陶質土器に主眼が置かれています。
日本の須恵器は同シリーズ『日本の美術 170号 須恵器』(1980.7 至文堂)が詳しいです。