『官報』は、日本政府の機関紙です。行政機関の休日を除き毎日発行されています。
あらゆる法令は官報を通して公布されます。
1.何が載っている?
法令の条文…新しく制定された法律、政令、条約、省令、告示等
広報…国会事項、人事異動、叙位・叙勲、褒章、皇室事項、官庁報告(国家試験、公聴会、
地価公示等)及び資料(閣議決定事項、国際収支状況等)など
公告…中央省庁・地方自治体・特殊法人・裁判所・会社による公告
※各省庁が発する通知・通達は掲載されていません。
2.中央図書館で所蔵している範囲
明治16(1883)年7月の創刊号から、2-3日前までのものがあります。(一部、欠号あり)
また、データベース「官報情報検索サービス」を契約しており、昭和22年5月3日-当日までの官報が専用端末で閲覧できます。詳しくは「5.データベースで検索・閲覧する」をご覧ください。
なお、直近30日分の官報はインターネットで無料公開されています。
●インターネット版「官報」(
http://kanpou.npb.go.jp/)
3.どこにあるの?
年代によって、配置場所と形態が異なります。
・直近1年分
場所:3階 社会自然系資料室カウンター横
形態:原紙をバインダに綴じた状態
利用:ご自由にご覧ください。
・約2年前~大正8年まで
場所:3階 社会自然系資料室の書庫
形態:原紙を製本したもの(昭和46年まではマイクロフィルムでも所蔵しています)
利用:3階カウンターにお申し込み
・大正7年以前~明治16年まで
場所:2階書庫
形態:マイクロフィルム
利用:2階カウンターにお申し込み
!1年前~2年前の官報は、製本作業を行っていることがあります。製本作業には1カ月程度かかり、この期間はご利用いただけません。データベース「官報情報検索サービス」をご利用ください。
4.見方・つかい方
官報は毎日発行され、そこに掲載される情報量は膨大です。まずは、見たい記事の掲載日を特定することがポイントになります。たとえば、法律の条文を探す場合には、その法律が公布された日の官報を見ればOKです。掲載日が分からない場合は、データベースで記事を検索しましょう。
官報は次のような構成になっています。これらは同一日に発行されることもあり、ページづけはそれぞれ別々になっています。
本紙 ------------ 法律・政令・省令・公告などを掲載。先頭に目次あり。
号外 ------------ 本紙に掲載しきれなかった分を掲載。先頭に目次あり。
政府調達公告版 -- もっぱら政府調達に関する情報(入札公告や落札者、随意契約等)を掲載。
目録 ------------ 前月分の目次を掲載。ただし下表の「⑪告示」より上の事項に限られる。
順序は事項別・省庁別。毎月中旬に1回発行される。
資料版 ---------- 各種白書や統計調査の概要を掲載。緑色の用紙が使われている。
1953年から毎週水曜に発行されていたが、2007年3月で刊行終了。
本紙および号外に掲載される事項と掲載順序は次のとおりです。
① 憲法改正:日本国憲法は、昭和21年11月3日の官報号外に掲載
② 詔書:国会召集、衆議院解散、衆参両議員の選挙施行等に関する詔書
③ 法律:国会で制定または改正された法律の条文
④ 政令:内閣が制定する命令(「○○法施行令」 「○○に関する政令」等)
⑤ 条約:外国または国際機関との間で合意、成立した条約。外国語文を併記
⑥ 最高裁規則:最高裁判所が自ら制定した規則
⑦ 府令・省令:中央府省庁が制定する命令(「○○法施行規則」 「○○に関する省令」等)
⑧ 規則:会計検査院・人事院・各種の委員会等が制定した規則
⑨ 庁令:海上保安庁令のみ
⑩ 訓示:上級行政機関が下級行政機関に対し発する命令 ※通達は含まれません。
⑪ 告示:公の機関が決定した事項。内容は多岐にわたる
⑫ 国会事項:衆参両議院の規則や議事日程、人事等
⑬ 人事異動:中央省庁(課長級)・都道府県(部長級)・政令市(局長級)等の人事異動
⑭ 叙位・叙勲:位階・勲等に叙せられた者の氏名と、その位階・勲等
⑮ 褒章:褒賞を授与された者の氏名と、その褒賞の種類
⑯ 皇室事項:親任式・行幸啓関係・宮中諸儀等
⑰ 官庁報告:官庁事務に関する事項・国家試験合格者・公聴会等
⑱ 資料:閣議決定および閣議了解事項、各省庁の各種報告および資料(統計等)
⑲ 地方自治事項:都道府県等からの報告事項等
⑳ 公告:官庁(許認可関係等)、裁判所(相続、失踪、破産等)、特殊法人、地方公共団体、会社(合併、解散、決算等)による公告
