レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2005年09月27日
- 登録日時
- 2005/10/05 09:50
- 更新日時
- 2014/03/19 12:35
- 管理番号
- 5698
- 質問
-
解決
エドガー・アラン・ポーの影響を受けたといわれる夏目漱石の作品は何か。(「図書館の神様」という小説にそういう記述があるそうだ)
- 回答
-
・夏目漱石辞典 古川久/編 東京堂出版 1982.11
p.158に「ポー」という項目があり、本間久四郎が訳したポー短編集の序文を書いた
ことが説明されていますが、
漱石がポーに影響を受けた作品については記述がありませんでした。
・ポーと日本 その受容の歴史 宮永孝/著 彩流社 2000.5
p.36-39「作家に与えたポーの影響」
p.426-521「第4部文学者に及ぼしたポーの影響 第1章 ポーの影と余韻」という項
に、ポーに影響を受けた作家として、
森鴎外ほか多数の明治、大正期の作家が紹介されていますが、その中に夏目漱石は
含まれていませんでした。
・闊歩する漱石 丸谷才一/著 講談社 2000.7
「夏目漱石の小説「坊ちゃん」をはじめ、「三四郎」「吾輩は猫である」などの代表
的な作品について語った画期的な「漱石」論。夏目漱石が影響を受けて書かれたであ
ろう作品との、共通する要素などを解説する。」
という内容なので内容を確認しましたが
エドガー・アラン・ポーに関する記述は発見できませんでした。
○後日、近畿大学図書館様より、次の情報を頂いた。
*
『夏目漱石事典』 平岡敏夫, 山形和美, 影山恒男編 勉誠出版 2000
上記文献の「ポー、エドガー・アラン Edgar Allan Poe」の項(p.332-334)に下記の記述がありました。
p.333-334
「小説作品への影響については、『坑夫』に「陥穽と振り子」における暗闇での生死の境界線上の、意識と無意識の間の彷徨が反映され、また『こゝろ』に『ウィリアム・ウィルソン』における罪を犯した者の内面の葛藤の問題、自我の分裂による人格の二重性の問題が取り入れられているとの指摘がある。
【参考文献】水田宗子「漱石とポウ」(『英語青年』第一二二巻一○号、昭52・1)、池田美紀子「漱石とポオ」『比較文学研究』 第三三号、昭53・6」 (小野)」
*
上記の『夏目漱石事典』は当館未所蔵。
また、【参考文献】で紹介されている
・『英語青年』第一二二巻一○号、昭52・1は所蔵している。
・『比較文学研究』第三三号、昭53・6は未所蔵。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
- キーワード
-
- 夏目漱石
- エドガー・アラン・ポー
- 照会先
- 寄与者
- 備考
-
(1)再調査による関連記事
・夏目漱石 比較文学研究 塚本利明/編集 朝日出版社 1978.10
※目次には、ポーについての記事は見当たらなかった。
巻末p.526-597の<研究書誌>に次のものを発見。
・「夏目漱石とアメリカ文学(小玉晃一)」日本英学史研究会研究報告51号(昭和41年6月)p.6-10
「漱石の蔵書によって米文学への関心を指摘、ジェイムズ、ポーらとの交流に触れ、・・・」
とある。ただし、この記事そのものは当館では確認できない。
・世紀末と漱石 尹相仁/著 岩波書店 1994.2
※巻末の人名索引で「ポウ」をみると本文中に10箇所記述がある。漱石の英詩とポウの詩に関する記述などがある。
(2)レファレンス協同データベース事業事務局より
次の関連資料①、②のご連絡をいただいた。
*
①「それから」とポーの「マルジナリア」石井 和夫
http://ci.nii.ac.jp/lognavi?name=nels&lang=jp&type=pdf&id=ART0007410660
香椎潟 48, 1-15, 2002-12-25
②鴎外のオカルト、漱石の科学
長山靖生 著 新潮社 1999
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002828203-00
[目次]
第1章 漱石、科学、進歩(やむをえぬ近代の痛ましい科学
「科学」の発見、「事実」の発見
科学的言説との闘争)
第2章 鴎外、オカルト、秩序(鴎外の影法師
隠蔽のための叡智
欲望の連鎖の先)
第3章 リアルをめぐる闘争(史伝の目指すもの
写生は「リアル」を写し得るか
何がリアルなものを生み出すのか)
※当館所蔵あり。目次、「主要参考文献」等を確認したが、
ポーの影響を受けた漱石の作品に関する記述は見当たらなかった。
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000024041