レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2006年08月17日
- 登録日時
- 2006/08/17 11:16
- 更新日時
- 2017/08/26 09:54
- 管理番号
- 国士18001
- 質問
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解決
旧日本陸軍が保有していたという「航空母艦」の概要について知りたい。
- 回答
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旧日本陸軍は世界の陸軍史上唯一、「航空母艦」に相当する艦船を保有していました。ただ海軍の航空母艦と同じ戦術思想のものではなく、上陸作戦に舟艇と航空機を運用するため及び、対潜護衛用でした。前者は航空母艦というより、現代でいう「強襲揚陸艦」(LHA)の性格に近いものです。また陸軍での正式呼称はどちらも「航空母艦」ではなく「特殊船」でした。
計画通り建造、配備されたものは神州丸(しんしゅうまる)、あきつ丸、熊野丸(くまのまる)、山汐丸(やましおまる)の4隻で、神州丸以外は飛行甲板を装備していました。
ただ航空機運用については神州丸が1度、カタパルト(ケ-二飛行機射出装置)による航空機射出試験を行った他、大戦中「あきつ丸」に飛行隊が編成されたことがあるだけで、航空機が実戦で運用された船はありませんでした。
- 回答プロセス
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写真日本の軍艦第4巻「空母Ⅱ」光人社に写真と概要が記されています。同書の他、福井静夫「世界空母物語」(福井静夫著作集3巻)光人社にも”陸軍の航空母艦”という章があり概要がわかります。
また現在旧陸軍の航空母艦に関する体系的な資料は奥本剛の「日本陸軍の航空母艦」のみです。詳細な内容は同書と「世界の艦船」掲載の瀬名堯彦「日本陸軍の航空母艦」によりました。他の参照資料についてはその2点の資料を超える記述はありません。但し奥本剛の「日本陸軍の航空母艦」は著者自刊のため、出版数が僅少で所蔵図書館は皆無でしたが、艦船史の研究者個人の所蔵していたものを参照させてもらい回答しました。
- 事前調査事項
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なし
- NDC
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- 陸軍 (396 9版)
- 参考資料
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- 奥本剛.日本陸軍の航空母艦.(広島県)江田島町,著者自刊,[2002]. (著者自刊。販売されているが出版数は少ない。)
- 渦潮会戦史編集委員会編.陸軍特殊船.東京,渦潮会,1984.
- 松原茂生・遠藤昭.陸軍船舶戦争.(東京都)武蔵村山,戦誌刊行会,1996.
- 写真日本の軍艦第4巻 空母Ⅱ.東京,光人社,1989.
- 瀬名堯彦.日本陸軍の航空母艦 上.世界の艦船.132,1968,p.50-60.
- 瀬名堯彦.日本陸軍の航空母艦 下.世界の艦船.133,1968,p.56-70.
- 秋本實.日本航空母艦史,陸軍の空母.世界の艦船.481,1994,p.178-181.
- 福井静夫.陸軍の航空母艦.世界空母物語(福井静夫著作集3巻).東京,光人社,1993,p.217-231. , ISBN 9784769806097 (2008.9 新装版あり)
- 大内建二.日本陸軍の護衛空母.護衛空母入門.東京,光人社,2005,p.148-177. (2013.5 新装版あり)
- 陸軍舟艇母艦あきつ丸.戦前船舶.14,2000,p.46-69.
- 神州丸.戦前船舶.102,2000,p.132-153.
- 世界初の強襲揚陸船「神洲丸」.日本陸軍戦場の衣食住(歴史群像太平洋戦史シリーズ39).東京,学研,2002,p.189.
- 内山鉄男.旧陸軍用船艇を解剖する(5).舵.18(1),1952,p.16-21,15.
- 奥本剛.日本の特殊空母メカニズム解剖.丸.61(1),2008,p.119-131.
- 奥本剛.日本の特殊空母メカニズム解剖(続).丸.61(2),2008,p.119-131.
- 奥本剛.日本陸軍の航空母艦.東京,大日本絵画,2011,p.128. , ISBN 9784499230520 (2002年著者自刊の同名書本の改訂版)
- 松田孝宏.陸海軍が求めた空母「特TL型」.丸.70(6),2017,p.92-93.
- 小高正稔.日本陸軍のヘリ空母「あきつ丸」.丸.8月別冊,2017,p.174-177. (別冊タイトル:護衛艦「いずも」型&「ひゅうが」型:浮かぶ航空基地)
- キーワード
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- 陸軍
- 航空母艦
- 船舶工兵
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 2011年、陸軍空母に関する図書が出版され、運用や飛行隊に関する未発見、未発表の事実が掲載されている。また雑誌の記事も含め参考として追加記載。
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 軍事
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000030120