官報は複写(コピー)していただけます。
資料の状態によってはマイクロフィルムからの複写となります。貸出はできません。
5.データベースで検索・閲覧する
●官報情報検索サービス
官報に関する最も充実したデータベースです。昭和22(1947)年5月3日以降について、本文のテキスト検索ができます(叙勲者氏名や国家試験合格者氏名、公告を掲載した会社名などでの検索もできます)。また、紙面画像の印刷も可能です。
ご利用にあたっては、3階 社会自然系資料室のカウンターにお申し込みください。無料で検索・閲覧していただけます。(印刷は有料)
●[Web] 国立国会図書館デジタル化資料「官報」
http://dl.ndl.go.jp/#kanpo創刊日から昭和27年4月30日までの官報(本誌・号外・附録)の詳細検索ができます。
また、紙面画像の閲覧・印刷も可能です。
●〔Web〕 官報検索
http://www.gov-book.or.jp/asp/Kanpo/KanpoList/1996年6月3日以降の目次(本紙・号外・政府調達・資料版)が検索できます。
●〔Web〕官報バックナンバー
http://www.kantei.go.jp/jp/kanpo/digest-bk.html直近1年分の本紙・号外の目次を閲覧できます。検索機能はありません。
●〔Web〕インターネット版「官報」
http://kanpou.npb.go.jp/直近30日分の官報(本紙・号外・政府調達)の全文を閲覧できます。検索機能はありません。
●〔Web〕政府公共調達データベース
http://www.jetro.go.jp/gov_procurement/官報に掲載された公示等を、公示の種類・官報掲載日・調達機関・調達機関所在地・品目から検索できます。
6.冊子目録で検索する
昭和22年5月2日以前の官報掲載記事は、データベースでは検索できません。
冊子目録で目的の記事を探しましょう。
■『官報. 目録』(官報目次総覧:第1巻~24巻)(文化図書) 請求記号【317/110】
毎月発行される官報目録を復刻製本したものです。全24巻で、明治16年から昭和62(1987)年分までをカバーしています。
■『官報総索引』(文化図書 年刊) 請求記号【317/5N】
毎年発行されている索引です。関係機関→事項→日付の順に並んでいます。また、巻頭には機関別の事項索引もあります。
昭和63年分より所蔵しています。
7.官報の活用例
Q1. 「関西国際空港株式会社法」の制定当時の条文が見たい!
A1. 昭和59年6月30日に公布された法律ですので、同日の官報に条文が掲載されています。
なお、制定当時の法律の条文は、『法令全書』やインターネットサービス「日本法令索引」
(
http://hourei.ndl.go.jp/)を用いて「関係情報へのリンク」の「衆議院 制定法律」等でも見ることができます。
「日本法令索引」は、ある法律の改正や廃止等の来歴を追いたい場合に便利です。
また、現行の条文を見るには『現行日本法規』のほか、インターネットサービス「法令データ提供システム」(
http://law.e-gov.go.jp/)などをご利用ください。
Q2. 平成26年度の司法試験合格者を知りたい
A2. データベース「官報情報検索サービス」を利用します。
記事検索で「平成26年 司法試験 合格者」で検索しましょう。
2014年10月1日発行の号外218号に、平成26年度の司法試験合格者に関する公告がみつかります。
なお、司法試験以外の国家試験合格者(司法書士、弁理士など)も調べることができます。
Q3. 平成25年の「歌会始の儀」で皇后陛下が詠まれた歌は?
A3. データベース「官報情報検索サービス」を利用します。
年限を区切って、「歌会始の儀」で検索しましょう。
2013年1月18日発行の本紙5967号に、皇室事項として参加各位が詠まれた歌が
掲載されています。
皇后宮御歌御製 天地(あめつち)にきざし来たれるものありて君が春野に立たす日近し
Q4. 元号が「平成」に変わったことも官報に書かれていますか?
A4. 昭和64年1月7日発行の官報「号外特3号」に、政令として掲載されています
この政令(政令第一号「元号を改める件」)が公布日の翌日から施行されたため、1月8日は平成元年となりました。
なお、読みを「へいせい」とする旨は、この政令の隣に内閣告示として掲載されています。
ちなみに、官報の号数は元号ごとの通し番号になっていて、改元されると1号に戻ります。