レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2009年07月05日
- 登録日時
- 2010/02/14 16:02
- 更新日時
- 2013/12/26 12:13
- 管理番号
- 名古屋市北-2009-005
- 質問
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解決
七夕はどうして「たなばた」と読むのか。漢音、呉音、何音なのか。
- 回答
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『語源海』に「<七夕>はタナバタが七月七日の夕であるところからの用字」とあります。なお、字音についてはわかりませんでしたが、常用漢字表の付表の「いわゆる当て字や熟語訓など、主として一字一字の音訓として挙げにくいもの」として「たなばた 七夕」が挙げられています。
- 回答プロセス
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(1)まず『語源海』を調べてみると、「<七夕>はタナバタが七月七日の夕であるところの用字」とありました。
(2)その他の語源辞典を調べてみると、『日本語源大辞典』には3つの語源説、『暮らしことばの語源辞典』には「棚機つ女(たなばたつめ)」の下略とする説が紹介されていました。
(3)『日本国語大辞典』には“「懐風藻」や「万葉集」にも「七夕」の字が見られるが、その読みについては「しちせき」か「たなばた」か判然としない”とありました。
(4)また、『古事類苑』には「七夕ハ古ハ、ナヌカノヨト呼ビシガ、後ニタナバタト云フ、棚機(タナバタ)ツ女ノ省言ニテ、織女ヲ云フナリ」とあり、さらに「古今要覧稿」に「なぬかのよといふべきを、いつの比よりか七夕をたなばたと訓るは、より所なき事也、されど延喜の比までは、七夕をなぬかのよといふ事たしかなり」とあることがわかりました。
(5)字音について書いてあるものは見当たりませんでしたが、『角川大字源』に「常用音訓」とあり、常用漢字表の付表に挙げられていることがわかりました。
[追記]
(6)『生活文化歳事史 第3巻』に「七夕祭・乞巧奠〈きこうでん〉」の詳しい解説があり、その中の「名称考」で表記の主な事例が一覧できます。また、「七夕の訓意」についての考察があり、その中で「“七夕”“たなばた”なる語であるが、この言葉自体は勿論和製語彙とすることに異論はないと思う」とあります。
(7)『NHK気になることば』には、古代日本の民間信仰「たなばた」(「棚機」)(乙女が機織をして織物を水の神に捧げる)と、中国から伝わった「七 夕(しちせき)」と重なって「七夕(たなばた)」と呼ぶようになった旨の記述があります。
- 事前調査事項
- NDC
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- 語源.意味[語義] (812 9版)
- 音声.音韻.文字 (811 9版)
- 参考資料
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- 『暮らしことばの語源辞典』 山口佳紀/編 講談社 1998年 p.409-410
- 『語源海』 杉本つとむ/著 東京書籍 2005年 p.392
- 『日本語源大辞典』 前田富祺/監修 小学館 2005年 p.720-721
- 『日本国語大辞典 第8巻 第2版』 小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2001年 p.1040
- 『古事類苑 [第1]』 神宮司廳/編 吉川弘文館 1976年 p.1215-1216
- 『角川大字源』 尾崎雄二郎/[ほか]編 角川書店 1992年 p.9
- 『常用漢字表 現代仮名遣い 外来語の表記』 大蔵省印刷局/編集 大蔵省印刷局 1992年 p.4,154
- 『生活文化歳事史 第3巻』 半澤敏郎/著 東京書籍 1990年 p.307-318
- 『NHK気になることば』 NHKアナウンス室/編 東京書籍 2008年 p.138-139
- キーワード
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- 七夕
- 字音
- 漢字音
- 熟語訓
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 追記(2010年7月1日)
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000063438