美術関係資料、雑誌『早稲田文学』、読売新聞の新聞記事データベース[ヨミダス歴史館]などを調査した結果、当該展覧会について書かれている資料は以下のとおりである。
なお、当該展覧会は、中村義一著『近代日本美術の側面』にあるように、開催年は明治44年ではなく明治45年で、主催者は「早稲田文学」ではなく「早稲田文学社」であることが判明した。ただし開催最終日は7日とする資料(資料3等)もあり、明確にはわからなかった。
資料1:『早稲田文学[第二次]』(第77号 明治45年4月)(都立多摩図書館所蔵:2020年5月7日現在)
巻頭に当該展覧会の社告がある。それによると、主催者は、「早稲田文学社」、開会期限は「自四月一日至四月八日」、会場は「早稲田大学高等予科校舎」、「出品項目」は、「油絵、日本画、水彩画、版画、及び工芸美術種々」、出品依頼者名は朝倉文夫、高村光太郎ら25名の氏名などが掲載されている。
資料2:『早稲田文学[第二次]』(第78号 明治45年5月)(都立多摩図書館所蔵:2020年5月7日現在)
p.104に「早稲田文学社主催装飾美術展覧会に就て」という、当該展覧会の簡単な報告記事があり、評価・展示分野の具体的な配置室名・出品数・出品者名(29名)が掲載されている。
資料3:「第二章 美術展覧会」のp.25に展覧会の簡単な開催記録が載っている。ただし、会期は「四月一日-七日」となっている。また、「第十章 美術に関する言論」のp.208に、「早稲田の展覧会」という記事が『東京日日新聞』に、「装飾美術展覧会」という記事が『やまと新聞』に掲載されていることが書かれている。
資料4:『東京日日新聞』 明治45年3月28日 4面
当館は、当該資料のマイクロフィルムを所蔵している。現物を確認したところ、当該展覧会の開催案内記事が載っている。なお、『やまと新聞』は当館では所蔵していない。国立国会図書館では所蔵している(マイクロフィルム 請求記号:YB-272)。(最終検索日:2020年5月7日)
ほかに、新聞記事データベース[ヨミダス歴史館]を<展覧会×早稲田文学社>というキーワードで検索したところ、以下の2件の記事がヒットした。(最終検索日:2010.1.15)
読売新聞 明治45年3月28日 朝刊 5ページ 「装飾美術展覧会 自四月一日至七日」
読売新聞 明治45年4月5日 朝刊 5ページ 「一風変った企て 早稲田文学社主催美術展覧会」