レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 埼玉県立久喜図書館 (2110009) | 管理番号 (Control number) | 埼浦-2010-044 | |||||||
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事例作成日 (Creation date) | 2010/06/17 | 登録日時 (Registration date) | 2011年01月08日 02時00分 | 更新日時 (Last update) | 2011年01月20日 16時08分 | |||||
質問 (Question) | 日本では蕎麦等をすする際、音を立てても許されるが、日本以外の国または地域にも食べる時に音を立てて許される文化があるか。 | |||||||||
回答 (Answer) | 「食べるときに音を立てることが許される文化」について記述のある所蔵資料は見つからなかった。「音を立てることが許されない」文化について記述のある資料を参考までに紹介する。 『和風たべかた事典』(小野重和著 農山漁村文化協会 1997) p235-239 「音;寛容の日本人、不寛容の欧米人」の章があり、「食べる時口の中で発する音についてわが国が欧米より寛容なことは間違いないようだ。とくに際立っているのは「すする音」である。」という記述あり。 日本人と欧米人の音の感じ方の違いについて、口の中の音、食器の音など実例を挙げながら述べている。欧米以外の国についての記述はなし。 『国際マナー常識事典』(企業OBペンクラブ編著 学習研究社 1994) 「音を立ててはいけない」といった内容はあるが、「音を立ててもよい」といった内容の記述はなし。 「食事マナー」の項 p73 フィリピン「(前略)スープなどと同様、音を立てることはマナーに反する。」 p96 アメリカ(A)(2)「スープやめん類を食べるとき、日本人はすする音を立てやすいが、これは非常にいやがられる。」 p102 南米白人諸国(A)「スープなど音をたてて食べることや、食器にじかに口を付けることは禁物である。」 p102 オセアニア「音をたてながら食べるのは礼を失する」 『国際マナーマニュアル』(小学館編集部編 小学館 1994) p63 「テーブルマナー」の項に「食事中は音を立てない」という小項目があり、「欧米、とくにイギリスとフランスでは、音をたててスープやコーヒーを飲むと、それだけで軽蔑の対象になする。」と記述あり。 『国際マナー入門 グルメ編』(辻下忠雄著 たちばな出版 1995) p204 日本人が洋食を食べる時の問題となるのが「音」で、特にフランス料理ではご法度との記述あり。 『ヨーロッパ社会と国際マナー』(南村隆夫著 勁草書房 1989) p28「舌つづみと啜る音」の項の中に「この人間の持つ動物性を押えつけ消すことが、欧米の礼法つまりマナーの基本ですから、食物を食べるときに口や舌の音をさせるのを、極度にきらうのみならず、絶対のタブーとしているのです。」という記述あり。 p128「実の多いスープを音をたてて(飲んで)は、お行儀が悪いとされています。」 p172「欧米ではスープ、コーヒー、紅茶などを飲むとき、音をたててはいけないことは、今では日本人のほとんどが知っていることだと思います。しかし、わが国には熱い汁気の食物が多く、お茶、おしるこ、そば、うどんなど、必然的に音の出るものが多いですし、食べものは音を立てないとおいしくないと言って、派手に啜る音をたてる人もおります。また、チョン、チョンと舌をならしながらおいしそうに食べることを舌つづみを打つと言います。日本食はスプーンを使わないので、お互いに啜る音や吸う音をあまり気にはしていませんが、欧米社会ではひどく嫌いますし、最低・下品なこととされています。」 『国際人入門 世界に通じる暮らしとマナー』(高橋叡子 田畑書房 1995) p59 「外観の基本 食事のマナー」の項に「舌打ち、舌つづみ、ゲップ、吸いこむときの音や歯をかみ合わせる音など、動物が食べるのを連想させる食べ方をさけるのは世界共通の行儀作法です。」と記述あり。 p62 テーブル・マナーのスタンダードをまとめた項の中に、「④決して音をたてない。」という記述あり。 p170 ホームパーティーで日本料理を出す際の注意に、「また麺類は、お箸の扱いが難しいうえ、すすりこむ音にアレルギーを起こして敬遠なさるご婦人が多いようですのでご注意を。」という記述あり。 『はじめてのテーブルマナー』(松本繁美指導 主婦の友社 2006) p38-39の「食べるときの「音」にご用心!」の項に「クチャクチャとかむ音など、音に対しては厳しい国がほとんどです。」