レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011年07月15日
- 登録日時
- 2011/09/20 14:11
- 更新日時
- 2011/12/08 18:35
- 管理番号
- 埼熊-2011-076
- 質問
-
解決
「イーハトーブ」はエスペラント語の「理想郷」なのか。
- 回答
-
「イーハトーブ」がエスペラント語で「理想郷」という意味であることは確認できなかった。
「イーハトーヴォ」が宮沢賢治の造語であり、岩手県を理想化したものであるなどの説があり、関係の資料を紹介した。
由来については、イハテとovo(エスペラント語の卵)の合成語ではないかという説や、イハテをロシア語の造語法で地名化したのではないかという説、ihateをエスペラント語の名詞風にihatoとしてからドイツ語の「場所」にあたるwoをつけたという説、ドイツ語の「Ich weis nicht wo」から思いついたとする説あり。
『日本語エスペラント辞典』(宮本正男編 日本エスペラント学会 1983)
p1044「理想」はエスペラントで「ideala」、「理想郷」は「utopia」、「パラダイス」は「paradizo、Edeno」、「楽園」は「paradizo、Elizeo」とある。
『宮沢賢治語彙辞典』(原子朗編著 東京書籍 1989)
p58〈イーハトヴ〉の項、由来には諸説あり、「ドイツ語の「Ich weis nicht wo【イッヒ ヴァイス ニヒット ヴォ】」(英語ではI don't know where.『荘子』にある「無何有の郷」、つまり楽土、理想郷、パラダイス)から賢治は思いついたとする竹下数馬の推定も説得力がある。」とあり。
『世界の作家宮沢賢治 エスペラントとイーハトーブ』(佐藤竜一著 彩流社 2004)
p13、p137、p138-139に以下の記述あり。
「イーハトーブは、エスペラントをもじったことばとされています。つまり、エスペラントにはこのことばは存在しない。岩手の旧かな表記イハテから発想した、賢治の造語なのです。(中略)京都に在住するエスペランチスト・藤本龍生さんのご教示ですが、藤本さんは「イーハトーヴォとはイハテとオーヴォの合成語ではないか」というのです。オーヴォとはエスペラントで卵のことで、ovoと書きます。」
『宮沢賢治 群像日本の作家 12』(三木卓他著 小学館 1990)
p140 イハテケンを理想化したものがイーハトヴとの記述あり。
『宮沢賢治 近代日本詩人選 13』(吉本隆明著 筑摩書房 1989)
p327-331 造語論、地名についての記述あり。
『宮沢賢治論 3 童話研究他』(恩田逸夫著 原子朗編 東京書籍 1981)
p163-164 ドイツ語の「場所」にあたるwo(ヴォ)。岩手県を理想化し童話化して「イーハトヴ」と造語との記述あり。
《宮沢賢治学会イーハトーブセンター》(http://www.kenji.gr.jp/library/index.html 2011/09/20最終確認)
宮沢賢治Q&A(掲示板)に以下の質問あり。
「18 イーハトーヴォ?イーハトーブ?」
「イーハトーヴォの語源を教えてください。「イーハトーヴォ」と「イーハトーブ」、どちらがより賢治の理想の場所にふさわしい表現なのでしょうか?」
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 国際語[人工語] (899 9版)
- 参考資料
-
- 『日本語エスペラント辞典』(宮本正男編 日本エスペラント学会 1983)
- 『宮沢賢治語彙辞典』(原子朗編著 東京書籍 1989)
- 『世界の作家宮沢賢治 エスペラントとイーハトーブ』(佐藤竜一著 彩流社 2004)
- 『宮沢賢治 群像日本の作家 12』(三木卓他著 小学館 1990)
- 『宮沢賢治 近代日本詩人選 13』(吉本隆明著 筑摩書房 1989)
- 『宮沢賢治論 3 童話研究他』(恩田逸夫著 原子朗編 東京書籍 1981)
- キーワード
-
- エスペラント
- 宮沢 賢治(ミヤザワ ケンジ)(1896-1933)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000091155