調べ方マニュアル詳細
- 調べ方作成日
- 2009.11.12
- 登録日時
- 2009/11/12 15:50
- 更新日時
- 2010/12/27 18:13
- 管理番号
- oml-10-20091101
- 調査テーマ
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完成
歴史(ブーム)の陰に女あり-これは便利!商用データベース!!-
- 調べ方
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今回の歴史ブームについてテレビのニュースなどを見ていると、目に付くのが「歴女(れきじょ)」という言葉。
「歴女」ってなに?今までの歴史ブームとどこがちがうの?
図書館の商用データベースで見つけた新聞記事や雑誌記事をもとに、今回の歴史ブームについて考察してみました。
-これは便利!商用データベース!!-
例えば・・・
◎新聞記事検索データベース「聞蔵Ⅱビジュアル(朝日新聞 一部記事写真閲覧可)」でキーワード「歴女」を含む2009年以降の新聞記事を検索
→こんな記事が見つかりました
・4月18日朝刊 「トレンド 『歴女』が好きな武将たち」
・5月16日朝刊 宮城全県・地方面「戦国キャラ ウケる ご当地産品と次々融合」
・10月2日朝刊 名古屋・地方面「主役の三英傑、歴女に不人気」
◎雑誌記事検索データベース「日経BP記事検索サービス」で、キーワード「歴女」で2009年以降の雑誌記事を検索
→こんな記事が見つかりました
・日経TRENDY5月号 「『天地人』が『篤姫』に続いて大ヒットへ」
・日経TRENDY7月号 「『歴女』が家を飛び出し武将ツアーへ 男は甲冑パンツで“天下人”気取り」
「歴女」ってなに?
「歴史好き、歴史ファンの女性を示す略語」(インターネットサイト「kotobank」内「知恵蔵2009」より)
「『歴史好きの女子』という意味」(商用データベース「Japan Knowledge(ジャパンナレッジ)(事典・辞書等)」内「亀井肇の新語探検」より)
近年、20代~30代の女性の間で歴史ファンが増加しているらしい。
歴史雑誌の「月刊歴史街道」(PHP研究所)は、読者の女性比率が4割を占めるという。
歴史小説・歴史グッズを取り扱う東京の「歴史時代書房・時代屋」では、2006年の開店当初は男性客が中心だったが、
現在では客の男女比はほほ同数になり、女性客の9割が20~30代だとか。
従来の歴史ファンといえば中高年の男性が主体だが、この女性の歴史ファン急増という現象により、歴史ブームは今、新たな局面を迎えている。
ブームの火付け役は美形キャラ?!
今回の歴史ブームの火付け役として挙げられるのが、ゲームメーカー・コーエーの「戦国無双」やカプコンの「戦国BASARA」といったテレビゲーム、
そしてNHK大河ドラマ「天地人」。
ゲームにおける斬新なキャラクター設定や、若手のイケメン俳優を起用した大河ドラマによって、女性ファンが急増。
入口はゲームやドラマのキャラクターだったが、やがては興味が武将の生き様や人間関係、歴史背景などの史実にまでおよび、
その結果「歴女」という新たな歴史ファン層が誕生したと言えよう。
歴史上の“脇役”に脚光が。
「歴史時代書房・時代屋」の人気武将ランキングでは、上位を占めるのが真田幸村、伊達政宗、直江兼続、上杉謙信。
また、長浜市では、石田三成関連の事跡を訪ねる若い女性の姿が増えたという。
従来の歴史ファンに支持されてきた織田信長・豊臣秀吉・徳川家康などの「天下人」ではなく、
敗将や参謀格といった、今までの歴史ブームのなかでは脇役・敵役だった人物に人気が集まっている点が、
今回のブームの特色のひとつ。なぜ、脇役・敵役が人気を集めているのか?
その原因は、男性は戦国武将の生き方に成功哲学を探し、女性は美学を求めるという、理想の武将像のちがいにあるようだ。
現在の幸村・三成・兼続ブームは、主君への義を貫く生き方に歴史好きの女性が共感した、と分析する記事が多い。
一転、信長・秀吉・家康といった三英傑に対しての女性の支持は少ない。
信長は「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」の句に示されるような冷酷な一面が、
秀吉も養子の秀次に切腹を命じたことや、朝鮮出兵などの晩年の失政のため、敬遠されている。
男女の感性のちがいは様々な場面で話題になるが、今回の歴史ブームの中にもそれは現れている。
関連グッズ・イベントによる経済効果
今回の歴史ブームのもうひとつの特徴が、関連グッズの多さとそれがもたらす経済効果。
民間のシンクタンクでは歴史関連の市場規模は最大700億円と試算しており、注目の市場となっている。
武将キャラクターをあしらった地ビールや笹かまぼこといった「ご当地物産」や、武将の家紋つき文具・携帯ストラップなどの商品が人気。
その中で話題を呼んだのが、東京の企画会社ログイン発売の「甲冑パンツ」。
「パンツ」と「武将」という取り合わせのおかしさだけでなく、1枚9240円という高価格にも関わらず5万7千着が売れたという点でも注目を集める。
伸縮性のある生地に武将の家紋などをあしらったこのパンツ、2月に売り出されたので、バレンタインデーのプレゼントとして
女性が恋人・家族用に買い求めたという。
ブームを牽引するのは買い物が好きな20-30代女性層、とはよく言われることだが、今回の歴史ブームにおいても女性の力は健在。
不景気な話題が多いなかでも熱気の衰えない“歴女”ブーム、日本経済浮上の一助となるだろうか。
【参考記事】
1.朝日新聞 2009年4月18日 朝刊 週末be4面「トレンド 『歴女』が好きな武将たち」
2.朝日新聞 2009年5月16日 朝刊 宮城全県・地方面「戦国キャラ、ウケる ご当地産品と次々融合(宮城県)」
3.朝日新聞 2009年10月2日 朝刊 名古屋・地方面「主役の三英傑、歴女に不人気(愛知県)」
4.産経新聞 2009年8月21日 東京朝刊 総合・内政面「“歴女”ブーム 消費意欲旺盛 市場規模700億円」
5.日経TRENDY 2008年4月号 p226-227「不思議ヒットを斬る 第45回 戦国武将」
6.日経TRENDY 2009年5月号 p69-71「『天地人』が『篤姫』に続いて大ヒットへ」
7.日経TRENDY 2009年7月号 p56-57「『歴女』が家を飛び出し武将ツアーへ 男は甲冑パンツで“天下人”気取り」
- NDC
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- 日本史 (210 9版)
- 参考資料
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- 商用データベース「聞蔵Ⅱビジュアル(朝日新聞 一部記事写真閲覧可)」
- 商用データベース「日経BP記事検索サービス」
- キーワード
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- 歴史
- 歴女
- レキジョ
- 備考
- 「名将繚乱-乱世を駆けぬけた男たち-」(大阪市立中央図書館2階 図書展示 2009年10月16日~12月16日)配布資料より
- 登録番号
- 2000012459