と記述あり。ヨーロッパではスパゲッティを食べるとき、静かに食べる、中国でもラーメンは音を立てて食べないと書かれている。 p80-91「ごはんのルール③海外のマナー」 イタリア 「パスタを食べるときの注意は音を出さずに食べること」 フランス 「フランス人がいちばんいやがるのは音」 イギリス 「イギリス人も音を立てて食べることをたいへんいやがります。」 タイ 「めん類は音を立てて食べてはいけません。」 中国 「めん類はズルズル音を立てはいけない。」 「洋食のマナーの手帳」(小学館 1996) 国別についての記載はないが、マナーとしてスープを飲む際に音を立てないこと、大笑いや大声で話しかけること、ゲップ、しゃっくり等が見苦しいとの記述がある。 『個人空間の誕生』(イーフー・トゥアン著 せりか書房 1993) 項目「飲食とマナー」のみ調査 p56 「この儀式に関する本は(中略)テーブルマナーについての単純な規則も含んでいる。たとえば、「食べながら舌を鳴らしてはいけない(後略)」というようなものである。 p60 「古代ローマ人の食事にはたいてい節度があり、食事の際の音と言えば、奴隷による精神を高揚するような散文の朗唄や音楽家による竪琴の演奏ぐらいしかなかったからである。」 インターネット情報 《spumoni@ウィキ-テーブルマナー》 ( http://www36.atwiki.jp/spumoni/pages/61.html 最終確認2010/06/17) | |||||||||
回答プロセス (Answering process) | 自館目録を〈食事マナー〉〈食事文化〉で検索する。 『日韓食文化の比較研究』は日韓文化のみ扱った資料 『食事作法の思想』(ドメス出版 1990) p119に「食事と音」の項目があるが、日本についての記述のみ。 自館目録を〈国際 & マナー〉で検索する。 『国際マナー常識事典』(学習研究社 1994) 「音を立ててはいけない」といった内容はあるが、「音を立ててもよい」といった内容の記述はなし。 《Google》を〈食事 & マナー & 音 & 世界 & ISBN〉で検索する。 表示された情報から 『はじめてのテーブルマナー』(主婦の友社 2006) p38-39の「食べるときの「音」にご用心!」の項に「クチャクチャとかむ音など、音に対しては厳しい国がほとんどです。」と記述あり。 《CiNii》で論文検索をする 〈食事 & マナー & 音 & 世界〉〈食事 & 音 & 文化〉〈食事 & 音 & 寛容〉で検索するが、該当する内容のものなし。 (その他調査済み資料) 『食と文化の謎』(マーヴィン・ハリス著 岩波書店 1988) 『文化麺類学ことはじめ』(石毛直道著 フーディアム・コミュニケーション 1991) 『家庭の食事空間』(山口昌伴〔ほか〕 ドメス出版 1989) 『つるつる物語 日本麺類誕生記』(伊藤汎著 築地書館 1987) 『日本めん食文化の一三〇〇年』(奥村彪生著 農山漁村文化協会 2009) 『食事の文化』(梅棹忠夫〔ほか〕 朝日新聞社 1980) 『講座食の文化 1 人類の食文化』(味の素食の文化センター 1998) 『講座食の文化 2 日本の食事文化』(味の素食の文化センター 1999) 『講座食の文化 6 食の思想と行動』(味の素食の文化センター 1999) 『「食」の歴史人類学』(山内昶 人文書院 1994) 『世界の食文化 分野別ことがら索引』(農山漁村文化協会 2009) 『文化人類学文献事典』(小松和彦〔ほか〕編 弘文堂 2004) | |||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | ||||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) | ||||||||||
キーワード (Keywords) |
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照会先 (Institution or person inquired for advice) | ||||||||||
寄与者 (Contributor) | ||||||||||
備考 (Notes) | ||||||||||
調査種別 (Type of search) | 事実調査 | 内容種別 (Type of subject) | 質問者区分 (Category of questioner) | 個人 | ||||||
登録番号 (Registration number) | 1000076282 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 未解決 |